69 / 74
料理の再現。
しおりを挟む
オムライスだけじゃない。
ハンバーグステーキにエビピラフ、カレーライスもある?
スパゲティも色々種類があるし、何これピザ?
なんだか日本のファミレスにあるようなメニューが並んでる。それもみんなカタカナで名前が書いてある。
地球の料理、ではなくて、あきらかに20世紀後半から21世紀前半の日本のファミレス料理。
日本食がないのはここが洋風レストランな所為かな。
きっと、ジェフさんのご先祖様は、日本食だって作ろうと思えば作れたんだろう。
食材が揃うかどうかはまた別として。
って、ほんとこれはもう確定、だ。
この世界には日本から来た人がいたんだってこと。
「この文字は……?」
「ああ、君にはこれがちゃんと文字に見えるのかい? 角ばってて何かの模様にしか見えないって人が多いんだけどね」
そっか。
この世界の文字は丸まっていてつなげて書くのが普通。
アルファベットの斜体に似た文字だ。
こんな単純な線だけの文字なんて、それもこんなに角ばってるのなんて、文字にさえ見えなくてもおかしくない。
「お料理の名前に見えますわ」
「ああ、鋭いね。実はそうなんだ。これは、ハンバーグステーキ、エビピラフ、カレーライス、ミートスパゲティ、ナポリタン、そう書いてあるんだよ」
あはっ。
そのままだ。
「お料理のレシピはないのですか?」
「うん、もう長い年月の間に失ってしまった。俺はなんとかこれらを再現したい、そう思って試行錯誤しているんだけどね」
ああ。
「わたくしにお手伝いさせてもらえないでしょうか? これらのお料理を再現してみたいです」
「セリーヌ?」
「いいのかい? お嬢ちゃん」
「ええ、お願いします。ごめんなさいギディオン様。わたくしどうしてもこのメニューの再現を試してみたくて。ここにいられる間だけでいいんです。お願いします」
「ふむ。セリーヌがそんなに言うのなら……。私もセリーヌの作る料理は好きだしね。ここにあるメニューが食べられるようになるのなら……」
ちょっとだけ躊躇した後、そう許してくれたギディオン様。
メニューにあるのはお皿に盛り付けられた絵とカタカナの名前だけ。
どんなお料理なのかこれでは想像しかできないけれど、もう名前も忘れられちゃっているけどここから派生したお料理は今でもちゃんとある様子。
このお店にも、ステーキだけじゃなく挽肉を使ったお料理もあるし、お米がメインのお料理はオムライスだけだけど、中に入っているチキンライスだってピラフとそう変わらない。
味付けは違うけどね。
麺料理はあまりみたことなかったけど、小麦料理ならいっぱいある。
素材を煮たり焼いたり茹でたりが普通のこの世界のお料理。
メインにスープ系が多いのも、2次的な手間があまりかかっていない証拠かな。
麺のように一旦加工した後にそれを使って別の料理にするっていうのはなかなか手間がかかるもの。
そういう文化はあまり育っていないみたいだ。
どうしようかな。
パスタマシンを作ってる時間はないし。
手打ちうどんのような作り方が一番いいのかな。
そんなことをつらつら考えてたら。
「よし。よかったら午後から厨房を自由に使ってもらって構わないよ。君、何か思いついたみたいだし。俺も君の料理を食べてみたいかな」
そういってカハハと笑ったジェフさん。あたしの肩をバンバンと叩いた。
ハンバーグステーキにエビピラフ、カレーライスもある?
スパゲティも色々種類があるし、何これピザ?
なんだか日本のファミレスにあるようなメニューが並んでる。それもみんなカタカナで名前が書いてある。
地球の料理、ではなくて、あきらかに20世紀後半から21世紀前半の日本のファミレス料理。
日本食がないのはここが洋風レストランな所為かな。
きっと、ジェフさんのご先祖様は、日本食だって作ろうと思えば作れたんだろう。
食材が揃うかどうかはまた別として。
って、ほんとこれはもう確定、だ。
この世界には日本から来た人がいたんだってこと。
「この文字は……?」
「ああ、君にはこれがちゃんと文字に見えるのかい? 角ばってて何かの模様にしか見えないって人が多いんだけどね」
そっか。
この世界の文字は丸まっていてつなげて書くのが普通。
アルファベットの斜体に似た文字だ。
こんな単純な線だけの文字なんて、それもこんなに角ばってるのなんて、文字にさえ見えなくてもおかしくない。
「お料理の名前に見えますわ」
「ああ、鋭いね。実はそうなんだ。これは、ハンバーグステーキ、エビピラフ、カレーライス、ミートスパゲティ、ナポリタン、そう書いてあるんだよ」
あはっ。
そのままだ。
「お料理のレシピはないのですか?」
「うん、もう長い年月の間に失ってしまった。俺はなんとかこれらを再現したい、そう思って試行錯誤しているんだけどね」
ああ。
「わたくしにお手伝いさせてもらえないでしょうか? これらのお料理を再現してみたいです」
「セリーヌ?」
「いいのかい? お嬢ちゃん」
「ええ、お願いします。ごめんなさいギディオン様。わたくしどうしてもこのメニューの再現を試してみたくて。ここにいられる間だけでいいんです。お願いします」
「ふむ。セリーヌがそんなに言うのなら……。私もセリーヌの作る料理は好きだしね。ここにあるメニューが食べられるようになるのなら……」
ちょっとだけ躊躇した後、そう許してくれたギディオン様。
メニューにあるのはお皿に盛り付けられた絵とカタカナの名前だけ。
どんなお料理なのかこれでは想像しかできないけれど、もう名前も忘れられちゃっているけどここから派生したお料理は今でもちゃんとある様子。
このお店にも、ステーキだけじゃなく挽肉を使ったお料理もあるし、お米がメインのお料理はオムライスだけだけど、中に入っているチキンライスだってピラフとそう変わらない。
味付けは違うけどね。
麺料理はあまりみたことなかったけど、小麦料理ならいっぱいある。
素材を煮たり焼いたり茹でたりが普通のこの世界のお料理。
メインにスープ系が多いのも、2次的な手間があまりかかっていない証拠かな。
麺のように一旦加工した後にそれを使って別の料理にするっていうのはなかなか手間がかかるもの。
そういう文化はあまり育っていないみたいだ。
どうしようかな。
パスタマシンを作ってる時間はないし。
手打ちうどんのような作り方が一番いいのかな。
そんなことをつらつら考えてたら。
「よし。よかったら午後から厨房を自由に使ってもらって構わないよ。君、何か思いついたみたいだし。俺も君の料理を食べてみたいかな」
そういってカハハと笑ったジェフさん。あたしの肩をバンバンと叩いた。
232
お気に入りに追加
2,858
あなたにおすすめの小説

