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パパラッチフィーバー!
パパラッチフィーバー!②3
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おれは金魚のフンのようにおれにくっついて回る綾斗を引きずったまま、CM撮影のための衣装部屋にに移動する。
おれは白を基調、綾斗は黒を基調とした対照的なレザー風の衣装が格好いい。
ヘアセットをバッチリ決め、ヘッドホンを渡される。
おれは赤、綾斗は青。
おお、結構格好いい色だな。
「これ、新色?」
試し聞きの時にはなかった色だ。
「そうなんです。前回ご用意したのは黒だけだったんですが、今回は白黒赤青銀の5色展開になってます」
いいな。
おれは赤が好きだ。
「アキは赤が似合うな」
綾斗は目を細めてそう言っておれとヘッドホンを見比べる。
「まあ、おれには何色でも似合うけどな」
おれの言葉に綾斗は頷く。
「それは勿論そうだ。けど、アキの綺麗な金髪とピンクアッシュのカラーには赤が一番映える」
いや……クソ真面目にお褒めいただきありがとう。
おれは少し調子を崩されながらスタジオに入った。
スタジオはブルースクリーンで覆われており、壮大なCGと組み合わせて作成されることがよく判る。
「よろしくお願いしまーす」
「よろしくお願いします」
おれたちは各々別々の撮影になるらしい。
それを後で編集で合成するそうだ。
まずは綾斗のシーンの撮影。
ブルースクリーンの前でビシッとポーズを決めた決めた綾斗は、誰がなんと言おうと格好いい。
モデルができそうなほどの身長と、涼しげな目元が凛々しいイケメンだ。
実際、最初にスカウトされた時はモデルとしてスカウトされたらしい。
うん、わかるよ。
ーー黙ってればだけど。
そもそも綾斗はおれやありすちゃん以外にそんなに喋る方でもないから、その残念具合はバレてないんだけども。
「ーー空の向こうまで、遙かなる音」
「カット!オーケーです!」
綾斗のカットが終わり、一目散にこちらへ向かってくる。
うん、褒められたくて仕方がない犬だな。
ぴょこぴょこ動く耳とブンブン振ってる尻尾が見える。
「アキ、どうだった?」
「うん、よかったんじゃね?」
「そうか!」
「では次、日比野さんいきまーす」
おれはスタッフに呼ばれて、ヘッドホンを持ってブルースクリーンの前に立つ。
綾斗とは反対方向に身体を向け、目線を下に向けた。
「スタート!」
おれは下に向けていた視線を徐々に上げ、何かを見つめるように遠くに視線を向けた。
「ーー虹の先まで、果てのない音」
「……カット!オーケーです!」
綾斗の熱視線が暑苦しい。
おれは小さくため息をつくと、先回りして言葉をかける。
「おれが格好いいのは言われなくても知ってるぞ」
その言葉に、綾斗はブンブンと首を振る。
「ああ、アキは格好いいし、かわいい」
いや、最後の要らなくない?
今のシーンかわいい要素あった?
おれは眉を下げると、再びため息をつく。
「では、お二人一緒のシーン行きまーす!」
「ほら、行くぞ」
「ああ」
おれは綾斗と背中合わせに立つと、ヘッドホンをかぶる。
「では、行きます!……スタート!」
「ワイヤレスで繋がっている」
「究極の高音質」
カメラマンがおれと綾斗の周りを回り、順に写していく。
「この感動を」
「ぜひ、あなたに」
「ーーカット!いいねえ!」
最後は二人で並び、お互いのヘッドホンの耳に片手を当てる。
「最後のカット、行きまーす!……スタート!」
「「サニー ワイヤレスヘッドホン『Sコネクト』」」
「……カーット!オーケー」
カットがかかり、おれはモニターチェックをする。
うん、なかなかいい。
あとはCGとどう組み合わせられるかが楽しみだ。
おれは満足して頷くと、褒められ待ちの綾斗を振り返る。
「あー、うん、よかったと思うぞ」
「……!そうか!」
まったく何だってこんなに相方に褒められたがるんだ……。
おれは近づいてきたありすちゃんから水を受け取ると、そっとため息をついた。
「お疲れのところ悪いけど、着替えて少し休んだら次の打ち合わせに行くわよ」
「へいへい。人気者は忙しいねぇ」
おれはそう言うと、衣装から着替えるために楽屋へと向かった。
おれは白を基調、綾斗は黒を基調とした対照的なレザー風の衣装が格好いい。
ヘアセットをバッチリ決め、ヘッドホンを渡される。
おれは赤、綾斗は青。
おお、結構格好いい色だな。
「これ、新色?」
試し聞きの時にはなかった色だ。
「そうなんです。前回ご用意したのは黒だけだったんですが、今回は白黒赤青銀の5色展開になってます」
いいな。
おれは赤が好きだ。
「アキは赤が似合うな」
綾斗は目を細めてそう言っておれとヘッドホンを見比べる。
「まあ、おれには何色でも似合うけどな」
おれの言葉に綾斗は頷く。
「それは勿論そうだ。けど、アキの綺麗な金髪とピンクアッシュのカラーには赤が一番映える」
いや……クソ真面目にお褒めいただきありがとう。
おれは少し調子を崩されながらスタジオに入った。
スタジオはブルースクリーンで覆われており、壮大なCGと組み合わせて作成されることがよく判る。
「よろしくお願いしまーす」
「よろしくお願いします」
おれたちは各々別々の撮影になるらしい。
それを後で編集で合成するそうだ。
まずは綾斗のシーンの撮影。
ブルースクリーンの前でビシッとポーズを決めた決めた綾斗は、誰がなんと言おうと格好いい。
モデルができそうなほどの身長と、涼しげな目元が凛々しいイケメンだ。
実際、最初にスカウトされた時はモデルとしてスカウトされたらしい。
うん、わかるよ。
ーー黙ってればだけど。
そもそも綾斗はおれやありすちゃん以外にそんなに喋る方でもないから、その残念具合はバレてないんだけども。
「ーー空の向こうまで、遙かなる音」
「カット!オーケーです!」
綾斗のカットが終わり、一目散にこちらへ向かってくる。
うん、褒められたくて仕方がない犬だな。
ぴょこぴょこ動く耳とブンブン振ってる尻尾が見える。
「アキ、どうだった?」
「うん、よかったんじゃね?」
「そうか!」
「では次、日比野さんいきまーす」
おれはスタッフに呼ばれて、ヘッドホンを持ってブルースクリーンの前に立つ。
綾斗とは反対方向に身体を向け、目線を下に向けた。
「スタート!」
おれは下に向けていた視線を徐々に上げ、何かを見つめるように遠くに視線を向けた。
「ーー虹の先まで、果てのない音」
「……カット!オーケーです!」
綾斗の熱視線が暑苦しい。
おれは小さくため息をつくと、先回りして言葉をかける。
「おれが格好いいのは言われなくても知ってるぞ」
その言葉に、綾斗はブンブンと首を振る。
「ああ、アキは格好いいし、かわいい」
いや、最後の要らなくない?
今のシーンかわいい要素あった?
おれは眉を下げると、再びため息をつく。
「では、お二人一緒のシーン行きまーす!」
「ほら、行くぞ」
「ああ」
おれは綾斗と背中合わせに立つと、ヘッドホンをかぶる。
「では、行きます!……スタート!」
「ワイヤレスで繋がっている」
「究極の高音質」
カメラマンがおれと綾斗の周りを回り、順に写していく。
「この感動を」
「ぜひ、あなたに」
「ーーカット!いいねえ!」
最後は二人で並び、お互いのヘッドホンの耳に片手を当てる。
「最後のカット、行きまーす!……スタート!」
「「サニー ワイヤレスヘッドホン『Sコネクト』」」
「……カーット!オーケー」
カットがかかり、おれはモニターチェックをする。
うん、なかなかいい。
あとはCGとどう組み合わせられるかが楽しみだ。
おれは満足して頷くと、褒められ待ちの綾斗を振り返る。
「あー、うん、よかったと思うぞ」
「……!そうか!」
まったく何だってこんなに相方に褒められたがるんだ……。
おれは近づいてきたありすちゃんから水を受け取ると、そっとため息をついた。
「お疲れのところ悪いけど、着替えて少し休んだら次の打ち合わせに行くわよ」
「へいへい。人気者は忙しいねぇ」
おれはそう言うと、衣装から着替えるために楽屋へと向かった。
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