マギアクエスト!

友坂 悠

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嬉しくて。

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「え、ちょっと」

 はう。ドギマギしてる? ノワ。

「あたし、昨日ギルドの前で困ってるところで貴方に助けてもらいました。覚えていないかもしれないけど。あの時はほんとに嬉しかったんです!」

「ああ。あの時の」

「大人の貴方も素敵だったけど、こうして子供の姿になった貴方もすごく可愛いです。お願いです。貴方のこと、これからもノワって呼んでもいいですか?」

 ふわっと。
 ほんとに少しだけど、ふんわりと微笑みをくれたノワ。

「もちろん! っていうか子猫の時、マキナさんにノワって呼ばれるたびに心の奥底が温かくなって。すごく幸せな気持ちになれたんです。こちらこそ、これからも仲良くしてくれると嬉しいです……」

「ありがとう!」

 あたしはその言葉がものすごく嬉しくて。思わずノワに抱きついてた。

 ドキ、ドキっと彼の心臓の鼓動が感じられる。
 ゴロゴロっていう子猫のそれではなかったけど、決して嫌がっているのではないことがあたしにもわかる。


 あたしはちょっと図々しかったかなとか反省しつつ、こっそりと彼の顔を覗き見た。
 少年の、まだ大人になりきれていないそんなあどけない雰囲気ではあったけれど、ノワは顔を真っ赤にしながらも優しい笑顔を向けてくれた。

 あたしはそれだけでなんだかみんな報われた気がして。

 そのままコツンと彼の頭におでこを当てたのだった。



 なんで子供の状態なのかはわからないけど、もしかしたらノワの身体は本当に魔獣の体に作り替えられたのかもしれない。
 そのせいで子供の身体からやり直してる、とかだろうか?

 精神的にはどうかわからないけどノワの身体はまだ子供だからだろう。
 次第に眠そうな表情になってきてうとうとしだしたところであたしは彼にお布団をかけて。
 そしてそのまま添い寝をすることにした。

 子猫の時のままに、あたしにくっついてすやすや寝息を立て始めたノワ。

 ふふ。

 朝まではまだ時間がある。

 っていうか朝になったら宿の人にどうやって言い訳しよう?

 ティファにはちゃんと本当のこと話してもいいかな?
 まあそうは言っても子猫が少年の姿になっちゃったっていうくらいの話だけど。

 彼女なら、きっと信じてくれるんじゃないかな?
 そんな予感がした。



 ⭐︎⭐︎⭐︎


 全て杞憂だった。
 おかみさんもダントさんも、もちろんティファも。
 ノワのことをさもありなんって感じで受け入れてくれた。

 なんでも使い魔となったものは人化の魔法を使うものも珍しくないのだとか。
 まあティファはそういうのは初めて見るらしくすごく物珍しげに見ていたけどそれでもね。


 ああもちろん、ノワが王子のノワールだっていうのは秘密だ。
 ノワにもそう言い聞かせた。
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