ループ!! 絶望の淵の【替え玉聖女】は三度目の人生をやり直す! 〜わたくしを殺したもふもふの獣帝が今世ではなぜか溺愛してくるのですが!

友坂 悠

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回復魔法の残滓。

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「ふむ。ノームの森に居たと」

「ええ。お父様。先日弱っていたところを見つけて。あ、でも今日は元気になっていたのよ」

「今まで猫科の動物は確認がされたことはない。森に張られた結界は空からの侵入をも防いできたはずだ。それなのに、か?」

「だって、居たのは間違い無いのですもの。レイアだって見てるわ」

「お前が持ち込んだのでは無いのか?」

 え?

「外で拾った子猫を森で飼おうとしたのでは無いのか?」

「そんな! わたくしそんなこと考えたこともありません!」

 ああ。お父様は完全にわたくしを疑っている。
 そうか。
 誰かがこの子をあの森に連れてきたと考える方が自然、と言うことだ。
 勝手に入ることのできない森。わたくしたち王族しかあの扉を自在にくぐることはできない、そんな場所だもの。

 従者だって、あくまで王族と一緒の時でないと扉を開けることはできない。
 仮に王族と一緒に扉を通ったとしても、もし一人取り残されたら帰ってくることもできないから。

「お父様、信じて。わたくし、そんな……」

 ギロリとこちらを見るお父様の怖い顔に、だんだんと声が小さくなっていく。
 いくら言っても無駄かもしれない。
 お父様は役立たずのわたくしのことなんか、もう愛していないのだろうから。

 そう思うとだんだんと顔が曇っていく。涙が溢れてきそうになるのを必死で堪えて。

「ふむ。見せてみろ」

 え?

「それを見せろと言っている」

 怖いお顔とは裏腹に、優しい手つきで子猫を抱き上げるお父様。
 何かを調べるように子猫の全身を撫でまわし。

「弱っていたと言ったな」

「ええ、最初見た時は黄色い毛玉にしか見えなかったのです。何かの切れ端か何かかと。まったく動く気配もなくてうずくまっていて……」

「ふむ。回復魔法の残滓がみえるな」

 え?

「それも、我ら王家特有の魔力紋に近い。これは……マリアリアにも話を聞かねばならんな……」

 ああ、お姉様。お姉様がこの子を回復させてくれたのかしら。なら、お姉様に感謝しなくちゃだ。

「まったく。猫が飼いたいならそう言えば良いものを。わしは反対などしないのに」

 その言葉はほんと小声で。
 かろうじて聞き取れた。

「お父様……」

「まあいい。この子猫は健康そのものだ。もうどこにも悪いところはなさそうだ。おまえがしっかり世話をしてやるといい」

 そういってお父様、わたくしに子猫を返してくれた。
「にゃぁ」とわたくしの胸に抱かれ丸くなる子猫。
 良かった。
 この子と一緒にいられる。

 嬉しくって。
 可愛らしい子猫の額をちょこっと指で撫でると、代わりと言わんばかりに、にゃっとその指を舐めてくれた。
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