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お母さんとぼく

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 じゃましたのは、カレーのにおい。
   スパイスたっぷりで、でも甘くて。
 大好きなにおい、なのに。
 お母さんが窓を開けたとたん、においが、むわぁっ!と鼻を直げきした。

 ぎゃ!

 これは、今の僕とってはイヤなにおい!
 近づきたいのに近づけない。

 するとお母さんがぼくの気持ちを読み取ったかのように、窓を閉めて庭に出てきてくれた。
「にゃにゃ!」
 すかさず足にしがみついて甘えるぼく。お母さんはのどのあたりをくすぐってくれる。気持ちいいー!
「人なつっこい猫ちゃんね。それにしても健太遅いなぁ」
「にゃ!にゃにゃ!」
 ぼくだよ!ここにいるよ!
「はいはい、ふふっ」
 ちがうよ!くすぐってってことじゃないよ!
 言ってもわかってもらえない。

 するとニコニコしていたお母さんの顔が急にフリーズ。そのまま「くしゅん、くしゅん」とくしゃみをしだした。
「にゃ?」
 どうしたんだろ。
「心配してくれてるの?
 ごめんね、私猫アレルギーなの」
「にゃ……」

 その時、ぼくは決意した。
 やっぱり、お腹がすいてても元に戻るのが先だ!
 元に戻って、お母さんとカレーを食べるんだ!

 ぼくは身をひるがえした。
「あらもう行っちゃうの?」
 お母さんはさびしそう。
 待ってて!後でカレー食べようね!
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