103 / 106
パパラッチフィーバー!
パパラッチフィーバー!第二章 最終話-1
しおりを挟む
side L
それからおれたちは、曲の見直しから始まり、レコーディングのやり直し、ダンスレッスンと忙しい日々を過ごした。
今までもしっかり曲作りをしてきたが、やろうと思えばもっともっとブラッシュアップ出来るものだ。
特に、今回の曲はおれと優のソロを少し減らし、みんなで歌うコーラス部分を増やした。
これは、皆から敦士へのメッセージだ。
そうやって忙しい日々を過ごしていると、あっという間に二週間が過ぎた。
けど、おれたちは誰もオフをとろうとせず、時間があればプロモ用のダンスのレッスンをしている。
「清十郎、おれどうしてもここのステップが上手くいかない」
「多分だが……ここの腰の角度の問題だと思う」
「あ、成る程」
おれは清十郎が踊って見せてくれるダンスとおれとのダンスを比較し、納得する。
反対側では優と翔太が一哉の指導を受けていた。
「皆さん、そろそろ撮影入ります!」
浅見さんの声に、おれたちは顔を上げプロモの撮影に入る。
暗めのセットの中に、おれたちは立った。
前奏が始まり、おれたちはダンスを始める。
『君の瞳はいつも真っ直ぐで
まるで光のように曲がらない
僕らが挫けそうな時も
いつもいつだって
君だけは信じてくれていた
君の言葉はいつも真っ直ぐで
まるで光のように曲がらない
僕らが下を向いた時も
いつもいつだって
君だけは信じてくれていた
だからDo not believe
僕らは自分の限界を信じない
君のくれた自信を胸に
前を見て歩いていくよ
いつもDo not believe
僕らは不可能を壊していく
君がくれたパワーを秘めて
上を向いて走り続ける』
おれたちは何カットも撮影を繰り返し、漸く満足のいく出来のものができた。
最初はあんなに身体が痛くなるほど辛かったダンスも、今はちゃんと踊れるようになっている。
やればちゃんと出来るんだな。
あとはリリースを待つだけだ。
敦士の自宅謹慎も解けたようで、今は事務所で雑務をこなしているらしい。
その後もおれたちは精力的に新曲のプロモーションを続け、目まぐるしく時は動き、ついに今日はリリース当日。
まずはデイリーチャートが出る。
AshurA『Do not believe』速報、一位!!
やった!!
初めてZIPSに勝ったぞ!!
おれたちはひとまず抱き合って喜ぶ。
しかし、まだ安心はできない。
約束は「週間チャート」でのランキング一位だ。
明日以降、どれだけリードを保てるかが問題だ。
三日天下ならぬ一日天下になったら意味がない。
翌日、デイリーチャート惜しくも二位。
一位はZIPS。
しかし差はわずか。
三日目、デイリーチャート一位返り咲き。
そして、明日は週間チャート発表の日。
一位は……。
おれは、目の前の文字を理解できずにいた。
「オリコン週間ランキング……二位」
二位……一位じゃ、ない。
おれはスマホを取り落とすと、その場に膝をつく。
あんなに、頑張ったのに……。
「凛さん……大丈夫ですか?」
目の前には、たった二ヶ月ちょっとなのに、ひどく懐かしく見える敦士の姿があった。
敦士の目は涙で潤んでいる。
「お久しぶりです、凛さん。デイリーチャート、一位おめでとうございます!……浅見さんに変わってから、すぐにデイリーチャートでZIPSを抜くなんて……やっぱり、浅見さんはやり手なんですね」
「ばか。誰の為だと思ってるんだよ!」
おれは敦士に手を伸ばす。
「いや、そもそもはおれのせいなんだけど……でも、おれたちはお前に戻ってきてもらうために頑張ったんだ……」
「……はい、でも……」
「ごめん、敦士……ごめん……」
おれは、流れ落ちる涙を拭うこともできないまま、敦士に縋りついたーー。
それからおれたちは、曲の見直しから始まり、レコーディングのやり直し、ダンスレッスンと忙しい日々を過ごした。
今までもしっかり曲作りをしてきたが、やろうと思えばもっともっとブラッシュアップ出来るものだ。
