ループ!! 絶望の淵の【替え玉聖女】は三度目の人生をやり直す! 〜わたくしを殺したもふもふの獣帝が今世ではなぜか溺愛してくるのですが!

友坂 悠

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匂い。

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 このこを癒せたのはもしかしたらわたくしのマナだったのかもしれない。
 そう思うと嬉しくて。
 自分の中からマナを出すことが出来たことにももちろん、弱っていたこの子を助けることが出来たのだと思うことが本当に嬉しかった。

「ねえ、レオ。わたくし、あなたを助ける事が出来たのかしら」

 レオの鼻先に自分の鼻を近づけ、そう聞いてみる。
 小さなその瞳が真っ直ぐにこちらを向いて、

「にゃぁ」

 と答えた。
 ちょっと赤みがかったそのトパーズ色の瞳がクルンクルンなまんまるになっている。
 そのまま、わたくしの鼻先をペロンと舐め、自分のほおををわたくしのほおに擦り付けてくるレオ。

 それはまるで、わたくしのこの思いを肯定してくれる、そんな意味の「にゃぁ」だったような気がしていた。


 ♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎




 ペロン

 わたくしの鼻先を舐める舌。
 それは大きくてちょっとざらざらしている気がしたけれど、柔らかくて気持ちが良くて。
 全然痛いとかそんなふうには思わなくて……。


「うーん、レオ、やめて、くすぐったいわ」

 寝ぼけながらそう口走り、目の前の大きなお顔を避ける。
 って、大きなお顔?
 ええ??
 レオン、様!!

 目を開けるとそこには黄金の獅子、レオンハルト様の姿があった。

(夢、見ていたのかしら。
 また過去のあの時の事、思い出していたのね……)

 頭を振り払ってレオン様のお顔を見る。
 真っ直ぐにこちらを見るその大きなトパーズ色の瞳。
 赤みがかったその瞳。これもまた、レオと一緒、で。

「ああ、起きたのかい、アリス。かわいい寝顔は見飽きたりはしなかったけれど、それでもこうして起きてその瞳を見せてもらえると安心する。私のアリス。愛しているよ」

 そんなお声がわたくしの胸に響く。

 その大きな頭をわたくしの手に擦り付けてこようとする仕草に、なんだかレオを見ているような気持ちになってついつい手を差し出していた。
 グイグイと押し付けるように手のひらに頭が当たる。もふもふとしたその毛並みがとても柔らかく、温かい。

「君にレオと呼んでもらえる日が再びこうして来るとは思わなかった。嬉しいよ。アリス」

 そんなふうにおっしゃるレオンハルト、様。

 って、え? うそ!! どういうこと!?

 レオンハルト様!!



「レオンハルト様!!? それってどういう意味ですか!!?」

「忘れてしまっているのかと思っていた。それとも、あの時の君との邂逅は、私の勝手な夢の出来事なのかと何度も逡巡して聞くこともできずにいた。でも、君のレオと呼ぶ声を聞いて確信したよ。やっぱり間違いない。君は私のアリスだ。君のそのマナの匂い、私が忘れるわけはない。愛してる。アリス。もう離さない」
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