あなたの恋、応援します!! 〜気がついたら悪役令嬢だったので、破滅回避のために全力で王太子の真実の恋を応援することにしました!!【嘘】

友坂 悠

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【遊戯】

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「ふむ。アリシアの妹とな」
「はい。妹のマリサでございます。おみしりおきくださいませ」
「マリサです。よろしくおねがいします」

 薔薇園にはアリシアを待ち構えるようにルイスがいた。
 今日、ここに来ることは前もってレティシア様には伝えてあったけれど、それを聞いたのだろうか。そう不思議に思いつつもアリシアは、これ幸いにとマリサをルイスに紹介する。
 なんにしても、今の二人がストーリー通り真実の愛とやらで愛し合ってくれればいい。
 そう考えて。
 それに、この二人が仲良くなってくれれば、必要以上に自分が関わらなくても済む。そんな思惑もあった。
 いくら演技だとしても、いくら今の姿が前回のあの時の彼らと結び付かなかったとしても、それでもあの時の彼らを許したわけでは無かったから。
 アリシアはそんな自分の中にある感情に押しつぶされてしまいそうで、怖かった。
 だから、必要以上には関わりたくない、そんな気持ちでいたのにも関わらず、マリサは慕ってくるしルイスだって何を考えているのかはわからないけれど自分がここにくる時にはほぼほぼ先回りして待っていたりする。
(かといって、引きこもってしまったら前回と同じ、難しいわ)

「わたくしは、アリシア・ブランドーですのよ」

 と、そう叫びたくなるのを抑え小声で呟く。

「あなたがストレスを溜めちゃうのはあまり良いことじゃないわね。うーん。ちょっと目を瞑ってみて」

 わたくしの心の叫びを感じ取ったのか、ミーナが耳元でそう囁いた。
 言われる通りに目を瞑るアリシア。
(ミーナだけだから。わたくしが心を許せるのは……)
「それもどうかと思うんだけどね」
 心を読んだかのように、ミーナが囁く。

「さあ。目を開けていいわ」

 ミーナのその声に、ゆっくりと瞼を開く。

 そこには。

 子供同士で遊戯にいそしむルイス、マリサ、そしてアリシア自身の背中が見える。

「え? どういうこと!?」

 アリシアの意識は、子供らを俯瞰で眺められる場所にあった。
 隣にはミーナ。しかし二人とも、実体ではない。
 うっすらと向こうが透けて見える。それも、アリシアの身長はミーナと同じくらいになっていた。

「ちょっとあたしの魔法であなたの意識を分離させたのよ。あそこにいるあなたは今のあなたとしての記憶のない、純粋なアリシア」

「そんな、どうして」

「きっとね、あの子達と子供同士の遊びなんて今のアリシアにはストレスにしかならないと思って。ちょっとだけ助けてあげる」

 そう言って笑みをこぼすミーナ。

「もう少しだけ、あなたの体があなたの意識に合うまでの間、こうして時々助けてあげるわ。だから、あなたはそんなに悩まないで良いのよ。あの子たちと一緒にいることが今のあなたにはストレスだろうから、逃げたくなったらあたしがこうして逃してあげるから」





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