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魔法。
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ゲームの中で魔法を使うのは簡単だった。
そりゃあね?
ボタンでコマンド選択するだけだもの。簡単に決まってる。
普通レベルが上がるごとに新しい魔法を覚えていくものなんだけど、あたしのマキナは最初からデフォルトでほぼ基本魔法を網羅してた。
よく使うものはジョグコマンドにセットしておけばさっと魔法を行使できたし、普通に過ごしてる範囲ではMP切れなんか心配したこともなかったっけ。
そういう意味ではこうしてゲームの世界が現実になってしまうと、あたしは魔法の使い方すらわからないことに気がついた。
って、コマンド画面もステータス画面も見当たらないんだもの。
アイテムボックスだって、選択することができないってほんと詰んでる。
色々集めたあの装備、この世界にも持って来れたのならもうちょっと楽だったろうになぁと、門番のおじさんにいただいた素朴な槍を構えつつ思う。
ビュンって振ってみると、ミシっと音がした。
あうあう。
もしかしてこれあたしが全力で振るうと壊れちゃう?
それは困るな。
歩きながら空中を弄ってみるけどやっぱりなんの画面も出てくるわけもなく。
そうだよね。おはなしのようにうまくいくわけはないよね。
そんなふうにも考える。
あたしがよく読んでた異世界物のお話では、結構女神様とかからチート能力を授かるシーンとかが多かった。
転生する時に女神様がいる場所を訪れて、そこでチートを授かったり。
あたしの場合はそんなこともなかったし。
ここがゲームの世界とおんなじ世界観だっていうのは多分間違いないしあたしのこの容姿がゲームのアバターであるマキナだったっていうのももう間違いのない事実。
実際、この身体の身体能力は通常の人のそれを大きく逸脱している。
この世界の冒険者であっても、ジャンピングキック一発でグリズリーを退治してしまうような人はほぼいないそうだ。
それもあってあたし、ギルドで自分がキックでグリズリーを殺しちゃったって話はするの躊躇われ。
だって、そんなことを言ったら変に思われるくらいじゃすまないことない?
国の機関に捕まって人体実験されるとか、そんなSFみたいなシチュエーションはやっぱり避けたい。
そんなことを考えながら歩いていると目の前に目的地の林が見えた。
せめて魔法が少しでも使えたらなぁ。
この先も結構楽になるだろうに。
林に踏み入ればまた野獣や魔物と遭遇するかもしれない。
このフィジカルの高さなら倒すのはそんなに難しくないかもしれない。
でも、毒持ちのモンスターや状態異常のスキルを放つ敵だっているだろう。
そんなの相手に体力だけでどうにかなるとも思えないし。
はあ。
とため息をつきながら考える。
マギアクエストの設定では、さっきも思い出したけど魔法って、
「人は体内にある魂《レイス》から、ゲートを通してマナを放出する。
それを魔力《エネルギー》に変換し、力を行使する」
って事だったよね?
そもそも魂? ゲート? そんな物、あたしにも感じることができるんだろうか?
まあ魂《レイス》って心のことだよね?
そんなふうに思ったあたし、自分の心の奥底を見つめてみる。
瞑想?
そんなふうに。
林に入ると危険もあるかもだからとその前に。
ちょっとした草原にしゃがんで、ゆっくりと目を閉じた。
風を感じる。
草木の匂いもわかる。
地面がひやっと冷たいのも。
五感がだんだんと広がっていくような気がして。
そして、それがだんだんと収束し。
あたしはあたしそのものだけを意識してみたのだった。
そりゃあね?
ボタンでコマンド選択するだけだもの。簡単に決まってる。
普通レベルが上がるごとに新しい魔法を覚えていくものなんだけど、あたしのマキナは最初からデフォルトでほぼ基本魔法を網羅してた。
よく使うものはジョグコマンドにセットしておけばさっと魔法を行使できたし、普通に過ごしてる範囲ではMP切れなんか心配したこともなかったっけ。
そういう意味ではこうしてゲームの世界が現実になってしまうと、あたしは魔法の使い方すらわからないことに気がついた。
って、コマンド画面もステータス画面も見当たらないんだもの。
アイテムボックスだって、選択することができないってほんと詰んでる。
色々集めたあの装備、この世界にも持って来れたのならもうちょっと楽だったろうになぁと、門番のおじさんにいただいた素朴な槍を構えつつ思う。
ビュンって振ってみると、ミシっと音がした。
あうあう。
もしかしてこれあたしが全力で振るうと壊れちゃう?
それは困るな。
歩きながら空中を弄ってみるけどやっぱりなんの画面も出てくるわけもなく。
そうだよね。おはなしのようにうまくいくわけはないよね。
そんなふうにも考える。
あたしがよく読んでた異世界物のお話では、結構女神様とかからチート能力を授かるシーンとかが多かった。
転生する時に女神様がいる場所を訪れて、そこでチートを授かったり。
あたしの場合はそんなこともなかったし。
ここがゲームの世界とおんなじ世界観だっていうのは多分間違いないしあたしのこの容姿がゲームのアバターであるマキナだったっていうのももう間違いのない事実。
実際、この身体の身体能力は通常の人のそれを大きく逸脱している。
この世界の冒険者であっても、ジャンピングキック一発でグリズリーを退治してしまうような人はほぼいないそうだ。
それもあってあたし、ギルドで自分がキックでグリズリーを殺しちゃったって話はするの躊躇われ。
だって、そんなことを言ったら変に思われるくらいじゃすまないことない?
国の機関に捕まって人体実験されるとか、そんなSFみたいなシチュエーションはやっぱり避けたい。
そんなことを考えながら歩いていると目の前に目的地の林が見えた。
せめて魔法が少しでも使えたらなぁ。
この先も結構楽になるだろうに。
林に踏み入ればまた野獣や魔物と遭遇するかもしれない。
このフィジカルの高さなら倒すのはそんなに難しくないかもしれない。
でも、毒持ちのモンスターや状態異常のスキルを放つ敵だっているだろう。
そんなの相手に体力だけでどうにかなるとも思えないし。
はあ。
とため息をつきながら考える。
マギアクエストの設定では、さっきも思い出したけど魔法って、
「人は体内にある魂《レイス》から、ゲートを通してマナを放出する。
それを魔力《エネルギー》に変換し、力を行使する」
って事だったよね?
そもそも魂? ゲート? そんな物、あたしにも感じることができるんだろうか?
まあ魂《レイス》って心のことだよね?
そんなふうに思ったあたし、自分の心の奥底を見つめてみる。
瞑想?
そんなふうに。
林に入ると危険もあるかもだからとその前に。
ちょっとした草原にしゃがんで、ゆっくりと目を閉じた。
風を感じる。
草木の匂いもわかる。
地面がひやっと冷たいのも。
五感がだんだんと広がっていくような気がして。
そして、それがだんだんと収束し。
あたしはあたしそのものだけを意識してみたのだった。
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