ループ!! 絶望の淵の【替え玉聖女】は三度目の人生をやり直す! 〜わたくしを殺したもふもふの獣帝が今世ではなぜか溺愛してくるのですが!

友坂 悠

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ギア。

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「そっか。君はレオくんか。かわいいわね」

「お姉様。もしかしてレオを最初に拾ったのってお姉様だったりします?」

「え? ううん、知らないわよ?」

「じゃぁ、わたくしを助けてくれたあの日、レオに回復魔法をかけてくださったりは……」

「いえ、そんなことしてないわ。大体この子と会うの、今が初めてだもの」

「それじゃぁ、どうして……」

 わたくしが猫を飼っていると聞きつけたマリアリアお姉様。夕食の後でお部屋に訪ねてきてくださって。
 さっきからセレナの入れてくれたお茶をいただきながら、こうしてレオを愛でてくれている。
 わたくしの膝にちょこんと乗ったレオの頭を撫でながらお姉様。

「んー。そういえばあなたが気絶していた現場、随分とマナが乱れていたわね」

「え? それって」

「森はそれでなくってもマナ濃度が高いのだけれど、あの日は一段と濃度が高かったわ。キュアもいっぱい集まっていたし。どういうことかしらね」

 ぬー。
 どういう事だろう。
 もしかして、妖精が勝手に直してくれた?
 そんなことはありえないよね。

 妖精ギアたちはマナを媒介にして力を使う。
 マギアとしての権能を発揮するのだ。
 でも。
 彼らは自らの意思、というか気まぐれに魔法、マギアを行使することは無い、と、されている。
 デウス・エクス・マキナ。世界を創造したと言われている機械仕掛けの神は、はるかな過去に滅びかけたわたくしたちが住むこの世界を見かね、自らの子「ギア」に世界の再生を任せたのだという。

 今の彼ら、妖精たちの役割はこの世界を護ること。
 綻びを修復すること。
 人々が心安らかに過ごせるように、少しばかりの手を貸すこと。

 その少しばかりのデウスの恩恵、それが魔法マギアというチカラなのだから。


 そんな存在、妖精ギア
 気まぐれや勝手に人や動物を癒したり助けたり、そういうことはしないはず。
 自らのマナを捧げ、魔力特性値マギアスキルによって妖精ギアと心を繋ぐ。

 妖精ギアにはいろんな権能がある。

 金のキュアは命を繋ぐ。
 風のアウラは物質の位相をコントロールし、水のバアルは温度と状態変化に携わる。
 火のアークは化学変化、熱エネルギー。土のオプスはそんな物質を創造してしまう。

 まだまだたくさんの種類が存在する、聖典に記されたこれらの妖精ギアたち。

 特に王室の人間の魔力特性値マギアスキルは高く、あらゆる妖精ギアの力を借り、世界に働きかけてきたのだ。
 乾季に雨を降らせ、雨季に大雨を回避する。
 そうしてこの人類域を厄災から守ってきたご先祖様たち。

 わたくしにそんな能力がないのが口惜しい。
 一回目の人生も二回目の人生もずっとそう思って生きてきた。

 でも。でも。もしかして、もしかしたら……。
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