89 / 106
パパラッチフィーバー!
パパラッチフィーバー!12-2
しおりを挟む
翌日、おれは歌番組の控え室で絶望の底に叩き落とされていた。
ついに、公式ネットニュースの一部やスポーツ新聞がおれたちの事を報道し始めたからだ。
もちろん、「この人物は本物か?!」という体で書いているため、ギリギリグレーの線を貫いている。
このままではヤバイ。
おれはため息をつくと、おれのツイッターを開く。
そこにはファン同士、罵り合っている様子が窺えた。
もちろん、見つけ次第公式が削除してくれているが、次から次へと投稿されるため削除が追いつかない。
『信じてたのに!』
『裏切り者!』
『いつからユニット始動なんですか?!』
『AshurAをやめないで!』
おれは、ツイッターに踊る色々な言葉を見ると、ため息をついた。
みんなの不安な気持ちもわかる。
でも、匿名の掲示板だからと、こんなにむき出しの感情を出すことができると言うことにおれは今更ながら恐怖を感じていた。
そして、おれは以前から温めていた作戦を、今こそ開始するべきではないかと考える。
その作戦とは……おれたち自身が目撃情報のあるクラブに乗り込んで行って直接偽物に相対するって作戦だ。
もちろんこの作戦は誰にも言っていない。
言ったらおそらく事務所から止められるからだ。
おれはため息をつくとスマホの画面を閉じる。
決行をするなら失敗は許されない。
まかり間違って偽物が現れずに、おれたちがパパラッチに直撃されたら嘘が誠になってしまう。
「おら、凛。なにしかめっ面してんだ」
一哉がおれの眉間に寄った皺を指で押しながらそう言う。
ーーメンバーには、言ってしまおうか?
もし、おれたちが単独で行動したらきっとコイツらは怒るし悲しむだろう。
しかしーー。
その瞬間、メンバーをこの問題に巻き込むことになる。
おれはボーッとメンバーの顔を見ながらぐるぐると悩み続けた。
ええい、おれのポンコツ頭!
本当は、メンバーに話しちゃいたいって思ってるんだろ!
「ねえ、何か悩んでるなら話してみなよ」
おれの考えを見透かしたように、優がそう言った。
「悩みっていうか……」
おれは躊躇いながらも口を開いた。
「おれ……自分の手でこのニセモノの件に決着をつけようと思ってて」
「?どういう事?」
訝しむような翔太の言葉に、おれは意を決して話をし出した。
「おれが……おれたち二人が直接こいつら偽物のいる現場に乗り込んで、この二人と話をする」
「ーー本気か?」
清十郎が真剣な目でおれを見る。
「本気だよ。秋生とも少し話した」
「それを、おれたちに話したってことは……おれたちの力が必要ってことか?」
一哉がそう言ってニヤリと笑った。
「力というか……みんなに黙って行くのはちょっと違うかなって」
優と翔太、清十郎が顔を見合わせて同じく笑う。
「……その話、乗った」
「おれもだ」
「おれもー!」
次々にそう言うメンバーに、おれは涙腺が緩むのを感じる。
「勿論だが……事務所には内緒だよな?」
「うん。言ったら止められると思う」
「だろうね」
優はそう言うと、チラリと扉の外を見る。
「…と言うことは、敦士にも言わない方がいいな」
残念ながらそうなるな。
敦士はきっとなんだかんだで協力してくれると思う。
だからこそ、事務所から何か追求された時、一番に責められるのは敦士になってしまうからだ。
「敦士には後から謝ることにして……今回は敦士抜きで決行するか」
おれは頷くと、具体的な案について話し始めた。
ついに、公式ネットニュースの一部やスポーツ新聞がおれたちの事を報道し始めたからだ。
もちろん、「この人物は本物か?!」という体で書いているため、ギリギリグレーの線を貫いている。
このままではヤバイ。
おれはため息をつくと、おれのツイッターを開く。
そこにはファン同士、罵り合っている様子が窺えた。
もちろん、見つけ次第公式が削除してくれているが、次から次へと投稿されるため削除が追いつかない。
『信じてたのに!』
『裏切り者!』
『いつからユニット始動なんですか?!』
『AshurAをやめないで!』
おれは、ツイッターに踊る色々な言葉を見ると、ため息をついた。
みんなの不安な気持ちもわかる。
でも、匿名の掲示板だからと、こんなにむき出しの感情を出すことができると言うことにおれは今更ながら恐怖を感じていた。
そして、おれは以前から温めていた作戦を、今こそ開始するべきではないかと考える。
その作戦とは……おれたち自身が目撃情報のあるクラブに乗り込んで行って直接偽物に相対するって作戦だ。
もちろんこの作戦は誰にも言っていない。
言ったらおそらく事務所から止められるからだ。
おれはため息をつくとスマホの画面を閉じる。
決行をするなら失敗は許されない。
まかり間違って偽物が現れずに、おれたちがパパラッチに直撃されたら嘘が誠になってしまう。
「おら、凛。なにしかめっ面してんだ」
一哉がおれの眉間に寄った皺を指で押しながらそう言う。
ーーメンバーには、言ってしまおうか?
もし、おれたちが単独で行動したらきっとコイツらは怒るし悲しむだろう。
しかしーー。
その瞬間、メンバーをこの問題に巻き込むことになる。
おれはボーッとメンバーの顔を見ながらぐるぐると悩み続けた。
ええい、おれのポンコツ頭!
本当は、メンバーに話しちゃいたいって思ってるんだろ!
「ねえ、何か悩んでるなら話してみなよ」
おれの考えを見透かしたように、優がそう言った。
「悩みっていうか……」
おれは躊躇いながらも口を開いた。
「おれ……自分の手でこのニセモノの件に決着をつけようと思ってて」
「?どういう事?」
訝しむような翔太の言葉に、おれは意を決して話をし出した。
「おれが……おれたち二人が直接こいつら偽物のいる現場に乗り込んで、この二人と話をする」
「ーー本気か?」
清十郎が真剣な目でおれを見る。
「本気だよ。秋生とも少し話した」
「それを、おれたちに話したってことは……おれたちの力が必要ってことか?」
一哉がそう言ってニヤリと笑った。
「力というか……みんなに黙って行くのはちょっと違うかなって」
優と翔太、清十郎が顔を見合わせて同じく笑う。
「……その話、乗った」
「おれもだ」
「おれもー!」
次々にそう言うメンバーに、おれは涙腺が緩むのを感じる。
「勿論だが……事務所には内緒だよな?」
「うん。言ったら止められると思う」
「だろうね」
優はそう言うと、チラリと扉の外を見る。
「…と言うことは、敦士にも言わない方がいいな」
残念ながらそうなるな。
敦士はきっとなんだかんだで協力してくれると思う。
だからこそ、事務所から何か追求された時、一番に責められるのは敦士になってしまうからだ。
「敦士には後から謝ることにして……今回は敦士抜きで決行するか」
おれは頷くと、具体的な案について話し始めた。
12
お気に入りに追加
1,852
あなたにおすすめの小説

