マギアクエスト!

友坂 悠

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第六王子。

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 お互いに真っ赤になってたら話が進まない。
 しばらくそのまま固まっていたら。

「助けて頂いて本当に感謝しています。ありがとうございます」

 そうこちらを覗き込むようにして真剣な目をしてそう言った。

 囁くように小さな声だったけど、それでも彼の誠実さが伝わってきて。

 あたしも顔をあげ、彼のことをしっかりと見る。

 整った顔立ち。綺麗な切長の瞳に長いまつ毛。
 見れば見るほどその美少年といった美しさに、あたしは既視感を覚えた。

 ノワール・エレ・キシュガルド。
 キシュガルド王国の第六王子。
 あたしが彼のことを好きになったのは、その生い立ちに同情したからであったけれど。
 ゲームにおけるイベントクエではもうすでに黒獣となってからの出会いしかなかった。

 って言うかゲームの中では彼が黒獣、イベントボスとなる過程はストーリー映像としてしか見ることができなかったのだ。
 当然、その前に助けるなんてことは不可能で。
 どうやっても、どんなにリプレイしても、彼と対峙して倒す以外にそのクエストをクリアする条件は存在しなかったのだ。

 そんなスチル映像の記憶。
 彼が幼少の頃お母様とお庭で遊ぶ姿が印象に残っていたけどそれを思い出し。

 ああ。
 やっぱりこの子はノワールなの?
 幼くなっているけど、ノワールの幼い頃、そっくりだ。

「ノワール?」

 あたしはぼそっとそう呟く。

「ええ。僕の名前はノワール・エレ・キシュガルド。この国の隣にあるキシュガルド王国の第六王子です」

 って。
 えー!?
 やっぱり?

 この子が第六王子?

 って言うか勇者ノワその人なの?

 あたしは自分の最初の直感が間違ってなかったって思いと、それでもあのかわいかった子猫と王子が結びつかなくて。

 それに、ノワは大人の男性だったはず。
 こんな、幼い男の子になっちゃってるだなんてどうなってるの!?

 ノワは、自分の手足を確認するように眺め、そして。

「僕はあそこで死んだはずでした。パーティのメンバーに裏切られ、瀕死な状態で倒れたところまでは覚えているんですが」

 って。
 じゃぁ。

「もう死んだのか、そう思ったのは自分の身体に金色の粒子が染み込んできた時でした。その後は意識が完全に子猫のようになってしまって、貴女にはご迷惑をおかけしました。本当に申し訳ないと思っています」

「ううん迷惑だなんて! そんなこと全然ないよ!」

 あたしは思わず彼の手を握りしめていた。
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