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パパラッチフィーバー!
パパラッチフィーバー!12-2
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翌日、おれは歌番組の控え室で絶望の底に叩き落とされていた。
ついに、公式ネットニュースの一部やスポーツ新聞がおれたちの事を報道し始めたからだ。
もちろん、「この人物は本物か?!」という体で書いているため、ギリギリグレーの線を貫いている。
このままではヤバイ。
おれはため息をつくと、おれのツイッターを開く。
そこにはファン同士、罵り合っている様子が窺えた。
もちろん、見つけ次第公式が削除してくれているが、次から次へと投稿されるため削除が追いつかない。
『信じてたのに!』
『裏切り者!』
『いつからユニット始動なんですか?!』
『AshurAをやめないで!』
おれは、ツイッターに踊る色々な言葉を見ると、ため息をついた。
みんなの不安な気持ちもわかる。
でも、匿名の掲示板だからと、こんなにむき出しの感情を出すことができると言うことにおれは今更ながら恐怖を感じていた。
そして、おれは以前から温めていた作戦を、今こそ開始するべきではないかと考える。
その作戦とは……おれたち自身が目撃情報のあるクラブに乗り込んで行って直接偽物に相対するって作戦だ。
もちろんこの作戦は誰にも言っていない。
言ったらおそらく事務所から止められるからだ。
おれはため息をつくとスマホの画面を閉じる。
決行をするなら失敗は許されない。
まかり間違って偽物が現れずに、おれたちがパパラッチに直撃されたら嘘が誠になってしまう。
「おら、凛。なにしかめっ面してんだ」
一哉がおれの眉間に寄った皺を指で押しながらそう言う。
ーーメンバーには、言ってしまおうか?
もし、おれたちが単独で行動したらきっとコイツらは怒るし悲しむだろう。
しかしーー。
その瞬間、メンバーをこの問題に巻き込むことになる。
おれはボーッとメンバーの顔を見ながらぐるぐると悩み続けた。
ええい、おれのポンコツ頭!
本当は、メンバーに話しちゃいたいって思ってるんだろ!
「ねえ、何か悩んでるなら話してみなよ」
おれの考えを見透かしたように、優がそう言った。
「悩みっていうか……」
おれは躊躇いながらも口を開いた。
「おれ……自分の手でこのニセモノの件に決着をつけようと思ってて」
「?どういう事?」
訝しむような翔太の言葉に、おれは意を決して話をし出した。
「おれが……おれたち二人が直接こいつら偽物のいる現場に乗り込んで、この二人と話をする」
「ーー本気か?」
清十郎が真剣な目でおれを見る。
「本気だよ。秋生とも少し話した」
「それを、おれたちに話したってことは……おれたちの力が必要ってことか?」
一哉がそう言ってニヤリと笑った。
「力というか……みんなに黙って行くのはちょっと違うかなって」
優と翔太、清十郎が顔を見合わせて同じく笑う。
「……その話、乗った」
「おれもだ」
「おれもー!」
次々にそう言うメンバーに、おれは涙腺が緩むのを感じる。
「勿論だが……事務所には内緒だよな?」
「うん。言ったら止められると思う」
「だろうね」
優はそう言うと、チラリと扉の外を見る。
「…と言うことは、敦士にも言わない方がいいな」
残念ながらそうなるな。
敦士はきっとなんだかんだで協力してくれると思う。
だからこそ、事務所から何か追求された時、一番に責められるのは敦士になってしまうからだ。
「敦士には後から謝ることにして……今回は敦士抜きで決行するか」
おれは頷くと、具体的な案について話し始めた。
ついに、公式ネットニュースの一部やスポーツ新聞がおれたちの事を報道し始めたからだ。
もちろん、「この人物は本物か?!」という体で書いているため、ギリギリグレーの線を貫いている。
このままではヤバイ。
おれはため息をつくと、おれのツイッターを開く。
そこにはファン同士、罵り合っている様子が窺えた。
もちろん、見つけ次第公式が削除してくれているが、次から次へと投稿されるため削除が追いつかない。
『信じてたのに!』
『裏切り者!』
『いつからユニット始動なんですか?!』
『AshurAをやめないで!』
おれは、ツイッターに踊る色々な言葉を見ると、ため息をついた。
みんなの不安な気持ちもわかる。
でも、匿名の掲示板だからと、こんなにむき出しの感情を出すことができると言うことにおれは今更ながら恐怖を感じていた。
そして、おれは以前から温めていた作戦を、今こそ開始するべきではないかと考える。
その作戦とは……おれたち自身が目撃情報のあるクラブに乗り込んで行って直接偽物に相対するって作戦だ。
もちろんこの作戦は誰にも言っていない。
言ったらおそらく事務所から止められるからだ。
おれはため息をつくとスマホの画面を閉じる。
決行をするなら失敗は許されない。
まかり間違って偽物が現れずに、おれたちがパパラッチに直撃されたら嘘が誠になってしまう。
「おら、凛。なにしかめっ面してんだ」
一哉がおれの眉間に寄った皺を指で押しながらそう言う。
ーーメンバーには、言ってしまおうか?
もし、おれたちが単独で行動したらきっとコイツらは怒るし悲しむだろう。
しかしーー。
その瞬間、メンバーをこの問題に巻き込むことになる。
おれはボーッとメンバーの顔を見ながらぐるぐると悩み続けた。
ええい、おれのポンコツ頭!
本当は、メンバーに話しちゃいたいって思ってるんだろ!
「ねえ、何か悩んでるなら話してみなよ」
おれの考えを見透かしたように、優がそう言った。
「悩みっていうか……」
おれは躊躇いながらも口を開いた。
「おれ……自分の手でこのニセモノの件に決着をつけようと思ってて」
「?どういう事?」
訝しむような翔太の言葉に、おれは意を決して話をし出した。
「おれが……おれたち二人が直接こいつら偽物のいる現場に乗り込んで、この二人と話をする」
「ーー本気か?」
清十郎が真剣な目でおれを見る。
「本気だよ。秋生とも少し話した」
「それを、おれたちに話したってことは……おれたちの力が必要ってことか?」
一哉がそう言ってニヤリと笑った。
「力というか……みんなに黙って行くのはちょっと違うかなって」
優と翔太、清十郎が顔を見合わせて同じく笑う。
「……その話、乗った」
「おれもだ」
「おれもー!」
次々にそう言うメンバーに、おれは涙腺が緩むのを感じる。
「勿論だが……事務所には内緒だよな?」
「うん。言ったら止められると思う」
「だろうね」
優はそう言うと、チラリと扉の外を見る。
「…と言うことは、敦士にも言わない方がいいな」
残念ながらそうなるな。
敦士はきっとなんだかんだで協力してくれると思う。
だからこそ、事務所から何か追求された時、一番に責められるのは敦士になってしまうからだ。
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おれは頷くと、具体的な案について話し始めた。
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