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パパラッチフィーバー!

パパラッチフィーバー!⑨2

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おれは、コンビニで必要最低限のものを買うと、ありすちゃんの運転で綾斗の家に向かった。
事務所との協議の結果、しばらくは一人で居ない方がいいと言う事で、綾斗の家に厄介になることになったからだ。
着替えなんかは明日ありすちゃんが代わりに行って持ってきてくれることになっている。
綾斗の家も嗅ぎつけられたらホテルだな……。
おれは綾斗の家に入ると、まずはシャワーを勧められ、素直にそれに従う。
シャワーを浴びて脱衣所に出ると、綾斗のシャツとズボンを借りて着る。 
あ、パンツはコンビニで買ってきたぞ。
……クッソ!
袖も裾も三回曲げなきゃ着れない!
おれだって、成人男性の平均身長は超えてんだぞ?!
おれは、ずり落ちる肩を上げながら、リビングへ向かう。
案の定、綾斗はおれの姿を見て笑った。
……いや、違うな。
これは笑ったんじゃなくて悶えてる。
「……か…可愛い」
真っ赤になって口元を押さえている綾斗の胸元を叩くと、おれは恥ずかしくなって悪態をつく。
「笑うなー!」
おれはいまだに悶えている綾斗に抱き潰されると、ジタバタと暴れた。
「アキ……食べちゃいたい」
そう言っておれの頬に軽く噛み付く。
そのまま額、瞼にキスを落とすと、最後に唇にキスをした。
綾斗は触れるだけのキスをすると、おれの髪を撫で身体を離す。
おれは、なんとなく物足りなさを感じると、その思考にカッと頬が赤くなるのを感じた。
物足りないってなんだよ!
もっとして欲しいみたいじゃないか!
綾斗はそんなおれを見てクスッと笑うと、おれの耳元で囁く。
「……続きは後で」
つ……続きって何だよ!!
おれは顔をさらに赤くすると、綾斗は喉の奥で笑ってバスルームへ消えてゆく。
おれはソファーに座ると、悩みながらもスマホを開いた。
公式のネットニュースでは流石に取り上げられてはいないものの、ツイッターやユーチューブなどに数々のおれたちの噂が載っている。
おれと凛が二人でユニットを組むことを、正式に発表した事。
それぞれの事務所とは現在協議中という事。
そして……何よりも驚いたのは、二人が付き合っていると発表した事だ。
勿論、こんなのはガセだ。
おれは凛とは良い友達であるし、凛もそんなつもりは全くないと思う。
AshurAの事務所のMARSも、現在のところ何も公式発表せず、それはおれたちTrident側も同じだ。
勿論、現在水面下で両事務所が対応について協議しているところだろう。
勿論、偽物の尻尾を掴むために動きはじめてるはずだと思う。
自分で言うのも何だが、A’sもAshurAも、お互いの事務所にとってはトップのドル箱だ。
曲をリリースすればヒットチャート常連。
番組を作れば視聴率を取る。
雑誌に載れば完売する。
事務所にとっては傷つけたくない商品だと思う。
おれはソファの上で膝を抱えると、ため息をついた。
このニセモノの目的がわからないから、より気持ち悪さを感じてしまう。
おれは、ニセモノのインタビュー記事をボーッと眺めると、再びため息をついた。
と、不意にバスルームから出てきた綾斗に後ろからスマホを取り上げられる。
「こんな記事……見なくていい」
綾斗はそう言ってテーブルにおれのスマホを戻すと、おれの横に座り肩を抱いた。
「……そうだな。見ても仕方がないもんな」
おれはそう言うと、膝に顔を埋める。
「アキ」
綾斗は優しくおれの髪を撫ぜると、ギュッと抱きしめた。
「なあ、アキ。おまえは……LINが好きか?」
「……好きだよ。親友として、な」
「じゃあ……」
そこまで言って、綾斗は口を閉じる。
しばらくして、意を決したように再び口を開いた。
「じゃあ……おれのことは、好きか?」
「……すき、だよ」
「それは……どう言う意味で好きだ?」
おれは、綾斗の問いに自問自答をする。
どう言う好きか。
友達として。
メンバーとして。
そして………。
おれはそこまで考えて、顔が赤くなって来るのを感じる。
「わか……わかんない……」
おれは声を震わせてそう言うと、混乱する頭で考える。
恋愛対象として、すき?
その可能性について、否定できない自分がいる。
キスされても嫌じゃなくて、綾斗が他の人と話してるとムカついて、抱きしめられると安心する。
そんな、まさか。
おれは恐る恐る顔を上げると、切なげな瞳でおれを見下ろす綾斗がいる。
トクンと胸が躍った。
そのまま、顎を支えられて上を向けられると、綾斗の顔が近づく。
おれは、そのまま目を瞑った。
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