20 / 29
獅子のもふもふ。
しおりを挟む
さわさわ。
もふもふ。
さわさわ。
もふもふ。
さわさわもふもふさわさわもふもふ。
ああ、やめられない。
だめだと思うのに、不敬だと思うのに、レオン様のもふもふの感触が心地よくて撫でるのをやめられない。
ついつい手が動いてしまう。
レオン様もレオン様で寝ぼけているのか、ぐるぐるぐると喉を鳴らして頬をわたくしの手に自分から擦り付けてくる。
喉元を撫でまわし頭の後ろを撫でまわし。
しまいには顔ごとレオン様のもふもふに埋めてしまった。
大きいレオン様は、わたくしの体ごとすっぽり埋まってしまいそう。
流石にそこまでは理性が邪魔をしたけれど、本当はぎゅうって抱きついてしまいたくてしょうがない。
あらがいきれないそんなもふもふの魅力を堪能して。
ああだめ。
そろそろ明け方だ。
このままだとレオン様が起きてしまう。
なんとかやめようと心にブレーキをかけた時、だった。
「なぜ、やめる? もっとなでてほしいのに」
とそう、レオン様の声。
って、おきていらした?
ああああ。どうしよう……。
「すみません陛下。あまりにももふもふしていてあらがえませんでした。申し訳ありません……」
陛下の体を勝手に弄って撫で回すだなんて、このまま不敬罪で殺されてもおかしくない。
そう思いひたすら謝るわたくし、に。
「いや、いいのだよアリス。私の体はいくらでも撫でまわしてくれていいよ。君の手は心地いい。私は君と触れ合っている時が一番幸せなのだから」
そう、獅子のお顔でこちらを見つめるレオン様。
その瞳はトパーズ色に輝いて、とても愛おしく見えた。
「でも……」
「大丈夫だよ。私の愛しいアリス」
そう頭をわたくしの右手のひらに擦りつけてくるレオン様。
このままさわさわしたい。そう思うけどだめ。じっと我慢をしていると。
ペロン。
大きなお口から赤い舌が伸びて、手を優しく舐める。
多分レオン様の舌がその気になれば、皮膚を剥ぎ肉を削ぎ落とす、そんな力があるのだろうけれど、今のは子猫にでも舐められた時のようなやんわりとした感触で。
怖い、とは感じなかった。
信頼している?
そこまで信用しているわけじゃないのに。
どうして?
レオン様がわたくしに悪いことはしないって、そう感じられる。
彼のその優しくまっすぐな心が、わたくしの心にすんなりと溶け込んでいくようだった。
もふもふ。
さわさわ。
もふもふ。
さわさわもふもふさわさわもふもふ。
ああ、やめられない。
だめだと思うのに、不敬だと思うのに、レオン様のもふもふの感触が心地よくて撫でるのをやめられない。
ついつい手が動いてしまう。
レオン様もレオン様で寝ぼけているのか、ぐるぐるぐると喉を鳴らして頬をわたくしの手に自分から擦り付けてくる。
喉元を撫でまわし頭の後ろを撫でまわし。
しまいには顔ごとレオン様のもふもふに埋めてしまった。
大きいレオン様は、わたくしの体ごとすっぽり埋まってしまいそう。
流石にそこまでは理性が邪魔をしたけれど、本当はぎゅうって抱きついてしまいたくてしょうがない。
あらがいきれないそんなもふもふの魅力を堪能して。
ああだめ。
そろそろ明け方だ。
このままだとレオン様が起きてしまう。
なんとかやめようと心にブレーキをかけた時、だった。
「なぜ、やめる? もっとなでてほしいのに」
とそう、レオン様の声。
って、おきていらした?
ああああ。どうしよう……。
「すみません陛下。あまりにももふもふしていてあらがえませんでした。申し訳ありません……」
陛下の体を勝手に弄って撫で回すだなんて、このまま不敬罪で殺されてもおかしくない。
そう思いひたすら謝るわたくし、に。
「いや、いいのだよアリス。私の体はいくらでも撫でまわしてくれていいよ。君の手は心地いい。私は君と触れ合っている時が一番幸せなのだから」
そう、獅子のお顔でこちらを見つめるレオン様。
その瞳はトパーズ色に輝いて、とても愛おしく見えた。
「でも……」
「大丈夫だよ。私の愛しいアリス」
そう頭をわたくしの右手のひらに擦りつけてくるレオン様。
このままさわさわしたい。そう思うけどだめ。じっと我慢をしていると。
ペロン。
大きなお口から赤い舌が伸びて、手を優しく舐める。
多分レオン様の舌がその気になれば、皮膚を剥ぎ肉を削ぎ落とす、そんな力があるのだろうけれど、今のは子猫にでも舐められた時のようなやんわりとした感触で。
怖い、とは感じなかった。
信頼している?
そこまで信用しているわけじゃないのに。
どうして?
レオン様がわたくしに悪いことはしないって、そう感じられる。
彼のその優しくまっすぐな心が、わたくしの心にすんなりと溶け込んでいくようだった。
1
お気に入りに追加
73
あなたにおすすめの小説

