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パパラッチフィーバー!

パパラッチフィーバー!⑧2

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「……アキ、どうした?」
いつの間にかおれの隣に戻って来ていた綾斗が、おれの顔を覗き込んだ。
おれはその綾斗の何事も無かったかのような平然とした態度に余計イライラを募らせると、綾斗に当たり散らす。
「別に?おまえこそ何してたんだよ、女の子と仲良さそうにイチャイチャしてやがって……モテる男は違いますってか?」
おまえ、おれの事好きって言ったくせに、と言いかけて、それだけはすんでのところで言いとどまる。
「アキ……」
「なんだよ」
おれは、イライラを隠さずに綾斗を見上げると、予想に反して綾斗は目をキラキラさせておれを見ていた。
は?
こいつなんなの。
おれにキレられて嬉しそうとか……ドMなの?
「アキ……」
「だからなんだよ!」
「もしかして……嫉妬してるのか?」
「ーーはあ?!」
嫉妬?
おれが?
誰にーー?
おれは、ある可能性に思い至ると、カアッと顔が赤くなるのを感じる。
おれが綾斗と話している女の子に嫉妬している?
おまえ、おれのことが好きって言ったくせに、他の子と話してるんじゃねえよ!って?
おれは頭を振ると、その馬鹿げた思考を追い出そうとする。
「ば、ばかじゃねえ?そんなわけ…ないだろ!」
おれはそう言うと、居た堪れなさからセットから足早に遠ざかる。
丁度セットの死角になっている場所まで歩いてくると、おれは真っ赤になった口元を押さえた。
「アキ!」
綾斗がその後ろをついて来る。
ばか、ついてくんなよ!
おれは綾斗を振り返ると一言言ってやろうと口を開いた。
瞬間、強く綾斗に抱きしめられる。
「な……おい!」
おれを抱き潰す勢いで抱きしめる綾斗に抗議の声を上げると、綾斗の絞り出すような声が聞こえた。
「アキ、可愛すぎる。……これ以上好きにさせてどうしようって言うんだ……」
「は?!何言って……」
「おれが好きなのは、アキだけだよ。他には誰も要らない。だから……安心して」
「ばっ……だから別に嫉妬なんてしてないって言ってるだろ!!」
口ではそう言いながらも、イライラが少しおさまっていく感覚がおれをより混乱させる。
おれは、いったいどうしちゃったんだ。
綾斗に好きって言われてイライラがおさまるとか……。
おれはしっかりとおれをホールドしている綾斗を引き剥がすと、セットの方へと歩き出そうとする。
「アキ……好きだよ」
「……おれは好きじゃない!」
おれは子供のように舌を見せてベーッと変な顔を向けると、綾斗は一瞬ポカンとした後、フッと笑った。
「最高」
「はぁ?!ど変態!」
「褒め言葉だ」
クックッと笑いながら答える綾斗に、おれは根負けして口を閉じる。
おれは、トクトクと脈打つ胸の痛みには気が付かないふりをして、セットの灯の下へと向かった。
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