地獄門前のお宿で女将修行はじめます

吉沢 月見

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プロローグ

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 地獄は暑くて臭くて、鬼がのさばり死んだ悪人を人とも扱わない怖いイメージ。
 みんなもそうでしょ?

「嫌よ、地獄なんて行きたくないわ」
 のどかな日曜に叫びたくなんてない。
「瑠莉、地獄ではない。地獄門の手前じゃ」
「似たようなものじゃない」
 私の返答に祖父が黙る。
「でもまた人を傷つけたくはないのだろう? 知り合いのツテを辿ってやっと話をつけてもらったんだ。お前のためなんだぞ」
 大事な人なんて僅かだけれど、私が大事だと思っている人にも大事な人がいる。そうやって連鎖しているからこの世界は正常を保っているのだ。
「わかった」
 不本意ながら行くしかない、地獄へ。なんで地獄なんだろう。こっちの世界でも偽りではなくすごい力の霊能者とかいそうなのに。

 ともあれ、しばらく向こうで滞在するための荷物を選ぶ。あっちに必要なものってなんだろうか。タオル、着替え、化粧水。
「これじゃ旅行みたい」
 と自分でも呆れた。
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