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パパラッチフィーバー!
パパラッチフィーバー!14-3
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side A
気がつくと、おれはベッドに寝かされていた。
ベットサイドに座る綾斗の大きな手が、ゆるゆるとおれの髪を撫でている。
その手の動きが気持ち良くて、おれは起きたくなかったが、そういうわけにもいかない。
おれは緩慢な動きで目を開けると、ゆっくりと身体を起こそうとする。
「アキ……起きたか」
綾斗は優しげな目でおれを見下ろすと、撫でていた手を止めた。
おれは少しそれを残念に思うが、仕方がない。
「おれ……どのくらい寝てた?」
「一時間くらいだ」
「……ダンスレッスン、遅れちまう」
「今日のダンスレッスンは休みと連絡しておいた。マネージャーも同意してる」
「……ありすちゃんもアレを見たのか」
「事情は話してある。少し休めとのことだ」
おれは目にかかる髪を撫でつけると、綾斗に向き合う。
「……悪かった。おれのせいでこんな……」
「アキの所為じゃない。気に病むな」
こんな時ですら綾斗は優しい。
文句の一つも言ったって、おれは返す言葉がないのに。
「後……勝手に行動して悪いが……例の件、早めてもらうように西園寺に連絡した。西園寺も事情を把握して、分かってくれたよ」
「そうか、サンキュー」
凛にも迷惑かけたな……。
おれは綾斗の肩口に頭を預けると、そのシャツを掴む。
こんな時ばっかり甘えてすまないと思うが、身体が勝手に動いてしまった。
「……甘えてばっかりで悪い」
綾斗は息だけで笑うと、おれの背を支える。
「おれでよければ、いつでも甘えてくれ」
綾斗の言葉に、おれは頭を離してその瞳を見上げた。
自然と視線が絡む。
綾斗の顔がおれに近づき、しかしそのまま躊躇うようにそこで止まった。
「……悪い」
綾斗は視線を下げると、近づけていた顔を離す。
おれはそんな綾斗の頬を両手で掴むと、自分の方へ向かせた。
そのまま、自分の唇を綾斗のそれに重ねる。
綾斗の目が驚いたように大きく見開かれた。
おれは、重ねていた唇を軽く離すと、再び強く押しつける。
背中にまわされていた綾斗の手に力がこもり、おれを強く抱きしめた。
そのまま噛み付くように唇を奪われると、何度も角度を変えてキスを重ねる。
綾斗の舌が口内へ入ってくると、おれはおずおずとそれに自分の舌を絡めた。
「…っん…」
甘い吐息が部屋の中に響く。
おれの舌は綾斗の舌に絡め取られ、舌の裏から歯列まで余すことなくなぞられた。
何度も口付けられ、おれの意識はどんどんと溶かされていく。
綾斗の唇が離された時、おれはあまりの気持ちよさから頭がクラクラするのを感じた。
「……アキ」
綾斗はおれを抱きしめると、その艶のある声でおれの名を囁く。
「…アキ、愛してる」
おれは、答えの代わりにもう一度その唇に口づけた。
気がつくと、おれはベッドに寝かされていた。
ベットサイドに座る綾斗の大きな手が、ゆるゆるとおれの髪を撫でている。
その手の動きが気持ち良くて、おれは起きたくなかったが、そういうわけにもいかない。
おれは緩慢な動きで目を開けると、ゆっくりと身体を起こそうとする。
「アキ……起きたか」
綾斗は優しげな目でおれを見下ろすと、撫でていた手を止めた。
おれは少しそれを残念に思うが、仕方がない。
「おれ……どのくらい寝てた?」
「一時間くらいだ」
「……ダンスレッスン、遅れちまう」
「今日のダンスレッスンは休みと連絡しておいた。マネージャーも同意してる」
「……ありすちゃんもアレを見たのか」
「事情は話してある。少し休めとのことだ」
おれは目にかかる髪を撫でつけると、綾斗に向き合う。
「……悪かった。おれのせいでこんな……」
「アキの所為じゃない。気に病むな」
こんな時ですら綾斗は優しい。
文句の一つも言ったって、おれは返す言葉がないのに。
「後……勝手に行動して悪いが……例の件、早めてもらうように西園寺に連絡した。西園寺も事情を把握して、分かってくれたよ」
「そうか、サンキュー」
凛にも迷惑かけたな……。
おれは綾斗の肩口に頭を預けると、そのシャツを掴む。
こんな時ばっかり甘えてすまないと思うが、身体が勝手に動いてしまった。
「……甘えてばっかりで悪い」
綾斗は息だけで笑うと、おれの背を支える。
「おれでよければ、いつでも甘えてくれ」
綾斗の言葉に、おれは頭を離してその瞳を見上げた。
自然と視線が絡む。
綾斗の顔がおれに近づき、しかしそのまま躊躇うようにそこで止まった。
「……悪い」
綾斗は視線を下げると、近づけていた顔を離す。
おれはそんな綾斗の頬を両手で掴むと、自分の方へ向かせた。
そのまま、自分の唇を綾斗のそれに重ねる。
綾斗の目が驚いたように大きく見開かれた。
おれは、重ねていた唇を軽く離すと、再び強く押しつける。
背中にまわされていた綾斗の手に力がこもり、おれを強く抱きしめた。
そのまま噛み付くように唇を奪われると、何度も角度を変えてキスを重ねる。
綾斗の舌が口内へ入ってくると、おれはおずおずとそれに自分の舌を絡めた。
「…っん…」
甘い吐息が部屋の中に響く。
おれの舌は綾斗の舌に絡め取られ、舌の裏から歯列まで余すことなくなぞられた。
何度も口付けられ、おれの意識はどんどんと溶かされていく。
綾斗の唇が離された時、おれはあまりの気持ちよさから頭がクラクラするのを感じた。
「……アキ」
綾斗はおれを抱きしめると、その艶のある声でおれの名を囁く。
「…アキ、愛してる」
おれは、答えの代わりにもう一度その唇に口づけた。
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