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底知れぬ力。
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最初に目にした時は取るにたらない少女だと感じた。
こうして改めて敵対し現れた今であってさえ、先ほどまではそこまでの脅威とは感じていなかった。
しかし。
こちらの攻撃をいとも簡単にいなし、そして見せた最上級の炎、その魔力に。
魔道士サイレンの顔から、それまであった甘さが消える。
「あなたたち。勇者ノワールを襲っただけでは飽き足らず、その装備までもを奪ったのね!」
投げかけられたその言葉を否定も肯定もせずただ目の前の少女と敵対する選択をした彼ら三人。
後衛二人が一瞬躊躇するそのタイミングで、魔法剣士ソユーズだけがその手にした聖剣に雷を纏い上段から眼前のマキナめがけ斬りつける。
武技スキル駿動により、一瞬でその間合いを詰め振り下ろす。
イカズチと共に放たれたその斬撃。
左腕のアウラクリムゾンがその衝撃を滑らせるように受け流し、そのままマキナは右に飛んだ。
「く、受けぬか」
狙いが外れたとでもいうようにそう吐き出しそのまま追撃するソユーズ。
剣には剣で、とグラムスレイヤーで受けていれば、きっと雷撃が衝撃波と共にマキナを直撃しただろう。
であるからこそ受け流すマキナだったが、それだけでは無くそれまでマキナが居た場所を炎と氷の二つの攻撃魔法が通過していく。
一瞬遅れはしたがソユーズを援護するようにと攻撃魔法を連続で放つサイレンとラプラス。
三人の連携に防戦一方に見えるマキナ。
逃げるマキナに離されずそのまま追撃するソユーズに向かって、彼女はその手にしたグラムスレイヤーを真横に薙いだ。
魔法も何も付与されていないただの斬撃ではあったが、それはその剣を受けたままのソユーズを遥か後方にとすっ飛ばす。
それだけの重さを秘めていた。
「なんて剣だ!」
サイレンの炎とラプラスの氷の槍が素早くマキナを狙う。
彼女のアウラクリムゾンの盾は、空中に浮かびながらそれらを自動で全てはたき落とした。
各々が未だ全力での攻撃ではないものの、その非力に見える少女の底知れぬ能力に驚愕の表情を浮かべる。
しかし何故?
先ほどの魔法といい剣捌きといい、その剣の重さもそう。
本気に見えないのはその少女も一緒。
もしも一瞬でも本気を出せばこの界隈中が灼熱の海に変わる。
それほどの威力を秘めていた魔法を持ちながら、未だに彼女はその必殺の一撃を彼ら三人には向けてきてはいなかった。
「サイレン! ラプラス! お前たちは俺のこの聖剣に最大級の魔法を付与しろ! それでケリをつけるぞ!」
ソユーズには焦りが見えていた。
時間をかければかけるだけこの小娘の術中にハマるやもしれぬ、と。
だからこそ次の一撃でケリをつける。
勇者の剣、聖剣エクスカリバーを天に掲げ、そしてそこに自身の最大級の魔法、ゴッズディーンを纏わせた。
こうして改めて敵対し現れた今であってさえ、先ほどまではそこまでの脅威とは感じていなかった。
しかし。
こちらの攻撃をいとも簡単にいなし、そして見せた最上級の炎、その魔力に。
魔道士サイレンの顔から、それまであった甘さが消える。
「あなたたち。勇者ノワールを襲っただけでは飽き足らず、その装備までもを奪ったのね!」
投げかけられたその言葉を否定も肯定もせずただ目の前の少女と敵対する選択をした彼ら三人。
後衛二人が一瞬躊躇するそのタイミングで、魔法剣士ソユーズだけがその手にした聖剣に雷を纏い上段から眼前のマキナめがけ斬りつける。
武技スキル駿動により、一瞬でその間合いを詰め振り下ろす。
イカズチと共に放たれたその斬撃。
左腕のアウラクリムゾンがその衝撃を滑らせるように受け流し、そのままマキナは右に飛んだ。
「く、受けぬか」
狙いが外れたとでもいうようにそう吐き出しそのまま追撃するソユーズ。
剣には剣で、とグラムスレイヤーで受けていれば、きっと雷撃が衝撃波と共にマキナを直撃しただろう。
であるからこそ受け流すマキナだったが、それだけでは無くそれまでマキナが居た場所を炎と氷の二つの攻撃魔法が通過していく。
一瞬遅れはしたがソユーズを援護するようにと攻撃魔法を連続で放つサイレンとラプラス。
三人の連携に防戦一方に見えるマキナ。
逃げるマキナに離されずそのまま追撃するソユーズに向かって、彼女はその手にしたグラムスレイヤーを真横に薙いだ。
魔法も何も付与されていないただの斬撃ではあったが、それはその剣を受けたままのソユーズを遥か後方にとすっ飛ばす。
それだけの重さを秘めていた。
「なんて剣だ!」
サイレンの炎とラプラスの氷の槍が素早くマキナを狙う。
彼女のアウラクリムゾンの盾は、空中に浮かびながらそれらを自動で全てはたき落とした。
各々が未だ全力での攻撃ではないものの、その非力に見える少女の底知れぬ能力に驚愕の表情を浮かべる。
しかし何故?
先ほどの魔法といい剣捌きといい、その剣の重さもそう。
本気に見えないのはその少女も一緒。
もしも一瞬でも本気を出せばこの界隈中が灼熱の海に変わる。
それほどの威力を秘めていた魔法を持ちながら、未だに彼女はその必殺の一撃を彼ら三人には向けてきてはいなかった。
「サイレン! ラプラス! お前たちは俺のこの聖剣に最大級の魔法を付与しろ! それでケリをつけるぞ!」
ソユーズには焦りが見えていた。
時間をかければかけるだけこの小娘の術中にハマるやもしれぬ、と。
だからこそ次の一撃でケリをつける。
勇者の剣、聖剣エクスカリバーを天に掲げ、そしてそこに自身の最大級の魔法、ゴッズディーンを纏わせた。
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