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脅迫状パニック!
脅迫状パニック!⑤-2
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「……はよ」
「おはよ」
おれは、何故かいつのまにか隣で寝ている優を見る。
あれ?なにこの体勢。
いつのまにか抱きしめられて寝てない?
優のベッドはキングサイズだから、男二人が寝てもまあ寝れるけど、こんなに近い必要ある?
優はおれの視線に気がつくと、ニッと笑っておれの額にキスをする。
……絶対面白がってる。
おれはペシっと優のおでこを叩くと、モソモソとベッドから起き上がる。
「もう起きるの?今日は午後からだよ?」
優はそう言うと、おれの腰に手を回してベッドへ引き戻した。
「もう少しこうしてようよ」
おれは優の腕の中に引き戻されると、その胸にのしかかるような体勢になる。
いやいや、重いだろ。
「わかった、わかったから……」
おれは優の横に寝転ぶと、優は肘をついておれの顔を覗き込む。
「……何?」
「かわいいなーって思って」
「はあ?!」
おれは目の玉を剥くと優の目を見る。
格好いいじゃ無くて?
「いや、もちろん格好いいよ」
だから心の中を読むなって。
おれはため息をつくと、天井を見つめる。
たまに、うちのメンバーはこう変なことを言い出す時がある。
まあ、これだけ毎日美形に囲まれてたら美的センスもおかしくなるのかもな。
あ、それはおれもか。
おれはそんな事を思いながら、再びウトウトと夢の世界へ旅立っていった。
「凛さんと優さん入りまーす!」
今日は引き続きアルバム曲の収録だ。
おれたちは、あの後ちょっとだけ寝坊をかまし、敦士の車では無くタクシーをかっ飛ばしてスタジオに入った。
優曰く『すごく気持ちよさそうに寝てたから、起こすの可哀想で』って事だけど、起きてたなら起こしてくれよ!
まあ、間に合ったからいいんだけどさ。
「えー!なんで、凛と優が一緒に来てんの?」
「ああ…昨日色々あってね。これから一緒に住むことになったんだ」
翔太の言葉に、優が何だか含みのある言い方をする。
「一緒に住むってどう言うことだ?!」
清十郎の訝しむ目線に、おれは慌てて訂正する。
「し、しばらくの間だぞ?」
「昨日も気持ちいいこと沢山したし、疲れて起きられなかったんだよね、凛」
そんなおれの訂正を無にするように、優はニヤニヤしながらおれの顔を見る。
くっそー昨日のことでからかってるな……。
「悪かったな!どうせ俺は初めてでしたよ!」
「?!」
「へ?!」
「なっ?!」
清十郎、翔太、一哉がそれぞれ素っ頓狂な声を上げる。
「き、気持ちいい事って……」
翔太の言葉に、おれは顔を火照らせて横を向く。
「おれ……今度の撮影でキスシーンがあるって話したらさ……優にファーストキス奪われた…」
「なんだ、キス……って、はぁ?!」
翔太がホッとしたような顔をしたのも束の間、直ぐにその眉を釣り上げて優を睨みつける。
「おい、どう言う事だ!」
清十郎に詰め寄られて、優は笑いながら答える。
「だって、撮影でファーストキスなんて味気ないでしょ?だから、ね」
「だからって……」
一哉はその形の良い眉毛を寄せると、優を睨みつける。
「なんだよ?」
一哉と優が一触即発の空気になった時、不意にスタジオに声が響く。
「LINさーん!LINさんにお届けものです!」
おれに届け物?
何か頼んだっけ?
大きさは三〇cm×四〇cmくらい。
「凛さん!触らないでください!」
おれが荷物を受け取ろうとすると、敦士が奥から飛んできて荷物を奪い取る。
「なにか、頼んだ覚えは?」
「なにも……」
「ですよね。嫌な予感がします。皆さんは少し離れていてください」
敦士はそういうと、おれたちを箱から遠ざけた。
そのまま、分厚い軍手をして慎重に箱を開ける。
「………っ!」
中を見た敦士が顔を歪めた。
爆発物などは入っていなかったらしいが、あの様子ではどうやら好意的なものとは真逆のものが入っていたらしい。
「……何が、入ってた?」
「皆さんは、見ない方が良いです」
そう言われて、おれは逡巡する。
昨日もそう言われて、見てショックを受けたからだ。
しかし、だからと言って今更中身を見なくても、心のモヤモヤが消えるわけではない。
おれは恐る恐る近づくと、箱の中を覗く。
「……っ!」
箱の中には、AshurAのCD、AshurA特集の雑誌、おれの写真集、おれのグッズなどが、ボロボロに破られたり破られたりして入れられていた。
中でも写真集はナイフで切り刻まれた挙句、表紙の顔の部分に赤いペンキが塗られ、ナイフが突き立てられたままで入っている。
そして、この間と同じような文面。
『LIN ドらマノ 出演を ヤめロ サもなケレバ オ前も コうなル』
おれは情けなくもクラクラと立ちくらみのような状態になる。
フラついたおれを、慌てて清十郎が支えた。
「大丈夫か?!凛!」
「だ、大丈夫……」
「ーーな訳ないでしょ。顔真っ青だよー」
翔太はそう言うと、おれの目の前から箱を遠ざける。
「おい、敦士。これはどう言う事だ」
敦士はため息をつくと、昨日の事を話し出した。
「おはよ」
おれは、何故かいつのまにか隣で寝ている優を見る。
あれ?なにこの体勢。
いつのまにか抱きしめられて寝てない?
