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プロローグ
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「ZIPS!ZIPS!ZIPS!」
客席から聞こえるZIPSコール。
いつも、この瞬間は身体中の血が冴えるように冷たくなり、それと同時に芯から熱く滾る感覚が湧き上がってくる。
「ZIPS!ZIPS!ZIPS!」
コールは小さくなるばかりか、さらに熱を上げてうねりの様に立ち昇った。
「ZIPS!ZIPS!ZIPS!」
コールはさらに勢いを増し、まるで波が押し寄せるように客席全体を包み込んでいく。
不意に、コールに耳を傾けて立ち止まっていた僕の肩に手が置かれる。
僕が無言で振り返ると、藍が微笑みながら僕をメンバーの元へと促した。
その笑顔に僕は、緊張が少しだけほぐれるのを感じた。
まるで冷えた体にぬくもりがじわりと染み込んでくるような、そんな感覚だ。
残りのメンバーは円陣を組み、僕たちを待っている。
僕は短く息を吐くと一つ頷き、円陣に加わった。
皆で肩を組み、視線を集める。
「いいか!全国ツアーオーラス!最後のアンコールだ!気合い入れていくぞ!全部出し切れ!」
「「おう!!」」
リーダーの熙くんの号令に、メンバー全員で応える。
「オレたちは!」
「「ZIPS!!!」」
「オレたちは!」
「「最強だ!!」」
「ファンに最高の夢見せてやるぞ!!」
「「おお!!!」」
全員の声が重なり、一斉に右足で地面を蹴った。
「いくぞぁ!!」
「「うおおおお!!」」
円陣を解き、マイクをしっかりと握りしめ、心臓の鼓動が高まるのを感じながら、僕たちは一斉に舞台へと駆け出した。
押し寄せる熱気。
耳を劈くような歓声。
目も眩む照明。
僕は、ここまで来たんだ。
涙が込み上げてきたが、今は泣いている場合じゃない。
歯を食いしばり、全力で声を張り上げた。
「皆!!まだまだ足りないみたいだね?!」
「わぁああああああ!!」
僕の声に、観客が声援で答えた。
目の前のペンライトが、波のように揺れ、キラキラと光を放つ。
地鳴りのような歓声が胸に響き、全身に鳥肌が立った。
「アンコール!!いっくよーーー!!」
そう叫んで、僕は全身の力を込めて前へ飛び出した。
客席から聞こえるZIPSコール。
いつも、この瞬間は身体中の血が冴えるように冷たくなり、それと同時に芯から熱く滾る感覚が湧き上がってくる。
「ZIPS!ZIPS!ZIPS!」
コールは小さくなるばかりか、さらに熱を上げてうねりの様に立ち昇った。
「ZIPS!ZIPS!ZIPS!」
コールはさらに勢いを増し、まるで波が押し寄せるように客席全体を包み込んでいく。
不意に、コールに耳を傾けて立ち止まっていた僕の肩に手が置かれる。
僕が無言で振り返ると、藍が微笑みながら僕をメンバーの元へと促した。
その笑顔に僕は、緊張が少しだけほぐれるのを感じた。
まるで冷えた体にぬくもりがじわりと染み込んでくるような、そんな感覚だ。
残りのメンバーは円陣を組み、僕たちを待っている。
僕は短く息を吐くと一つ頷き、円陣に加わった。
皆で肩を組み、視線を集める。
「いいか!全国ツアーオーラス!最後のアンコールだ!気合い入れていくぞ!全部出し切れ!」
「「おう!!」」
リーダーの熙くんの号令に、メンバー全員で応える。
「オレたちは!」
「「ZIPS!!!」」
「オレたちは!」
「「最強だ!!」」
「ファンに最高の夢見せてやるぞ!!」
「「おお!!!」」
全員の声が重なり、一斉に右足で地面を蹴った。
「いくぞぁ!!」
「「うおおおお!!」」
円陣を解き、マイクをしっかりと握りしめ、心臓の鼓動が高まるのを感じながら、僕たちは一斉に舞台へと駆け出した。
押し寄せる熱気。
耳を劈くような歓声。
目も眩む照明。
僕は、ここまで来たんだ。
涙が込み上げてきたが、今は泣いている場合じゃない。
歯を食いしばり、全力で声を張り上げた。
「皆!!まだまだ足りないみたいだね?!」
「わぁああああああ!!」
僕の声に、観客が声援で答えた。
目の前のペンライトが、波のように揺れ、キラキラと光を放つ。
地鳴りのような歓声が胸に響き、全身に鳥肌が立った。
「アンコール!!いっくよーーー!!」
そう叫んで、僕は全身の力を込めて前へ飛び出した。
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