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黒猫の子猫。
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キュルルンとした黒曜石のようなまんまる目がこちらを覗き込むようにしてみている。
可愛らしいふさふさの耳をピンとたて、抱き上げているあたしの胸元に可愛らしいおててを揃えて。
はぁぁ。
かわいい!
キュアによって怪我も全て回復して、気がついたその子は一言ニャァと可愛らしく鳴いてから、そのままあたしの顔を不思議そうに見つめているのだった。
真っ黒なふさふさのその子猫。
っていうか、あたしってもしかして早まった?
でもでも。
もし普通の子猫、ううん、猫のモンスターだったとしても、こんなところで倒れてたら同じことをしたかもしれないし。
って。
今のあたしはこの子猫がノワールだと断言できないでいる。
意識を取り戻したこの子、本当に可愛らしくこちらを覗き込むようにみてるけど、警戒心とかそういうのは全く感じない。
本当の子猫のようにも見えるのだ。
確かに。
あたしがこの子をノワールに違いない! だなんて思ったのももしかしたらただの思い込みかもしれない。
もしかしたらここにはまだイベントボスは誕生していなくって。
たまたま生まれた魔獣同士が戦った上でこの子が巻き込まれボロ雑巾のように残されていただけ、って、そういう可能性だってないとは言えないのだ。
もしかしたらこの子はたまたま生まれた猫の魔獣の子供?
だったかもしれないのだから。
「ニャァ」
と、もう一回その子が鳴いた。
こちらをみて、天使のような可愛らしい顔で。
思わず頭を撫でてあげると、思いっきりとろけるように目を閉じるその子。
「ノワ?」
そう呼びかけてみる。
もうほんとのところどうなのかわからないけど、もしノワだったらそれなりに反応してくれるかもしれない。そう思って。
だけど。
「ゴロゴロゴロゴロ」
あたしの手に自分から頭を擦り付け気持ちよさそうにゴロゴロいってるその子猫。
ああもうほんと天使。
この子がもし魔獣の子だったとしても、もうすっかりとキュアに浄化されて毒気は抜けているのかもしれない。
元魔獣とは思えないくらいな可愛さだ。
うん。
どちらにしても、だ。
ここを破壊して、この子は連れて帰る。
そう決めた。
この魔窟の底の魔法陣を壊し、そうしてこの最奥の間の扉を塞ぐ。
そうすればもうここにはこれ以上魔獣が湧くこともないだろう。
あの蛇蝎のなんとかのようにこのダンジョンに潜り込んでいる冒険者がいないとも限らないから、入り口はしばらく開けておいてもいいかな。
「ホーリーアロー!!」
あたしは子猫を抱いたまま扉のところまで飛びすさり、光の槍を顕現させた。
聖なる氣を纏った光の槍。
それをこの魔獣を産む魔法陣のど真ん中に叩き込む。
燃えるように。
真っ赤な炎をあげ、魔法陣が崩壊していくのを確認して、大扉を閉めるあたし。
そのまま結界魔法で扉を封印すると、来た道を戻っていった。
ああ、途中でカイを拾っていかないとね。
胸元に子猫を抱き抱えながら、あたしは走った。
可愛らしいふさふさの耳をピンとたて、抱き上げているあたしの胸元に可愛らしいおててを揃えて。
はぁぁ。
かわいい!
キュアによって怪我も全て回復して、気がついたその子は一言ニャァと可愛らしく鳴いてから、そのままあたしの顔を不思議そうに見つめているのだった。
真っ黒なふさふさのその子猫。
っていうか、あたしってもしかして早まった?
でもでも。
もし普通の子猫、ううん、猫のモンスターだったとしても、こんなところで倒れてたら同じことをしたかもしれないし。
って。
今のあたしはこの子猫がノワールだと断言できないでいる。
意識を取り戻したこの子、本当に可愛らしくこちらを覗き込むようにみてるけど、警戒心とかそういうのは全く感じない。
本当の子猫のようにも見えるのだ。
確かに。
あたしがこの子をノワールに違いない! だなんて思ったのももしかしたらただの思い込みかもしれない。
もしかしたらここにはまだイベントボスは誕生していなくって。
たまたま生まれた魔獣同士が戦った上でこの子が巻き込まれボロ雑巾のように残されていただけ、って、そういう可能性だってないとは言えないのだ。
もしかしたらこの子はたまたま生まれた猫の魔獣の子供?
だったかもしれないのだから。
「ニャァ」
と、もう一回その子が鳴いた。
こちらをみて、天使のような可愛らしい顔で。
思わず頭を撫でてあげると、思いっきりとろけるように目を閉じるその子。
「ノワ?」
そう呼びかけてみる。
もうほんとのところどうなのかわからないけど、もしノワだったらそれなりに反応してくれるかもしれない。そう思って。
だけど。
「ゴロゴロゴロゴロ」
あたしの手に自分から頭を擦り付け気持ちよさそうにゴロゴロいってるその子猫。
ああもうほんと天使。
この子がもし魔獣の子だったとしても、もうすっかりとキュアに浄化されて毒気は抜けているのかもしれない。
元魔獣とは思えないくらいな可愛さだ。
うん。
どちらにしても、だ。
ここを破壊して、この子は連れて帰る。
そう決めた。
この魔窟の底の魔法陣を壊し、そうしてこの最奥の間の扉を塞ぐ。
そうすればもうここにはこれ以上魔獣が湧くこともないだろう。
あの蛇蝎のなんとかのようにこのダンジョンに潜り込んでいる冒険者がいないとも限らないから、入り口はしばらく開けておいてもいいかな。
「ホーリーアロー!!」
あたしは子猫を抱いたまま扉のところまで飛びすさり、光の槍を顕現させた。
聖なる氣を纏った光の槍。
それをこの魔獣を産む魔法陣のど真ん中に叩き込む。
燃えるように。
真っ赤な炎をあげ、魔法陣が崩壊していくのを確認して、大扉を閉めるあたし。
そのまま結界魔法で扉を封印すると、来た道を戻っていった。
ああ、途中でカイを拾っていかないとね。
胸元に子猫を抱き抱えながら、あたしは走った。
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