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オムライス。
しおりを挟むふわふわたまごでもなく、本当に普通のノーマルなオムライス。
形も日本でありきたりにあったものと全く一緒の流線型。
真ん中にかかっているのはトマトケチャップだ。間違いない。それも、酸っぱさもなくて美味しいケチャップ。
で。
銀色のスプーンで掬うと、中から艶々のケチャップライスが出てきた。
チキンライス、だけど、これ、焼いたんじゃなくって炊いている?
お米がふっくら艶々で、味も染み込んで。炊き立ての感じがとっても美味しい。
思い切って口に運ぶと……。
これもまた、絶品なお味だった。
塩加減もケチャップの加減もあたしの好みにぴったりで、とても美味しくて……。
かかっている玉子も薄くてもしっかり焼けてて、おまけにどこにも焦げたあとがない。
苦味が一切ない美味しい玉子焼き。
上にのせたケチャップと混ぜながら食べると、もう美味しさが倍増だ。
「これ、すごく美味しいです……」
懐かしくて美味しくて、あたしが作った素人オムライスなんかとは比べ物にならないくらい美味しくて。
「うん。美味しいよね。私も久々に食べるけど、こんなふうな味だったんだね。ああもちろんセリーヌのオムライスも美味しかったよ?」
ギディオンさまはそうおっしゃってくれたけど、まあほんと完全に負けてる。
ううん、負けたことなんかどうでもいいの。
これだけ美味しいオムライスが食べれたことが、本当に嬉しくて。
メニューには他のオムライスの名前もあったから、もっといろんなバージョンのもあるのだろう。
その辺も食べてみたいなぁ。
まあでもそうも言ってられないのはわかってる。
こちらにいる間中お食事をここでだけだなんて、ギディオンさまは嫌だと思うし。
でも、帰る前にもう一度だけでも食べにきてみたい。
お腹が膨れて幸せな気分に浸りつつ、あたしはどうやってギディオンさまを口説こうかな、なんて思い浮かべていた。
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