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いい夫婦の日 圭介×結人
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いい夫婦の日 圭結Ver.
『今日は11月22日、いい夫婦の日です!』
朝の情報番組から流れるアナウンサーの声に、結人は何気なく視線を向けた。
テレビ画面にはおしどり夫婦と名高い芸能人カップルが映し出され、結婚生活の秘訣を披露している。
「………」
結人は興味なさそうに視線を戻すと、今日のバイト先の講義のプリントを作ってしまおうと資料に目を落とした。
今日は大学の講義は3限からだから、まだ時間に余裕はある。
それまでには余裕で終わるだろう。
結人が資料の次のページを開くと同時に、バスルームのドアが開く。
「シャワーサンキュー、結人」
上半身裸の圭介が、バスタオルで髪を拭きながらリビングへと入ってきた。
「……あのね。服くらい着て出てきなよ」
結人はため息をつきながら、圭介に視線をやる。
圭介は結人の言葉に軽く笑うと、結人の隣のソファーに腰掛けながら口を開いた。
「今更そんなこと気にする仲か?」
そう言いながら、圭介は結人の顎を掴みキスを落とす。
結人は表情を変えずにそれを受けると、圭介の額をピシャリと叩いた。
「昨日だって散々……」
「……っ!そういう事じゃ無い。おれはただ風邪をひくって言いたかっただけ……」
流石に表情を崩した結人の言葉を遮るように、圭介は再び結人の首筋に唇を寄せると、圭介は悪戯っぽく笑う。
「はいはい、着ますよ」
そう言いながら立ち上がると、圭介はテレビ画面に目を向けた。
番組では相変わらずアナウンサーが、いい夫婦の日についてコメントをしている。
「……いい夫婦の日、ね」
「なに。圭介そういうの気にするの?意外」
「んー……気にならなかった。ーー今までは」
圭介はそう言いながらシャツに腕を通す。
「今までは?今は気にしてるって事?」
結人の言葉に、圭介は黙ったまま着替えを続けた。
着替えが終わり、洗いざらしの髪を撫で付けると、再び結人の隣のソファーへ座る。
「結人」
圭介は珍しく視線を泳がせると、結人の名前を呼ぶ。
結人は資料に落としていた視線をあげ、再び圭介を見つめると、圭介が大きく息を吐いた。
「……なに?どうしたの?」
「手、出せ」
「………?」
結人はわけもわからず右手を出すと、圭介が「違う、そっちじゃ無い」と左手を掴む。
そのまま、圭介は結人の薬指にきらりと光る指輪をはめた。
シンプルながら、品の良いデザインの指輪には、ひとつだけ石がはめられている。
「………え?」
結人の目が大きく見開かれた。
「……やる」
「これ……」
圭介は照れたように頭をかくと、咳払いを一つする。
「他の奴には、やらねーから」
「圭介……」
「卒業したら……もっとちゃんとしたの、準備する」
圭介の言葉に、結人は信じられないような面持ちで圭介を見上げた。
「いい夫婦の日にプロポーズ?」
「……わりーかよ」
「おれたち、男同士だし……結婚できないよ?」
「そんなもん、いつかおれが変えてやるよ」
「……圭介、政治家にでもなるの?」
結人はそう言って微笑むと、自分の目頭が熱くなるのを感じる。
「政治家にならなくても、やり方はいくらでもあるさ。おれならな」
圭介はそういうと、結人の額に自分の額を付けた。
「だから……それまで待っててくれ」
「……っ。仕方ないな。圭介な頼みなら……聞いてあげるよ」
視線を絡ませ、どちらともなく唇を重ねる。
テレビからは、相変わらずいい夫婦の日に関する情報が流れ続けていた。
『ーーあなたの大切な人は誰ですか?』
アナウンサーの言葉が、朝の日差しの中幸せな部屋の中に響いた。
『今日は11月22日、いい夫婦の日です!』
朝の情報番組から流れるアナウンサーの声に、結人は何気なく視線を向けた。
テレビ画面にはおしどり夫婦と名高い芸能人カップルが映し出され、結婚生活の秘訣を披露している。
「………」
結人は興味なさそうに視線を戻すと、今日のバイト先の講義のプリントを作ってしまおうと資料に目を落とした。
今日は大学の講義は3限からだから、まだ時間に余裕はある。
それまでには余裕で終わるだろう。
結人が資料の次のページを開くと同時に、バスルームのドアが開く。
「シャワーサンキュー、結人」
上半身裸の圭介が、バスタオルで髪を拭きながらリビングへと入ってきた。
「……あのね。服くらい着て出てきなよ」
結人はため息をつきながら、圭介に視線をやる。
圭介は結人の言葉に軽く笑うと、結人の隣のソファーに腰掛けながら口を開いた。
「今更そんなこと気にする仲か?」
そう言いながら、圭介は結人の顎を掴みキスを落とす。
結人は表情を変えずにそれを受けると、圭介の額をピシャリと叩いた。
「昨日だって散々……」
「……っ!そういう事じゃ無い。おれはただ風邪をひくって言いたかっただけ……」
流石に表情を崩した結人の言葉を遮るように、圭介は再び結人の首筋に唇を寄せると、圭介は悪戯っぽく笑う。
「はいはい、着ますよ」
そう言いながら立ち上がると、圭介はテレビ画面に目を向けた。
番組では相変わらずアナウンサーが、いい夫婦の日についてコメントをしている。
「……いい夫婦の日、ね」
「なに。圭介そういうの気にするの?意外」
「んー……気にならなかった。ーー今までは」
圭介はそう言いながらシャツに腕を通す。
「今までは?今は気にしてるって事?」
結人の言葉に、圭介は黙ったまま着替えを続けた。
着替えが終わり、洗いざらしの髪を撫で付けると、再び結人の隣のソファーへ座る。
「結人」
圭介は珍しく視線を泳がせると、結人の名前を呼ぶ。
結人は資料に落としていた視線をあげ、再び圭介を見つめると、圭介が大きく息を吐いた。
「……なに?どうしたの?」
「手、出せ」
「………?」
結人はわけもわからず右手を出すと、圭介が「違う、そっちじゃ無い」と左手を掴む。
そのまま、圭介は結人の薬指にきらりと光る指輪をはめた。
シンプルながら、品の良いデザインの指輪には、ひとつだけ石がはめられている。
「………え?」
結人の目が大きく見開かれた。
「……やる」
「これ……」
圭介は照れたように頭をかくと、咳払いを一つする。
「他の奴には、やらねーから」
「圭介……」
「卒業したら……もっとちゃんとしたの、準備する」
圭介の言葉に、結人は信じられないような面持ちで圭介を見上げた。
「いい夫婦の日にプロポーズ?」
「……わりーかよ」
「おれたち、男同士だし……結婚できないよ?」
「そんなもん、いつかおれが変えてやるよ」
「……圭介、政治家にでもなるの?」
結人はそう言って微笑むと、自分の目頭が熱くなるのを感じる。
「政治家にならなくても、やり方はいくらでもあるさ。おれならな」
圭介はそういうと、結人の額に自分の額を付けた。
「だから……それまで待っててくれ」
「……っ。仕方ないな。圭介な頼みなら……聞いてあげるよ」
視線を絡ませ、どちらともなく唇を重ねる。
テレビからは、相変わらずいい夫婦の日に関する情報が流れ続けていた。
『ーーあなたの大切な人は誰ですか?』
アナウンサーの言葉が、朝の日差しの中幸せな部屋の中に響いた。
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