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い

俺の妹は転生者〜勇者になりたくない俺が世界最強勇者になっていた。逆ハーレム(男×男)も出来ていた〜
七彩 陽
BL
主人公オリヴァーの妹ノエルは五歳の時に前世の記憶を思い出す。
この世界はノエルの知り得る世界ではなかったが、ピンク髪で光魔法が使えるオリヴァーのことを、きっとこの世界の『主人公』だ。『勇者』になるべきだと主張した。
そして一番の問題はノエルがBL好きだということ。ノエルはオリヴァーと幼馴染(男)の関係を恋愛関係だと勘違い。勘違いは勘違いを生みノエルの頭の中はどんどんバラの世界に……。ノエルの餌食になった幼馴染や訳あり王子達をも巻き込みながらいざ、冒険の旅へと出発!
ノエルの絵は周囲に誤解を生むし、転生者ならではの知識……はあまり活かされないが、何故かノエルの言うことは全て現実に……。
友情から始まった恋。終始BLの危機が待ち受けているオリヴァー。はたしてその貞操は守られるのか!?
オリヴァーの冒険、そして逆ハーレムの行く末はいかに……異世界転生に巻き込まれた、コメディ&BL満載成り上がりファンタジーどうぞ宜しくお願いします。
※初めの方は冒険メインなところが多いですが、第5章辺りからBL一気にきます。最後はBLてんこ盛りです※

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
※どんどん年齢は上がっていきます。
※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

小悪魔系世界征服計画 ~ちょっと美少年に生まれただけだと思っていたら、異世界の救世主でした~
朱童章絵
BL
「僕はリスでもウサギでもないし、ましてやプリンセスなんかじゃ絶対にない!」
普通よりちょっと可愛くて、人に好かれやすいという以外、まったく普通の男子高校生・瑠佳(ルカ)には、秘密がある。小さな頃からずっと、別な世界で日々を送り、成長していく夢を見続けているのだ。
史上最強の呼び声も高い、大魔法使いである祖母・ベリンダ。
その弟子であり、物腰柔らか、ルカのトラウマを刺激しまくる、超絶美形・ユージーン。
外見も内面も、強くて男らしくて頼りになる、寡黙で優しい、薬屋の跡取り・ジェイク。
いつも笑顔で温厚だけど、ルカ以外にまったく価値を見出さない、ヤンデレ系神父・ネイト。
領主の息子なのに気さくで誠実、親友のイケメン貴公子・フィンレー。
彼らの過剰なスキンシップに狼狽えながらも、ルカは日々を楽しく過ごしていたが、ある時を境に、現実世界での急激な体力の衰えを感じ始める。夢から覚めるたびに強まる倦怠感に加えて、祖母や仲間達の言動にも不可解な点が。更には魔王の復活も重なって、瑠佳は次第に世界全体に疑問を感じるようになっていく。
やがて現実の自分の不調の原因が夢にあるのではないかと考えた瑠佳は、「夢の世界」そのものを否定するようになるが――。
無自覚小悪魔ちゃん、総受系愛され主人公による、保護者同伴RPG(?)。
(この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています)
無自覚両片想いの鈍感アイドルが、ラブラブになるまでの話
タタミ
BL
アイドルグループ・ORCAに属する一原優成はある日、リーダーの藤守高嶺から衝撃的な指摘を受ける。
「優成、お前明樹のこと好きだろ」
高嶺曰く、優成は同じグループの中城明樹に恋をしているらしい。
メンバー全員に指摘されても到底受け入れられない優成だったが、ひょんなことから明樹とキスしたことでドキドキが止まらなくなり──!?


転生したら弟がブラコン重傷者でした!!!
Lynne
BL
俺の名前は佐々木塁、元高校生だ。俺は、ある日学校に行く途中、トラックに轢かれて死んでしまった...。
pixivの方でも、作品投稿始めました!
名前やアイコンは変わりません
主にアルファポリスで投稿するため、更新はアルファポリスのほうが早いと思います!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる