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君最!シリーズ日常編
翔太編②
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「ねえ凛、トマトベースのも一口ちょうだい!」
食べていると、翔太がそんなことをリクエストしてくる。
おれは「いいぞ」と皿を押し出そうとしたら、翔太はにっこり笑ってその口を開けた。
えーと。
これはあれか?
あーんしろと言うことか?
おれは苦笑いしながらパスタを一口大にまとめると、翔太の口に放り込んでやる。
「うまい?」
「うはい!」
翔太は嬉しそうにホクホクしてそう答えると、自分のパスタも一口大にまとめた。
「凛も、はいあーん!」
え?おれも?
強制的にあーんなの?!
おれは照れながら口を開けると、翔太がパスタを口に入れてくれる。
周りからクスクスと笑い声が聞こえた。
は、恥ずかしいぞこれ……!
翔太は平気なのか?!
おれはモグモグとパスタを噛みながら翔太を見る。
翔太は、なんだかとても幸せそうにニコニコしながらおれを見ていた。
「うまい?」
「うまいよ」
良かったーと翔太が笑うと、なんとなくおれも幸せな気分になった。
何気ないけど、こういう日常っていいな。
おれはそう思いながら再びパスタを口に運ぶと、翔太はニコニコしながら言葉を続ける。
「幸せだなー!飯は美味いし、凛は可愛いし!」
その言葉に、おれはゲホッとパスタをむせた。
だーかーら、お前らはなんで揃いも揃っておれのことを可愛いと思うわけ?
おれ、どう見ても立派な成人男性よ?
おれがわけがわからないというように眉を寄せると、おれの表情からおれの言いたいことを理解した翔太が笑いながら答える。
「だって可愛いもん。可愛いから可愛いの」
頬杖をついてそう言う翔太に、おれは苦笑した。
理屈じゃないものを否定はできない。
おれは「まあ悪く言われたわけじゃないし」と放っておくことにした……次の台詞を聞くまでは。
「ねえ、おれは?おれは格好いい?」
おれは再びパスタをむせると、翔太へ視線をやる。
その目は期待に満ち溢れている。
う、だめだ。
この目は裏切らない。
「格好いいよ」
おれがそう言うと、翔太はそれはそれは嬉しそうな顔で微笑んだ。
その顔は控えめに言っても物凄くイケメンで、おれが今言ったことが嘘ではないことを証明している。
おれはその笑顔にドキドキすると、思わず視線を彷徨わせる。
「……凛、照れてる?」
「う、うるさいな!翔太がイケメンなのが悪い!」
おれはお門違いな文句を言うと、翔太は再び嬉しそうに笑った。
「やっば。凛かわいすぎ」
どさくさに紛れて手を握るな、人前だぞ。
いや、人前じゃなかったらいいみたいに言っちゃったけども。
でも、おれの手を握る翔太の手は大きくて暖かくて優しい。
おかしいな、身長はほとんど変わらないのに、この手の違いはなんだ。
おれがドギマギしていると、不意にスッと手が離される。
おれは、ちょっとだけ名残惜しいと思っている自分に驚くと、それを悟られないように食事を再開する。
食事が済むと、おれたちは再び謎解きを再開した。
QRコードを読み込み、スマホで制限時間付きのクイズを解いたり、クロスワードを解いたり、本当に盛り沢山だった!
おれたちはなんとか全ての謎をクリアすると、最終報告書へと向かう。
「おめでとう!君たちは全ての謎を解き、一番早くここに辿り着いた!したがって、遺言書には三男の名前を記そう!」
最終報告書で報酬と書いた封筒をもらうと、係の人が記念撮影をしてくれる。
明らかに係の人もおれたちだって気がついているな、これ……。
おれたちは、二人で笑顔で肩を組んで撮影された。
おれたちはベンチに座って、報告書でもらった最後の冊子を読む。
結局、三男の提案で会社は三人力を合わせて経営していく旨が書かれていた。
うん、いい話だ。
なんとなく想像ついてたけど。
そして、封筒の中には記念品として謎解きストラップが一組入っていた。
探偵をモチーフにした、キセルと虫眼鏡の形をした一対の可愛いストラップ。
おれたちはそれを二人で分けると、お互いのスマホにつけた。
翔太は「お揃いだー!」とはしゃいでいる。
おれも、なんだか同じ時間を共有した証みたいに思えて、ちょっと嬉しかった。
夕日が綺麗だったから、最後におれたちは観覧車に乗る。
ゆらゆらとゆったりとした時間が流れて、いい気持ちだ。
「今日はありがとね、凛」
「おれこそありがとう。すげー楽しかった!」
「そっか!じゃあまた別のやろ!」
そう言いながら翔太は小指を出す。
おれは翔太の小指に自分の小指を絡めると、指切りをした。
瞬間、ぐいとその手を引かれ、おれは翔太の腕の中に倒れ込む。
「……凛、大好きだよ」
そう言って優しく額にキスをすると、翔太はニコッと笑った。
おれの頬が赤いのは夕日のせいだ。
決して照れたからでも見惚れたからでもない。
そのまま、おれは地上が近づくまで翔太に抱き寄せられたままだったのは内緒の話にしておいてほしい。
食べていると、翔太がそんなことをリクエストしてくる。
おれは「いいぞ」と皿を押し出そうとしたら、翔太はにっこり笑ってその口を開けた。
えーと。
これはあれか?
