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第二部。
神々。
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「世界が再生されるとその緑の大地に神が降臨されました。
全知全能の神、主神、デウス。
天空神、空間を司る神、エクス。
魔皇神、加護を司る神、マキナ。
これら三位一体の神と。
母なる大地の神、ディア。
天神、ウラヌス。
海神、ネプチューン。
月神、ルナアルテミス。
命と癒しの神、マリア。
異能の神、獣神、ニャルラト。
愛と美の神、アフロディテ。
光の神、太陽神、アマテラス。
時の神、クロノス。
そして、闇を司る暗黒神ブラド。
これらの神々によって世界は再び文化を取り戻し、発展してゆきました。
そして、役目を終えた神々はお隠れになった。
もはや人の子が自分達の力でこの世界で生きていけると確信し、神々は人には見えぬ高次元へとその身をお隠しになったのです。
この世界に残る聖遺物はそのほぼ全てがこの時期に神によって残されたものとなります。それゆえ、その構造も不明であり再現不可能な技術として現代に伝わっているのです。
ちなみにこのワタシも、その聖遺物の一つであるのですよ?」
(え? ではタビィは……)
この可愛らしいうさぎのぬいぐるみのように見えるオート・マタ。
彼女は神をご存じなのだろうか?
そんな疑問が頭を擡げる。
神に護られた国、そうこの国は表現されているけれど。
すでに人々の暮らしの中の神は現実のものとほど遠く神話や御伽噺の中の出来事として捉えられていた。
人々にとって神とは、もはや信仰はあるもののそれを身近に実在として感じてはいない、そんな存在となってしまっていたから。
シルフィーナにとっても、神というものの存在を感じることはできても、実際に目に見たこともないもの、そんな神々をこのタビィが知っているのであれば聞いてみたい。
そんなふうに興味が湧いて。
「もちろん、ギアたち、アウラやキュアたちも神がこの世界に残されたのですよ」
ああ。
じゃぁ。
(そうよシルフィーナ。あたしたちもタビィと一緒)
(ふふ。シルフィーナ、大好き)
「そうやって貴女の周りを飛び回っているギアたちも、みな神の残された子供たちなのです」
タビィがそうシルフィーナの方を指差し言うのに、驚いて。
「タビィ、あなた、キュアたちが見えるのですか!?」
そう声を出していた。
「それはもちろん。ワタシたちは同じキョウダイですから」
そういって両手を広げるタビィ。
その周囲にチカチカと飛び交う天子たち。
それは、シルフィーナにとって、初めての経験だった。
自分にだけその姿が見える、話せると、そんなふうにも感じていた天子たち。
旦那様にも、お義母さまにも、エヴァンジェリンにも、アウレリアにも、同じ光景は見えないのだと、感じては貰えないのだと、そう諦めていたのに。
この子、タビィは自分と同じようにキュアやアウラと話せるのだと。
姿を見ることができるのだと わかって。
嬉しかった。
初めて神様をほんとうの意味で信じることができた、瞬間だった。
全知全能の神、主神、デウス。
天空神、空間を司る神、エクス。
魔皇神、加護を司る神、マキナ。
これら三位一体の神と。
母なる大地の神、ディア。
天神、ウラヌス。
海神、ネプチューン。
月神、ルナアルテミス。
命と癒しの神、マリア。
異能の神、獣神、ニャルラト。
愛と美の神、アフロディテ。
光の神、太陽神、アマテラス。
時の神、クロノス。
そして、闇を司る暗黒神ブラド。
これらの神々によって世界は再び文化を取り戻し、発展してゆきました。
そして、役目を終えた神々はお隠れになった。
もはや人の子が自分達の力でこの世界で生きていけると確信し、神々は人には見えぬ高次元へとその身をお隠しになったのです。
この世界に残る聖遺物はそのほぼ全てがこの時期に神によって残されたものとなります。それゆえ、その構造も不明であり再現不可能な技術として現代に伝わっているのです。
ちなみにこのワタシも、その聖遺物の一つであるのですよ?」
(え? ではタビィは……)
この可愛らしいうさぎのぬいぐるみのように見えるオート・マタ。
彼女は神をご存じなのだろうか?
そんな疑問が頭を擡げる。
神に護られた国、そうこの国は表現されているけれど。
すでに人々の暮らしの中の神は現実のものとほど遠く神話や御伽噺の中の出来事として捉えられていた。
人々にとって神とは、もはや信仰はあるもののそれを身近に実在として感じてはいない、そんな存在となってしまっていたから。
シルフィーナにとっても、神というものの存在を感じることはできても、実際に目に見たこともないもの、そんな神々をこのタビィが知っているのであれば聞いてみたい。
そんなふうに興味が湧いて。
「もちろん、ギアたち、アウラやキュアたちも神がこの世界に残されたのですよ」
ああ。
じゃぁ。
(そうよシルフィーナ。あたしたちもタビィと一緒)
(ふふ。シルフィーナ、大好き)
「そうやって貴女の周りを飛び回っているギアたちも、みな神の残された子供たちなのです」
タビィがそうシルフィーナの方を指差し言うのに、驚いて。
「タビィ、あなた、キュアたちが見えるのですか!?」
そう声を出していた。
「それはもちろん。ワタシたちは同じキョウダイですから」
そういって両手を広げるタビィ。
その周囲にチカチカと飛び交う天子たち。
それは、シルフィーナにとって、初めての経験だった。
自分にだけその姿が見える、話せると、そんなふうにも感じていた天子たち。
旦那様にも、お義母さまにも、エヴァンジェリンにも、アウレリアにも、同じ光景は見えないのだと、感じては貰えないのだと、そう諦めていたのに。
この子、タビィは自分と同じようにキュアやアウラと話せるのだと。
姿を見ることができるのだと わかって。
嬉しかった。
初めて神様をほんとうの意味で信じることができた、瞬間だった。
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