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です

顔も知らない旦那さま
ゆうゆう
恋愛
領地で大災害が起きて没落寸前まで追い込まれた伯爵家は一人娘の私を大金持ちの商人に嫁がせる事で存続をはかった。
しかし、嫁いで2年旦那の顔さえ見たことがない
私の結婚相手は一体どんな人?

私の完璧な婚約者
夏八木アオ
恋愛
完璧な婚約者の隣が息苦しくて、婚約取り消しできないかなぁと思ったことが相手に伝わってしまうすれ違いラブコメです。
※ちょっとだけ虫が出てくるので気をつけてください(Gではないです)

1年後に離縁してほしいと言った旦那さまが離してくれません
水川サキ
恋愛
「僕には他に愛する人がいるんだ。だから、君を愛することはできない」
伯爵令嬢アリアは政略結婚で結ばれた侯爵に1年だけでいいから妻のふりをしてほしいと頼まれる。
そのあいだ、何でも好きなものを与えてくれるし、いくらでも贅沢していいと言う。
アリアは喜んでその条件を受け入れる。
たった1年だけど、美味しいものを食べて素敵なドレスや宝石を身につけて、いっぱい楽しいことしちゃおっ!
などと気楽に考えていたのに、なぜか侯爵さまが夜の生活を求めてきて……。
いやいや、あなた私のこと好きじゃないですよね?
ふりですよね? ふり!!
なぜか侯爵さまが離してくれません。
※設定ゆるゆるご都合主義

夫が愛人を離れに囲っているようなので、私も念願の猫様をお迎えいたします
葉柚
恋愛
ユフィリア・マーマレード伯爵令嬢は、婚約者であるルードヴィッヒ・コンフィチュール辺境伯と無事に結婚式を挙げ、コンフィチュール伯爵夫人となったはずであった。
しかし、ユフィリアの夫となったルードヴィッヒはユフィリアと結婚する前から離れの屋敷に愛人を住まわせていたことが使用人たちの口から知らされた。
ルードヴィッヒはユフィリアには目もくれず、離れの屋敷で毎日過ごすばかり。結婚したというのにユフィリアはルードヴィッヒと簡単な挨拶は交わしてもちゃんとした言葉を交わすことはなかった。
ユフィリアは決意するのであった。
ルードヴィッヒが愛人を離れに囲うなら、自分は前々からお迎えしたかった猫様を自室に迎えて愛でると。
だが、ユフィリアの決意をルードヴィッヒに伝えると思いもよらぬ事態に……。

はずれのわたしで、ごめんなさい。
ふまさ
恋愛
姉のベティは、学園でも有名になるほど綺麗で聡明な当たりのマイヤー伯爵令嬢。妹のアリシアは、ガリで陰気なはずれのマイヤー伯爵令嬢。そう学園のみなが陰であだ名していることは、アリシアも承知していた。傷付きはするが、もう慣れた。いちいち泣いてもいられない。
婚約者のマイクも、アリシアのことを幽霊のようだの暗いだのと陰口をたたいている。マイクは伯爵家の令息だが、家は没落の危機だと聞く。嫁の貰い手がないと家の名に傷がつくという理由で、アリシアの父親は持参金を多めに出すという条件でマイクとの婚約を成立させた。いわば政略結婚だ。
こんなわたしと結婚なんて、気の毒に。と、逆にマイクに同情するアリシア。
そんな諦めにも似たアリシアの日常を壊し、救ってくれたのは──。

別れ話をしましょうか。
ふまさ
恋愛
大好きな婚約者であるアールとのデート。けれど、デージーは楽しめない。そんな心の余裕などない。今日、アールから別れを告げられることを、知っていたから。
お芝居を見て、昼食もすませた。でも、アールはまだ別れ話を口にしない。
──あなたは優しい。だからきっと、言えないのですね。わたしを哀しませてしまうから。わたしがあなたを愛していることを、知っているから。
でも。その優しさが、いまは辛い。
だからいっそ、わたしから告げてしまおう。
「お別れしましょう、アール様」
デージーの声は、少しだけ、震えていた。
この作品は、小説家になろう様にも掲載しています。

五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる