あなたの恋、応援します!! 〜気がついたら悪役令嬢だったので、破滅回避のために全力で王太子の真実の恋を応援することにしました!!【嘘】
婚約者である王太子と妹に陥れられ断罪された聖女アリシア。
極寒の牢獄で命を落とすその際に、彼女の目の前に召喚された魔王。
——まず破滅を回避、断罪回避、そのためならなんでもするわ。
——こんな情けない死に方はまっぴらですもの。
そう目の前の魔王、ウィルヘルム・マックザカートの前で宣言する。
アリシアの瞳は、紅く、紅く、輝いて。
魔王によって逆行転生したアリシアは、五歳の時に全てを思い出した。
地獄のような牢獄での生活も、精も根も尽き果てそれでも魔方陣を描ききったときの気持ちも全て。それもそれだけではない、アリシアとなる前の前世の記憶もあった。
目の前の魔王は言った。
「お前は五歳の頃に巻き戻った。いや、厳密に言えば少し違うな。お前はもう一度お前アリシアとして生まれたんだ。すっかり前世を忘れてしまっているようだったから、少しだけきっかけを与えて思い出させたんだがな」
「だからなのね。なんだかわたくし、アリシアとして生まれる前の前世も少しだけ思い出したみたいなの」
「はは。そうか、なるほどな。だから少し別の色が混じっているようにも見えるのか。まあいい。それでどうするんだ。復讐劇を見せてくれるんだったよな」
「ええ。それは。もちろん、よ」
少しだけ思い出した前世の記憶にあるロマンス小説。この世界はそんな「おはなし」の世界に酷似している。
アリシア・ブランドーという少女のことは、その小説の登場人物として覚えていた。
王太子ルイスと、その真実の恋のお相手、マリサ・ブランドー。
そしてその二人の仲を邪魔する「悪役令嬢」としてのアリシア、として。
※以前短編で出していたものを大幅に構成を練り直し、加筆修正して長編化しました。(タイトルも変えています)
お楽しみいただけたら嬉しいです。
極寒の牢獄で命を落とすその際に、彼女の目の前に召喚された魔王。
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目の前の魔王は言った。
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