あなたの恋、応援します!! 〜気がついたら悪役令嬢だったので、破滅回避のために全力で王太子の真実の恋を応援することにしました!!【嘘】

友坂 悠

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【性格】

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 マリサももう九歳。
 本来の小説の主人公らしく、性格も大人しく可憐な少女に育っていた。
「やっぱりわたくしのせいなのかしら……」
 前回の人生でマリサがあそこまで意地悪な性格に育ったのは、アリシアが内向的な性格だったから? 
 そう思えてならない。

 世界が本来のルートへと辿り着くために強制力のようなものが働いてマリサの性格までをも捻じ曲げてしまったのだとしたら、その責任の一端は自分にもあるのではないか。
 そんな考えに囚われてしまっていた。

「バカね。そんなのいじめた人間が悪いに決まってるわ。いじめられていたほうにも責任の一端があったかも、だなんてナンセンスよ」

「だって、ミーナ」

「いい? アリシア。たとえあなたの前回の世界での性格が内向的だったからって、それがマリサの性格を捻じ曲げた? そんなことあなたの責任であるわけがないでしょ? 世界の強制力が結果としてあなたを断罪するといった結末を呼び寄せたのだとしても、よ」

「でもミーナ。強制力がわたくしを断罪するためにマリサをあんな性格にするだなんて」

「たしかに、人は環境によって変わるものでもあるわ。でも、あなたは流されなかったわ。その理論でいけはあなたは意地悪な悪役令嬢に育つはずじゃなかったかしら? でも、一度もそんな意地悪な性格にはならなかった。そうじゃない?」

「でも……」

「マリサが前回ああいう性格になったとしたら、あの子にもそういう面があったということじゃないかしら。何かのきっかけが人生観とか性格とかを決めてしまうとしたら、まあ今のマリサはアリシアのおかげであんなに愛らしく育ったのだと自慢してもいいくらいよ?」

「わたくしの、おかげ?」

「今世のあなたはマリサにこれっぽっちも冷たく当たらなかった。あの子を受け入れ、表向きにせよ尊重して過ごしてきたわ。あの子には、この人生でマイナスな部分はどこにもなかったのよ。それが、あんなにも天真爛漫に育つ要因にもなっているんじゃないかしら? 悪役令嬢にいじめられて育ったヒロインにはどこか影があったはずだわ。まあ逆にそのおかげでヒーローに「守ってあげなきゃ」っていう因子が生まれていたのもまた事実でしょうけど」

 ミーナの言葉はその通りだと納得できることばかりだった。
 それでもどこか、引っかかるアリシア。

「え、でも、そうしたら……、このままじゃぁアリサにルイスが惹かれてくれることはないかもしれないってこと!?」

 いじめられている可哀想なアリサを守りたい。それはルイスが真実の恋に目覚める重要なファクターだったはず……アリシアはそう思い立ってしまった。

「そうねえ。これはあなたが全面的に応援しないとよね」


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