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パパラッチフィーバー!

パパラッチフィーバー!⑤2

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おれは、ありすちゃんと綾斗の二人に詰め寄られ、窮地に立っていた。
ありすちゃんはスマホの画面をおれに向けると「さあ説明しなさい」とばかりに指でメガネを上げた。
「だから、知らないって!これはおれたちじゃない」
「じゃあ、これは誰だ」
「おれが知りたいよ!」
おれは綾斗にそう言うと、自分のスマホを出す。
昨日撮った写真、送ってもらっといて良かった!!
おれは二人に昨日撮った写真を見せる。
そこには『友達以上。』の劇場版ポスターの前で映画の半券を手にポーズを決めているおれと凛の姿があった。
メガネにマスクだけど、これくらいならおれってわかるだろ。
「……本当ね。ここに写っている人達とも服が違うわ」
「だから言ったじゃん!おれこんな怪しいクラブとか行ってないよ!」
おれの言葉に、綾斗は素直に謝る。
「……すまんアキ。おまえのことを信じなくて……」
しゅんとする綾斗に、おれは頭をかいた。
確かにこの二人の背格好や服装、髪型なんかはおれたちにそっくりだ。
暗いところでの小さい写真だから、おれたちだって言われたら信じてしまうだろう。
「分かってくれたならいいよ」
おれはそう言うと、ため息をついた。
「けれど、これがあなたたちじゃなくても……あなたたちだと世間が勘違いしたら厄介ね。この写真は削除依頼をしましょう」
ありすちゃんはそう言うと、事務所に電話をかける。
「なんで……」
「……ん?」
「なんで、おれを誘ってくれなかったんだ」
「何がだよ」
「映画」
ああー……面倒くさい。
またいつもの相方愛拗らせたやつですか……。
「いや、映画って趣味があるだろ。どう考えてもおまえの趣味じゃないじゃん。興味のない映画見るほど辛いものないだろ」
「アキとの時間に辛い時間はない」
「……じゃなくて」
おれはため息をつくと、頭をかいた。
「あーもう、分かったよ。次の映画はおまえを誘ってやるから」
「本当か!」
綾斗はそう言うと嬉しそうに笑う。
何でこんな事で嬉しいんだ。
おれは凛に言われたことを思い出す。
ーー綾斗がおれのことを好き、ねえ。
正直に言えば、おれたちのファンの中に『そう言うファン』がいることは知ってる。
おれたちのことを所謂カップリングで表現するファンたちだ。
正直おれは腐男子だし、ファンの子達がそういう嗜好があっても全然構わない。
そういう本や読み物がおれの目に触れても、気持ち悪いとか思わないし、なんなら面白く読ませていただく所存だ。
A’sのいわゆる『王道』は綾斗×秋生とか綾秋とか言われるカップリングである。
もちろん逆もあるが、大概がおれが右側にいる事が多い。
ちなみにAshurAにもカップリングは存在する。
AshurAはメンバーが多いからカップリングは様々に存在するが、LIN受が一番の王道であるように思う(おれ調べ)。
SHO受とかもあるが、やはりLIN受が大半だ。
左側の相手は様々。
happiness以後は久我LINなんかも存在している。
おれは、時々エゴサならぬ、エゴBLサーチをするのだ。
それはファンサの為でもあるし、単純に趣味でもある。
しかし……実際この大型犬がおれのことを恋愛対象として見ていると言われても……正直ピンとこない。
おれは、ふと興味から綾斗に疑問をぶつけてみた。
「なあ……おまえ、おれのこと好きなの?」
「?もちろん好きだ」
だろうね。
「それって、どういう好き?キスとかしたい好き?」
「………」
おれの質問に、不意に綾斗が黙る。
あれ?
何で黙るの?
「おい、綾斗……」
あれ、やべえ。
もしかして『こいつ何言ってんの気持ち悪い』とか思われた?
おれの問いに、綾斗は口を開き、閉じて、また開く。
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