忘却令嬢〜そう言われましても記憶にございません〜【完】
雪乃
恋愛
ほんの一瞬、躊躇ってしまった手。
誰よりも愛していた彼女なのに傷付けてしまった。
ずっと傷付けていると理解っていたのに、振り払ってしまった。
彼女は深い碧色に絶望を映しながら微笑んだ。
※読んでくださりありがとうございます。
ゆるふわ設定です。タグをころころ変えてます。何でも許せる方向け。

【完結】もう辛い片想いは卒業して結婚相手を探そうと思います
ユユ
恋愛
大家族で大富豪の伯爵家に産まれた令嬢には
好きな人がいた。
彼からすれば誰にでも向ける微笑みだったが
令嬢はそれで恋に落ちてしまった。
だけど彼は私を利用するだけで
振り向いてはくれない。
ある日、薬の過剰摂取をして
彼から離れようとした令嬢の話。
* 完結保証付き
* 3万文字未満
* 暇つぶしにご利用下さい
記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話
甘糖むい
恋愛
婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。
王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。
その時、王子の元に一通の手紙が届いた。
そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。
王子は絶望感に苛まれ後悔をする。

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
王太子妃は離婚したい
凛江
恋愛
アルゴン国の第二王女フレイアは、婚約者であり、幼い頃より想いを寄せていた隣国テルルの王太子セレンに嫁ぐ。
だが、期待を胸に臨んだ婚姻の日、待っていたのは夫セレンの冷たい瞳だった。
※この作品は、読んでいただいた皆さまのおかげで書籍化することができました。
綺麗なイラストまでつけていただき感無量です。
これまで応援いただき、本当にありがとうございました。
レジーナのサイトで番外編が読めますので、そちらものぞいていただけると嬉しいです。
https://www.regina-books.com/extra/login

《完結》愛する人と結婚するだけが愛じゃない
ぜらいす黒糖
恋愛
オリビアはジェームズとこのまま結婚するだろうと思っていた。
ある日、可愛がっていた後輩のマリアから「先輩と別れて下さい」とオリビアは言われた。
ジェームズに確かめようと部屋に行くと、そこにはジェームズとマリアがベッドで抱き合っていた。
ショックのあまり部屋を飛び出したオリビアだったが、気がつくと走る馬車の前を歩いていた。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。

【完結】偽りの婚約のつもりが愛されていました
ユユ
恋愛
可憐な妹に何度も婚約者を奪われて生きてきた。
だけど私は子爵家の跡継ぎ。
騒ぎ立てることはしなかった。
子爵家の仕事を手伝い、婚約者を持つ令嬢として
慎ましく振る舞ってきた。
五人目の婚約者と妹は体を重ねた。
妹は身籠った。
父は跡継ぎと婚約相手を妹に変えて
私を今更嫁に出すと言った。
全てを奪われた私はもう我慢を止めた。
* 作り話です。
* 短めの話にするつもりです
* 暇つぶしにどうぞ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる