マギアクエスト!

友坂 悠

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精霊ギア・キュア。

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「大丈夫!?」

 思わずそう声をかけるけど返事はない。
 完全に沈黙している。
 ああ、間に合って。

 あたしはその子のそばに駆け寄ると、上半身を抱き上げる。
「う、ぐ」
 ああ息はまだある。
 よかった。

 その子、カイを膝の上に寝かせたままあたしは回復魔法を発動した。
「お願い。キュア」
 手をかざし、放たれる金色のマナ。

 生命を司る精霊ギア、キュア。
 普通のヒール魔法では追いつきそうにない重症に、あたしはキュアの力を借りることにした。
「キュア・ヒール!!」
 金色の粒子が溢れ、カイの身体に染み込むように入っていく。

「ごほっ」
 肺に溜まっていたであろう血溜まりを吐き出したカイ。
 ああでも呼吸が楽になったみたいに、すうすう息をしだした。
 うん。これなら大丈夫、かな。

 肉体の損傷はほぼ回復した。
 皮膚の裂傷も消え、ピンク色の新しい表皮が見える。

 今はまだ意識が戻っていないけど。
 なんとか。

 ⭐︎⭐︎⭐︎



 この世界。マギアクエストの世界において人は全ての力の源である神の氣マナをその魂《レイス》に宿す。

 そのレイスに開いた穴。ゲートよりマナを放出し、仕事《エネルギー》に変える方法の事を魔法《マギア》といい、その魔法を行使するための力の事を魔力と呼んでいる。

 世界はギア、魔力の子、精霊であるギアで溢れ。そのギアがマナを変換して魔法《マギア》に変える。つまりは魔力の多さとは如何にギアと同調し使いこなす事ができるか、という、魔力特性値《マギアスキル》の過多にかかっているのだった。

 通常の人間は大体特性値が5とか6とかそれくらい。人族でちょっと魔法が使えるレベルの人で20~30くらい。魔法に長けた獣人族やエルフで90、そして魔族や、人族の中でも聖女や聖人と呼ばれるものは100を超えるという。



 魔力の子、精霊ギア。

 このマギアクエストの世界に満遍なく存在する神の子。


 魔力特性値が高ければ高いほどこのギアとの親和性が上がり、より多くの複雑な魔法を行使できるようになる。




 火のアーク。
 水のバアル。
 風のアウラ。
 土のオプス。

 これら四大元素の子らと。

 時のエメラ。
 漆黒のブラド。
 金のキュア。
 光のディン。

 これらの四大天使の子ら。


 物質の化学変化に干渉するアーク。
 物質の温度変化に干渉するバアル。
 空間の位相、位置エネルギーに干渉するアウラ。
 そして、それらの物質そのもの、この空間に物質を創造し生み出すことのできるオプス。

 時空を司るエメラ。
 漆黒の、闇、重力を司るブラド。
 全ての命の源。金のキュア。
 光の、エネルギーそのものを司る、ディン。


 ギアはこれら代表的なものだけではなく細かいものはもっと沢山の種類が存在するのだけれど。

 彼らとシンクロする事でその権能を、力を行使する。その方法のことが魔法《マギア》と呼ばれているのだ。


 あたしマキナはどうやらギアと心で通じる事ができる。

 心に思い浮かべるだけで彼らの権能を解放することができた。

 魔力特性値が無限大∞ということは、そういうことだったのだ。
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