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パパラッチフィーバー!
パパラッチフィーバー!16-3
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二日後、おれたちはドキドキしながら事務所の会議室へと向かう。
会議室に入ると、そこには予想外の大物が揃っていた。
なんと、社長自らがそこにいたのである。
おれは流石にこの予想外の事態に心の中だけで焦るが、努めて態度に出さないように会議室の中に入った。
「久しぶりだね、西園寺凛くん、鷹宮優くん、黒須清十郎くん、翠川一哉くん、牧翔太くん」
社長はおれたち一人一人のフルネームを呼ぶと、全員の顔を見回す。
「お久しぶりです」
おれは、一つ深呼吸をすると、社長に向かい合った。
「さて。今日は一体なんの話だね?」
「雄谷敦士の謹慎を解いて、お……ぼくたちのマネージャーに戻してください」
おれは、単刀直入にそう言う。
社長はそれを、微笑みを浮かべたまま聞いていた。
「ほう。それは何故だね?」
「彼は、ぼくたちを止めようとしました。けど、それをぼくたちが突っぱねて逆に巻き込んだんです。だから、彼は何も悪く無い」
「ほう、成る程。しかし、彼からは逆のように聞いているがね?」
「え?」
「彼は、自分が自分の意思でついて行ったと言ったよ」
……敦士……。
おれは、込み上げる涙をグッと抑えると、再び口を開く。
「彼の性格上、そう言うと思います。でも、本当に彼はぼくたちを止めに来ました」
おれはキッパリとそう言いきると、社長を見据えた。
社長の瞳が少し笑ったように感じる。
「何故彼にこだわるのかな?浅見くんは良いマネージャーだと思うがね」
確かにベテランだし、有能だ。
だけど……。
「浅見さんが嫌だと言うわけではありません。でも……おれたちは五人と敦士とでAshurAなんです」
おれは、いつもの口調に戻っているのを感じたが、構っていられなかった。
ここで折れたらダメだ。
おれは必死で社長に想いを伝える。
「……成る程。君たちの想いはよくわかった」
社長はそう言うと、肘をついて顎の前で手を組んだ。
「じゃあ!」
「でも、ただでというわけにはいかない」
「え?」
「次の君たちの曲……次のシングルが、オリコンの週間チャートで一位になったら雄谷くんを君たちのマネージャーに戻そう」
「!!」
おれたちは一瞬全員凍りついた。
「そう、知っている通り、君たちの次のシングルのリリースはORIONのZIPSと重なる」
ORION entertainmentとは、超有名男性アイドル事務所で、芸能界の事務所の中では一二を争う巨大な事務所だ。
タレントも数多く揃え、中でもZIPSは歌を出せば必ずチャートで一位を取るアイドルグループで有名だ。
本人たちの人気もさることながら、CMやらドラマとのタイアップなどとにかく事務所の売り込みもすごい。
実際、おれたちAshurAも秋生のA’sも、ORION事務所のZIPSにシングルチャートでは僅かに負けている。
それを、この社長は死ぬ気で抜けと言っているのだ。
おれは、ごくりと唾を飲んだ。
「チャートで一位を取れば、敦士を戻してもらえるんですね?」
やるしか無い。
「ああ、約束しよう」
「わかりました。かならず一位を取ります」
おれは深呼吸をすると、そう言った。
「うん、期待しているよ」
おれたちは会議室を出ると、顔を見合わせた。
「あんのタヌキオヤジ……優しそうな顔してエグい事言うぜ」
一哉が苦笑いをしてそう言う。
確かに、この取引で社長に損はない。
おれたちがチャート一位を取れば万々歳だし、取れなくても痛くもない。
おれは自分の頬をパチンと叩いた。
「でも、エグかろうが何だろうが、おれたちは一位を取るしかない」
「そうだな」
今からでもレコーディングの曲の見直しとか、歌番組用のダンスの練習とかできることは多いはずだ。
おれは気合を入れると、メンバーの前に手を出した。
気がついた優がその上に手を重ね、次いで一哉、清十郎、翔太と重ねる。
