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【貴族】
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国境から王都に到着するにはそれほど日数はかからなかった。王都の図書館で地図を見たマリエルは、思っていた以上に自国とマギアスガルドの王都とは近いのだと実感していた。
ここからマギアスガルドの北部や西部に赴く方が、自国からこの王都まで来るよりもよっぽど距離があった。山脈も大河もその道を困難にしている。それに比べ、ここまでくる道はなんとなだらかだったことか。
「来てみてよかった。ううん、もっと早く来てみるべきだったわ。この国にはライデンバルカにはない魅力的なものがいっぱいあるもの。それに——」
「この国は商業が発達していますからね。参考になりますよね」
「ええ、そうなのよ。わたくし、商会のお仕事ってグラン商会しか手本になるものがなくって、かなり手探りの部分もあったのよね。でも、ここでは違うわ。大小様々な商会があって、それぞれに切磋琢磨しながら頑張っているもの。すごく参考になることばっかりよ」
「はは、お嬢はやっぱり根っからの商人だよ。商会の仕事をそんなに楽しんでやってる貴族なんて、他にはいないだろうから」
「そうね。ほんとにこうしてお仕事のこと考えている時が一番楽しいわ」
王都に辿り着き色々と見て訪ねたマリエル。先日は商業ギルドの会合にも参加し、いろいろな商会の商人らと話す機会も得た。
特に、服飾や雑貨、宝飾を取り扱う商会の代表者と話すことは、マリエルにとって新しい知見を広げる機会になったようだった。
「そういえばね、アリリリス商会の会頭のマクギリウス様からお茶会のお誘いのお手紙が届いていたわよね。ジン、これ、どうすればいいと思う?」
「ん、確かマクギリウス様っていったら、この国、マギアスガルドの王族の一員じゃ無かったか!? 現国王の弟だって話題になってたはずだよ。この国も王族自ら産業育成に力を入れているって話で、商業ギルドでは有名な話だぞ」
「そう、なのよね。わたくしがグラン商会の孫だって話題もギルドに流れているって聞きましたわ。だからかしら、今回のお茶会は、マクギリウス様のお屋敷に招待されてるのよね。集まるのはやっぱり貴族の人ばかりなのかしら……。気が重いわ」
「ふっ。お嬢、すっかり貴族嫌いになってるのか?」
「嫌い、じゃ、ないわ。なんだか貴族社会ってものそのものに馴染まないだけ、よ」
「なるほど。あれだけ濃い化粧で身を固めていないと耐えられなかったっていうわけか」
「もう、そうよ。そういうこと。素顔で対峙するにはお貴族様って難しい、そう思っていたの」
「まあ、いいんじゃない? お嬢はあくまでマリーゴールド商会の代表って立場で望めばいいのさ。貴族だの侯爵夫人だの、そんなのはもう投げ打っちゃってもいいんじゃないかな」
ここからマギアスガルドの北部や西部に赴く方が、自国からこの王都まで来るよりもよっぽど距離があった。山脈も大河もその道を困難にしている。それに比べ、ここまでくる道はなんとなだらかだったことか。
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「この国は商業が発達していますからね。参考になりますよね」
「ええ、そうなのよ。わたくし、商会のお仕事ってグラン商会しか手本になるものがなくって、かなり手探りの部分もあったのよね。でも、ここでは違うわ。大小様々な商会があって、それぞれに切磋琢磨しながら頑張っているもの。すごく参考になることばっかりよ」
「はは、お嬢はやっぱり根っからの商人だよ。商会の仕事をそんなに楽しんでやってる貴族なんて、他にはいないだろうから」
「そうね。ほんとにこうしてお仕事のこと考えている時が一番楽しいわ」
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特に、服飾や雑貨、宝飾を取り扱う商会の代表者と話すことは、マリエルにとって新しい知見を広げる機会になったようだった。
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