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マキアベリ領へ。

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「だから! どうして君がついてくるんだ! 家で大人しくしていてくれって言っただろう?」

「だって。危険なんでしょう? またあの時みたいに強い魔人が出てきたら、ルーク様が危険な目に遭ったら嫌だもの」

「今回は力のある魔道士も大勢帯同している、その辺に関してはしっかり備えてきているから」

「だって」

「私は君の方が心配なんだ。確かに君の魔法は強力だ。しかし君の身体はそれに耐えられないだろう? 前の時のように倒れてしまったらどうするんだ」

「だって」

「だってじゃない、明日には王都行きの馬車を手配する。お願いだから大人しく帰ってくれないか」

 セラフィーナの両手をギュッと握り、そう懇願するルークヴァルト。
 ここを過ぎれば後もう少しで目的地マキアベリ領に入る。
 宿場町ラフェンの宿。
 騎士団は町の外にテントを張っている。セラフィーナを見つけたルークヴァルトが彼女の為にと取った部屋だった。

「だって心配なんだもの」

「ありがとう。君が心配してくれる気持ちは嬉しいよ。でも、私だって君が心配なんだ」

 魔法を使って意識を失ったところを見られている分、あまり強く出られないセラフィーナ。
 それでもここは引けない。

「じゃぁ、わたしここで待ってる。ならいいでしょう?」

「うーん。無理はしないって約束できる?」

「ええ、まかせて」

「なら……。絶対だよ」

 それじゃぁ自分は団の宿営地に戻るからと部屋を後にするルークヴァルト。

(せっかくここまでついてきたのだもの。帰るだなんて論外だわ)
 そう心の中で舌を出す。
(それに。この距離ならなんとかなりそう。ルークヴァルト様の魔力紋も追えそうだし)

 前と違い、意識を集中すればすぐ彼の居場所を把握できるようになった。
 流石に王都に居たままではここまで意識をつなげるのは無理だったけれど、ここまで来て仕舞えば目的地はすぐそこ。
 いざとなったらまた空間転移で駆けつけても良さそうだ。

 そう算段し、今日のところはこの宿で眠ることにする。

 それにしても。
 そろそろ良いかなって彼の前に姿を現したのは失敗だった。
 彼を困らせたいわけじゃなかった。ただただ黙って彼の力になりたい、そう思っただけだったのに。
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