「絶対、一位を取るぞ!」
「おお」
「ああ」
「うん」
「オッケー!」
そうして、おれたちの戦いは始まった。
会議室に入ると、そこには予想外の大物が揃っていた。
なんと、社長自らがそこにいたのである。
おれは流石にこの予想外の事態に心の中だけで焦るが、努めて態度に出さないように会議室の中に入った。
「久しぶりだね、西園寺凛くん、鷹宮優くん、黒須清十郎くん、翠川一哉くん、牧翔太くん」
社長はおれたち一人一人のフルネームを呼ぶと、全員の顔を見回す。
「お久しぶりです」
おれは、一つ深呼吸をすると、社長に向かい合った。
「さて。今日は一体なんの話だね?」
「雄谷敦士の謹慎を解いて、お……ぼくたちのマネージャーに戻してください」
おれは、単刀直入にそう言う。
社長はそれを、微笑みを浮かべたまま聞いていた。
「ほう。それは何故だね?」
「彼は、ぼくたちを止めようとしました。けど、それをぼくたちが突っぱねて逆に巻き込んだんです。だから、彼は何も悪く無い」
「ほう、成る程。しかし、彼からは逆のように聞いているがね?」
「え?」
「彼は、自分が自分の意思でついて行ったと言ったよ」
……敦士……。
おれは、込み上げる涙をグッと抑えると、再び口を開く。
「彼の性格上、そう言うと思います。でも、本当に彼はぼくたちを止めに来ました」
おれはキッパリとそう言いきると、社長を見据えた。
社長の瞳が少し笑ったように感じる。
「何故彼にこだわるのかな?浅見くんは良いマネージャーだと思うがね」
確かにベテランだし、有能だ。
だけど……。
「浅見さんが嫌だと言うわけではありません。でも……おれたちは五人と敦士とでAshurAなんです」
おれは、いつもの口調に戻っているのを感じたが、構っていられなかった。
ここで折れたらダメだ。
おれは必死で社長に想いを伝える。
「……成る程。君たちの想いはよくわかった」
社長はそう言うと、肘をついて顎の前で手を組んだ。
「じゃあ!」
「でも、ただでというわけにはいかない」
「え?」
「次の君たちの曲……次のシングルが、オリコンの週間チャートで一位になったら雄谷くんを君たちのマネージャーに戻そう」
「!!」
おれたちは一瞬全員凍りついた。
「そう、知っている通り、君たちの次のシングルのリリースはORIONのZIPSと重なる」
ORION entertainmentとは、超有名男性アイドル事務所で、芸能界の事務所の中では一二を争う巨大な事務所だ。
タレントも数多く揃え、中でもZIPSは歌を出せば必ずチャートで一位を取るアイドルグループで有名だ。
本人たちの人気もさることながら、CMやらドラマとのタイアップなどとにかく事務所の売り込みもすごい。
実際、おれたちAshurAも秋生のA’sも、ORION事務所のZIPSにシングルチャートでは僅かに負けている。
それを、この社長は死ぬ気で抜けと言っているのだ。
おれは、ごくりと唾を飲んだ。
「チャートで一位を取れば、敦士を戻してもらえるんですね?」
やるしか無い。
「ああ、約束しよう」
「わかりました。かならず一位を取ります」
おれは深呼吸をすると、そう言った。
「うん、期待しているよ」
おれたちは会議室を出ると、顔を見合わせた。
「あんのタヌキオヤジ……優しそうな顔してエグい事言うぜ」
一哉が苦笑いをしてそう言う。
確かに、この取引で社長に損はない。
おれたちがチャート一位を取れば万々歳だし、取れなくても痛くもない。
おれは自分の頬をパチンと叩いた。
「でも、エグかろうが何だろうが、おれたちは一位を取るしかない」
「そうだな」
今からでもレコーディングの曲の見直しとか、歌番組用のダンスの練習とかできることは多いはずだ。
おれは気合を入れると、メンバーの前に手を出した。
気がついた優がその上に手を重ね、次いで一哉、清十郎、翔太と重ねる。
「絶対、一位を取るぞ!」
「おお」
「ああ」
「うん」
「オッケー!」
そうして、おれたちの戦いは始まった。
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