あーんしろと言うことか?
おれは苦笑いしながらパスタを一口大にまとめると、翔太の口に放り込んでやる。
「うまい?」
「うはい!」
翔太は嬉しそうにホクホクしてそう答えると、自分のパスタも一口大にまとめた。
「凛も、はいあーん!」
え?おれも?
強制的にあーんなの?!
おれは照れながら口を開けると、翔太がパスタを口に入れてくれる。
周りからクスクスと笑い声が聞こえた。
は、恥ずかしいぞこれ……!
翔太は平気なのか?!
おれはモグモグとパスタを噛みながら翔太を見る。
翔太は、なんだかとても幸せそうにニコニコしながらおれを見ていた。
「うまい?」
「うまいよ」
良かったーと翔太が笑うと、なんとなくおれも幸せな気分になった。
何気ないけど、こういう日常っていいな。
おれはそう思いながら再びパスタを口に運ぶと、翔太はニコニコしながら言葉を続ける。
「幸せだなー!飯は美味いし、凛は可愛いし!」
その言葉に、おれはゲホッとパスタをむせた。
だーかーら、お前らはなんで揃いも揃っておれのことを可愛いと思うわけ?
おれ、どう見ても立派な成人男性よ?
おれがわけがわからないというように眉を寄せると、おれの表情からおれの言いたいことを理解した翔太が笑いながら答える。
「だって可愛いもん。可愛いから可愛いの」
頬杖をついてそう言う翔太に、おれは苦笑した。
理屈じゃないものを否定はできない。
おれは「まあ悪く言われたわけじゃないし」と放っておくことにした……次の台詞を聞くまでは。
「ねえ、おれは?おれは格好いい?」
おれは再びパスタをむせると、翔太へ視線をやる。
その目は期待に満ち溢れている。
う、だめだ。
この目は裏切らない。
「格好いいよ」
おれがそう言うと、翔太はそれはそれは嬉しそうな顔で微笑んだ。
その顔は控えめに言っても物凄くイケメンで、おれが今言ったことが嘘ではないことを証明している。
おれはその笑顔にドキドキすると、思わず視線を彷徨わせる。
「……凛、照れてる?」
「う、うるさいな!翔太がイケメンなのが悪い!」
おれはお門違いな文句を言うと、翔太は再び嬉しそうに笑った。
「やっば。凛かわいすぎ」
どさくさに紛れて手を握るな、人前だぞ。
いや、人前じゃなかったらいいみたいに言っちゃったけども。
でも、おれの手を握る翔太の手は大きくて暖かくて優しい。
おかしいな、身長はほとんど変わらないのに、この手の違いはなんだ。
おれがドギマギしていると、不意にスッと手が離される。
おれは、ちょっとだけ名残惜しいと思っている自分に驚くと、それを悟られないように食事を再開する。
食事が済むと、おれたちは再び謎解きを再開した。
QRコードを読み込み、スマホで制限時間付きのクイズを解いたり、クロスワードを解いたり、本当に盛り沢山だった!
おれたちはなんとか全ての謎をクリアすると、最終報告書へと向かう。
「おめでとう!君たちは全ての謎を解き、一番早くここに辿り着いた!したがって、遺言書には三男の名前を記そう!」
最終報告書で報酬と書いた封筒をもらうと、係の人が記念撮影をしてくれる。
明らかに係の人もおれたちだって気がついているな、これ……。
おれたちは、二人で笑顔で肩を組んで撮影された。
おれたちはベンチに座って、報告書でもらった最後の冊子を読む。
結局、三男の提案で会社は三人力を合わせて経営していく旨が書かれていた。
うん、いい話だ。
なんとなく想像ついてたけど。
そして、封筒の中には記念品として謎解きストラップが一組入っていた。
探偵をモチーフにした、キセルと虫眼鏡の形をした一対の可愛いストラップ。
おれたちはそれを二人で分けると、お互いのスマホにつけた。
翔太は「お揃いだー!」とはしゃいでいる。
おれも、なんだか同じ時間を共有した証みたいに思えて、ちょっと嬉しかった。
夕日が綺麗だったから、最後におれたちは観覧車に乗る。
ゆらゆらとゆったりとした時間が流れて、いい気持ちだ。
「今日はありがとね、凛」
「おれこそありがとう。すげー楽しかった!」
「そっか!じゃあまた別のやろ!」
そう言いながら翔太は小指を出す。
おれは翔太の小指に自分の小指を絡めると、指切りをした。
瞬間、ぐいとその手を引かれ、おれは翔太の腕の中に倒れ込む。
「……凛、大好きだよ」
そう言って優しく額にキスをすると、翔太はニコッと笑った。
おれの頬が赤いのは夕日のせいだ。
決して照れたからでも見惚れたからでもない。
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