優のベッドはキングサイズだから、男二人が寝てもまあ寝れるけど、こんなに近い必要ある?
優はおれの視線に気がつくと、ニッと笑っておれの額にキスをする。
……絶対面白がってる。
おれはペシっと優のおでこを叩くと、モソモソとベッドから起き上がる。
「もう起きるの?今日は午後からだよ?」
優はそう言うと、おれの腰に手を回してベッドへ引き戻した。
「もう少しこうしてようよ」
おれは優の腕の中に引き戻されると、その胸にのしかかるような体勢になる。
いやいや、重いだろ。
「わかった、わかったから……」
おれは優の横に寝転ぶと、優は肘をついておれの顔を覗き込む。
「……何?」
「かわいいなーって思って」
「はあ?!」
おれは目の玉を剥くと優の目を見る。
格好いいじゃ無くて?
「いや、もちろん格好いいよ」
だから心の中を読むなって。
おれはため息をつくと、天井を見つめる。
たまに、うちのメンバーはこう変なことを言い出す時がある。
まあ、これだけ毎日美形に囲まれてたら美的センスもおかしくなるのかもな。
あ、それはおれもか。
おれはそんな事を思いながら、再びウトウトと夢の世界へ旅立っていった。
「凛さんと優さん入りまーす!」
今日は引き続きアルバム曲の収録だ。
おれたちは、あの後ちょっとだけ寝坊をかまし、敦士の車では無くタクシーをかっ飛ばしてスタジオに入った。
優曰く『すごく気持ちよさそうに寝てたから、起こすの可哀想で』って事だけど、起きてたなら起こしてくれよ!
まあ、間に合ったからいいんだけどさ。
「えー!なんで、凛と優が一緒に来てんの?」
「ああ…昨日色々あってね。これから一緒に住むことになったんだ」
翔太の言葉に、優が何だか含みのある言い方をする。
「一緒に住むってどう言うことだ?!」
清十郎の訝しむ目線に、おれは慌てて訂正する。
「し、しばらくの間だぞ?」
「昨日も気持ちいいこと沢山したし、疲れて起きられなかったんだよね、凛」
そんなおれの訂正を無にするように、優はニヤニヤしながらおれの顔を見る。
くっそー昨日のことでからかってるな……。
「悪かったな!どうせ俺は初めてでしたよ!」
「?!」
「へ?!」
「なっ?!」
清十郎、翔太、一哉がそれぞれ素っ頓狂な声を上げる。
「き、気持ちいい事って……」
翔太の言葉に、おれは顔を火照らせて横を向く。
「おれ……今度の撮影でキスシーンがあるって話したらさ……優にファーストキス奪われた…」
「なんだ、キス……って、はぁ?!」
翔太がホッとしたような顔をしたのも束の間、直ぐにその眉を釣り上げて優を睨みつける。
「おい、どう言う事だ!」
清十郎に詰め寄られて、優は笑いながら答える。
「だって、撮影でファーストキスなんて味気ないでしょ?だから、ね」
「だからって……」
一哉はその形の良い眉毛を寄せると、優を睨みつける。
「なんだよ?」
一哉と優が一触即発の空気になった時、不意にスタジオに声が響く。
「LINさーん!LINさんにお届けものです!」
おれに届け物?
何か頼んだっけ?
大きさは三〇cm×四〇cmくらい。
「凛さん!触らないでください!」
おれが荷物を受け取ろうとすると、敦士が奥から飛んできて荷物を奪い取る。
「なにか、頼んだ覚えは?」
「なにも……」
「ですよね。嫌な予感がします。皆さんは少し離れていてください」
敦士はそういうと、おれたちを箱から遠ざけた。
そのまま、分厚い軍手をして慎重に箱を開ける。
「………っ!」
中を見た敦士が顔を歪めた。
爆発物などは入っていなかったらしいが、あの様子ではどうやら好意的なものとは真逆のものが入っていたらしい。
「……何が、入ってた?」
「皆さんは、見ない方が良いです」
そう言われて、おれは逡巡する。
昨日もそう言われて、見てショックを受けたからだ。
しかし、だからと言って今更中身を見なくても、心のモヤモヤが消えるわけではない。
おれは恐る恐る近づくと、箱の中を覗く。
「……っ!」
箱の中には、AshurAのCD、AshurA特集の雑誌、おれの写真集、おれのグッズなどが、ボロボロに破られたり破られたりして入れられていた。
中でも写真集はナイフで切り刻まれた挙句、表紙の顔の部分に赤いペンキが塗られ、ナイフが突き立てられたままで入っている。
そして、この間と同じような文面。
『LIN ドらマノ 出演を ヤめロ サもなケレバ オ前も コうなル』
おれは情けなくもクラクラと立ちくらみのような状態になる。
フラついたおれを、慌てて清十郎が支えた。
「大丈夫か?!凛!」
「だ、大丈夫……」
「ーーな訳ないでしょ。顔真っ青だよー」
翔太はそう言うと、おれの目の前から箱を遠ざける。
「おい、敦士。これはどう言う事だ」
敦士はため息をつくと、昨日の事を話し出した。
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