特に、今回の曲はおれと優のソロを少し減らし、みんなで歌うコーラス部分を増やした。
これは、皆から敦士へのメッセージだ。
そうやって忙しい日々を過ごしていると、あっという間に二週間が過ぎた。
けど、おれたちは誰もオフをとろうとせず、時間があればプロモ用のダンスのレッスンをしている。
「清十郎、おれどうしてもここのステップが上手くいかない」
「多分だが……ここの腰の角度の問題だと思う」
「あ、成る程」
おれは清十郎が踊って見せてくれるダンスとおれとのダンスを比較し、納得する。
反対側では優と翔太が一哉の指導を受けていた。
「皆さん、そろそろ撮影入ります!」
浅見さんの声に、おれたちは顔を上げプロモの撮影に入る。
暗めのセットの中に、おれたちは立った。
前奏が始まり、おれたちはダンスを始める。
『君の瞳はいつも真っ直ぐで
まるで光のように曲がらない
僕らが挫けそうな時も
いつもいつだって
君だけは信じてくれていた
君の言葉はいつも真っ直ぐで
まるで光のように曲がらない
僕らが下を向いた時も
いつもいつだって
君だけは信じてくれていた
だからDo not believe
僕らは自分の限界を信じない
君のくれた自信を胸に
前を見て歩いていくよ
いつもDo not believe
僕らは不可能を壊していく
君がくれたパワーを秘めて
上を向いて走り続ける』
おれたちは何カットも撮影を繰り返し、漸く満足のいく出来のものができた。
最初はあんなに身体が痛くなるほど辛かったダンスも、今はちゃんと踊れるようになっている。
やればちゃんと出来るんだな。
あとはリリースを待つだけだ。
敦士の自宅謹慎も解けたようで、今は事務所で雑務をこなしているらしい。
その後もおれたちは精力的に新曲のプロモーションを続け、目まぐるしく時は動き、ついに今日はリリース当日。
まずはデイリーチャートが出る。
AshurA『Do not believe』速報、一位!!
やった!!
初めてZIPSに勝ったぞ!!
おれたちはひとまず抱き合って喜ぶ。
しかし、まだ安心はできない。
約束は「週間チャート」でのランキング一位だ。
明日以降、どれだけリードを保てるかが問題だ。
三日天下ならぬ一日天下になったら意味がない。
翌日、デイリーチャート惜しくも二位。
一位はZIPS。
しかし差はわずか。
三日目、デイリーチャート一位返り咲き。
そして、明日は週間チャート発表の日。
一位は……。
おれは、目の前の文字を理解できずにいた。
「オリコン週間ランキング……二位」
二位……一位じゃ、ない。
おれはスマホを取り落とすと、その場に膝をつく。
あんなに、頑張ったのに……。
「凛さん……大丈夫ですか?」
目の前には、たった二ヶ月ちょっとなのに、ひどく懐かしく見える敦士の姿があった。
敦士の目は涙で潤んでいる。
「お久しぶりです、凛さん。デイリーチャート、一位おめでとうございます!……浅見さんに変わってから、すぐにデイリーチャートでZIPSを抜くなんて……やっぱり、浅見さんはやり手なんですね」
「ばか。誰の為だと思ってるんだよ!」
おれは敦士に手を伸ばす。
「いや、そもそもはおれのせいなんだけど……でも、おれたちはお前に戻ってきてもらうために頑張ったんだ……」
「……はい、でも……」
「ごめん、敦士……ごめん……」
おれは、流れ落ちる涙を拭うこともできないまま、敦士に縋りついたーー。
11
お気に入りに追加
1,835
あなたにおすすめの小説
【BL】国民的アイドルグループ内でBLなんて勘弁してください。
白猫
BL
国民的アイドルグループ【kasis】のメンバーである、片桐悠真(18)は悩んでいた。
最近どうも自分がおかしい。まさに悪い夢のようだ。ノーマルだったはずのこの自分が。
(同じグループにいる王子様系アイドルに恋をしてしまったかもしれないなんて……!)
(勘違いだよな? そうに決まってる!)
