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パパラッチフィーバー!

パパラッチフィーバー!③2

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「次のコーナーは題して『どれだけメンバーの事を分かってるか』クイズ!」
司会役の芸人袴田がコーナー名を読み上げると、メンバーがわいわいと囃し立てる。
AshurAのメンバーも意外とノリが良いんだな。
「このゲームは、こちらからした質問をお一人に答えてもらい、残りのメンバーにはその答えを予想してもらうと言うゲームです。その答えが見事一致したら正解!外れた場合は酸っぱいジュースを飲んでもらいます!」
うわ、ベッタベタなゲームだなー。
おれは手渡されたボードを持つと、AshurAのメンバーを見る。
AshurAのメンバーも楽しそうにワイワイやっていた。
「一問目はAshurAの皆さんからは代表して、SHOさんが答えて、LINさんが予想してもらいます。A’sのお二人は綾斗さんが答えて、秋生さんが予想してもらいます」
お、おれが予想か!
まあ、綾斗は分かりやすいからな……。
ちなみに酸っぱいジュースは本当にめちゃくちゃ酸っぱい。
できれば飲みたくないから本気で行く。
「では問題!『無人島に何か一つを持っていくなら、何を持っていきますか?』シンキングタイム、スタート!」
「うわー何にしよー!」
SHOはそう言いながらも楽しそうにボードに何かを書いている。
凛は真剣に考えているようだ。
綾斗は……無表情で何かを書いている。
おれは、これしかないと言う答えを書き、全員の答えが出終わるのを待った。
「はい、終了!」
ププーっというSEが鳴り、各自ボードをスタンバイする。
「ーーではまず、答えを書いたSHOさん、ボードオープン!」
「はいはーい!じゃじゃーん!勿論『LIN』でーす!」
ぶふぉ!
おれは盛大に吹き出すと、同じように凛も吹き出している!
「いや、何でだよ!他に色々持っていくものあるだろ?!」
当のSHOはニコニコしながらそれを聞き流している。
「やー、だっておれ抱き枕ないと眠れないんだよー」
「いや、なんでいつおれがおまえの抱き枕になったよ?!てか、それなら抱き枕って書けよ!」
スタジオからは爆笑が起こっている。
「では、LINさん、答えをオープン!」
「くっそー!こんな答えありかよー!」
そうやって開いた答えは『スマホ』だった。
真面目か!
「残念ー!LINさんSHOさん答え合わずー!後でお二人には酸っぱいジュースを飲んでもらいます」
凛よ……あのジュースはトラウマになるレベルで酸っぱいぞ……。
「……では、続いて綾斗さん!答えオープン!」
「おれは……勿論『アキ』だ」
スタジオにドッと笑いが起きる。
「アンタもですか!」
袴田からのツッコミに、綾斗は無表情で頷く。
その天然さ加減に再びスタジオが湧いた。
「さあ、対して秋生さんは何と書いたでしょう……答えオープン!」
おれは言われてボードをひっくり返す。
「『おれ』」
「おおーっとこれは!まさかの正解!!」
「ええーまじかー!」
凛がそう言って頭を抱える。
「秋生さん、何で分かったんですか?」
袴田の問いに、おれはフフンと笑う。
「あれだろ、抱き枕の代わりだろ」
スタジオがドッとウケる。
「とか何とか言って、ウケ狙いで書いた答えが当たっちゃったんじゃないですかー?!」
「あ、バレた!」
再びスタジオが笑いに包まれる。
「うわ、一番格好つかないパターン!」
いや、実はマジで書いた、ごめん袴田。
おれは酸っぱいジュースを飲む気はない。
だからって「コイツおれのこと好きすぎだからねー」なんて言えないじゃん?
「ちなみに秋生さんは持っていくなら綾斗さんですか?」
「まさか!マネージャーのありすちゃんに決まってるだろ!」
「おーっと綾斗さんフラれた?!」
「アキ、何でおれじゃないんだ!」
「いや、逆になんで選ばれる気満々でいたんだよ!ありすちゃんとおまえ、生活能力が比べるべくもないだろう?!」
おれたちのファンの中でも、ありすちゃんは有能マネージャーとして有名だ。
なんなら、ありすちゃんのファンも居るくらいなのだ。
おれがありすちゃんの名前を出しても非難されないのはそう言う理由だ。
心外だ!と言うような綾斗に、スタジオから笑いが起こる。
「では酸っぱいジュースを飲むのはSHOさんとLINさんです!酸っぱいジュース、カモーン!」
「うわー酸っぱそう!」
「おれ酸っぱいの苦手……」
「では行きます!飲んでください!!」
「……っ!」
「……ゲホッ!」
ジュースを飲んだ途端、二人の顔が苦悶の表情に変わる。
酸っぱいだろう……おれはゲストと何かゲームする度にこれを飲む恐怖に怯えているんだ……。
「はい、罰ゲーム終了ー!」
ピピーッとSEが鳴り、ゲームが終了した。
そんなこんなで収録は滞りなく進み、ダンスバトルや音程当てなど様々なゲームをこなしていく。
その間、おれはAshurAのメンバーを見ていて気になった事があった。
ーーあれ、これ、AshurAリアルボーイズラブに発展してね?
おれは、凛には悪いが心の奥でワクワクしていた。
絶対皆凛の事好きだろ……長年ボーイズラブを見てきたおれだから判る。
多分、他の人たちは気がついてないと思うけどな。
勿論、ゲーム上でボーイズラブが当たり前だったからこそ、そう言う目線で見られるって言うのもあるけど……。
普通に生活してたらボーイズラブ妄想はしても、本当にボーイズラブが発生しているなんて思いもしないだろうからな。
おれはニヤける顔を押し隠すのに必死だった。
今度の映画の時に探りを入れてみよう。
おれはそう決めて、その日の収録を楽しく終えた。
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