気のせいであることを確認しようとすればするほどドツボにハマっていき……。
転生したので異世界でショタコンライフを堪能します
のりたまご飯
BL
30歳ショタコンだった俺は、駅のホームで気を失い、そのまま電車に撥ねられあっけなく死んだ。
けど、目が覚めるとそこは知らない天井...、どこかで見たことのある転生系アニメのようなシチュエーション。
どうやら俺は転生してしまったようだ。
元の世界で極度のショタコンだった俺は、ショタとして異世界で新たな人生を歩む!!!
ショタ最高!ショタは世界を救う!!!
ショタコンによるショタコンのためのBLコメディ小説であーる!!!
甥っ子と異世界に召喚された俺、元の世界へ戻るために奮闘してたら何故か王子に捕らわれました?
秋野 なずな
BL
ある日突然、甥っ子の蒼葉と異世界に召喚されてしまった冬斗。
蒼葉は精霊の愛し子であり、精霊を回復できる力があると告げられその力でこの国を助けて欲しいと頼まれる。しかし同時に役目を終えても元の世界には帰すことが出来ないと言われてしまう。
絶対に帰れる方法はあるはずだと協力を断り、せめて蒼葉だけでも元の世界に帰すための方法を探して孤軍奮闘するも、誰が敵で誰が味方かも分からない見知らぬ地で、1人の限界を感じていたときその手は差し出された
「僕と手を組まない?」
その手をとったことがすべての始まり。
気づいた頃にはもう、その手を離すことが出来なくなっていた。
王子×大学生
―――――――――
※男性も妊娠できる世界となっています
乙女ゲームのモブに転生したようですが、何故かBLの世界になってます~逆ハーなんて狙ってないのに攻略対象達が僕を溺愛してきます
syouki
BL
学校の階段から落ちていく瞬間、走馬灯のように僕の知らない記憶が流れ込んできた。そして、ここが乙女ゲーム「ハイスクールメモリー~あなたと過ごすスクールライフ」通称「ハイメモ」の世界だということに気が付いた。前世の僕は、色々なゲームの攻略を紹介する会社に勤めていてこの「ハイメモ」を攻略中だったが、帰宅途中で事故に遇い、はやりの異世界転生をしてしまったようだ。と言っても、僕は攻略対象でもなければ、対象者とは何の接点も無い一般人。いわゆるモブキャラだ。なので、ヒロインと攻略対象の恋愛を見届けようとしていたのだが、何故か攻略対象が僕に絡んでくる。待って!ここって乙女ゲームの世界ですよね???
※設定はゆるゆるです。
※主人公は流されやすいです。
※R15は念のため
※不定期更新です。
※BL小説大賞エントリーしてます。よろしくお願いしますm(_ _)m
不良高校に転校したら溺愛されて思ってたのと違う
らる
BL
幸せな家庭ですくすくと育ち普通の高校に通い楽しく毎日を過ごしている七瀬透。
唯一普通じゃない所は人たらしなふわふわ天然男子である。
そんな透は本で見た不良に憧れ、勢いで日本一と言われる不良学園に転校。
いったいどうなる!?
[強くて怖い生徒会長]×[天然ふわふわボーイ]固定です。
※更新頻度遅め。一日一話を目標にしてます。
※誤字脱字は見つけ次第時間のある時修正します。それまではご了承ください。
人生イージーモードになるはずだった俺!!
抹茶ごはん
BL
平凡な容姿にろくでもない人生を歩み事故死した俺。
前世の記憶を持ったまま転生し、なんと金持ちイケメンのお坊ちゃまになった!!
これはもう人生イージーモード一直線、前世のような思いはするまいと日々邁進するのだが…。
何故か男にばかりモテまくり、厄介な事件には巻き込まれ!?
本作は現実のあらゆる人物、団体、思想及び事件等に関係ございません。あくまでファンタジーとしてお楽しみください。
眠り姫
虹月
BL
そんな眠り姫を起こす王子様は、僕じゃない。
ただ眠ることが好きな凛月は、四月から全寮制の名門男子校、天彗学園に入学することになる。そこで待ち受けていたのは、色々な問題を抱えた男子生徒達。そんな男子生徒と関わり合い、凛月が与え、与えられたものとは――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる