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諦めない。
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「むう、どこかに隠れているのですか? いいでしょう、探して差し上げますよ」
咄嗟にクローゼットに潜り込んだわたくしは、息を殺して入ってきたジークバルトの様子を覗き見ていた。
うん。これは完全にわたくしを排除するつもりだ。
そんな強い決意が感情になって現れている。
彼らにしてみれば人間の女なんて受け入れ難いに決まってる。
それも、愛妾の一人としてとかならともかくも、后にするだなんて。もしかしたらジークバルトもあのレオンハルト様のお言葉を聞くまでは知らなかったのかもしれない。
そんな風にも思う。
見つかったら、殺されるんだろうか。
だとしたら、いやだ。
死んでももしかしたらもう一度巻き戻りが起こるかもしれない。
ううん、もうこれでおしまいかもしれない。
だけど、どっちにしても、だ。
こんなところで死んでしまうのは嫌。
カツン
カツン
カツン
わざと大きな音を立てるように靴音を響かせるジーク。
ベッドを確認し、掛け布団を跳ね上げる。
周囲のカーテンを見渡し隣の浴室を確認に行ったところでもう我慢ができなくなった。
彼の視界が完全に浴室の中に向いているうちに、隠れていたクローゼットから出てそのまま廊下へと続く扉に早足で向かう。
「逃すか!」
気配に気がつきジークがこちらを向いた時には、わたくしはもう廊下に出る寸前のところだった。
そのまま背後からそう叫ぶジークを尻目に、廊下を一目散に走る。
どこでもいい。身を隠せる場所を。
ううん、それか、他の誰かのいる場所に?
ああ、ダメダメ。わたくしの味方なんていないもの。
それでも、陛下はこのことをきっとご存知ないに違いない。
だからこそジークは彼に内緒でわたくしを始末してしまおうと考えたのだろうから。
なら。
とにかく陛下が起き出すお時間まで逃げおおせたら勝ちだ。
ほんとうはたぶんきっと陛下の寝所が一番安全なのだろうけれど、そんな場所どこにあるのか知らないし。
この広い宮殿の中で行った事がある場所なんかしれてる。
どう、する?
上に逃げるのは、ダメ。
知らないもの。どこのお部屋が入っても大丈夫なのか、そんなことすらわからない。
なら。
下に逃げよう。
食堂と、大浴場、と。
その近くからなら中庭に出られるかもしれない。
足は裸足。着ているものは薄い夜着だけ。
でも。
幸い今は凍えるような時期じゃない。
お外も、うん、雨が降っている感じじゃ無い。
だったら!
階段を走り降り食堂に向かう廊下の途中に外に出られる扉があった。
カツンカツンと背後で追ってくる足音が聞こえているけどちょうどまだ死角のはず。
鍵がかかってたらアウトだけど!
扉はキイっと開いた。そのまま滑るように外に出てすっと扉を閉めたわたくし。
中庭を夜の闇に紛れるように進み、垣根の隙間に身体を隠して。
咄嗟にクローゼットに潜り込んだわたくしは、息を殺して入ってきたジークバルトの様子を覗き見ていた。
うん。これは完全にわたくしを排除するつもりだ。
そんな強い決意が感情になって現れている。
彼らにしてみれば人間の女なんて受け入れ難いに決まってる。
それも、愛妾の一人としてとかならともかくも、后にするだなんて。もしかしたらジークバルトもあのレオンハルト様のお言葉を聞くまでは知らなかったのかもしれない。
そんな風にも思う。
見つかったら、殺されるんだろうか。
だとしたら、いやだ。
死んでももしかしたらもう一度巻き戻りが起こるかもしれない。
ううん、もうこれでおしまいかもしれない。
だけど、どっちにしても、だ。
こんなところで死んでしまうのは嫌。
カツン
カツン
カツン
わざと大きな音を立てるように靴音を響かせるジーク。
ベッドを確認し、掛け布団を跳ね上げる。
周囲のカーテンを見渡し隣の浴室を確認に行ったところでもう我慢ができなくなった。
彼の視界が完全に浴室の中に向いているうちに、隠れていたクローゼットから出てそのまま廊下へと続く扉に早足で向かう。
「逃すか!」
気配に気がつきジークがこちらを向いた時には、わたくしはもう廊下に出る寸前のところだった。
そのまま背後からそう叫ぶジークを尻目に、廊下を一目散に走る。
どこでもいい。身を隠せる場所を。
ううん、それか、他の誰かのいる場所に?
ああ、ダメダメ。わたくしの味方なんていないもの。
それでも、陛下はこのことをきっとご存知ないに違いない。
だからこそジークは彼に内緒でわたくしを始末してしまおうと考えたのだろうから。
なら。
とにかく陛下が起き出すお時間まで逃げおおせたら勝ちだ。
ほんとうはたぶんきっと陛下の寝所が一番安全なのだろうけれど、そんな場所どこにあるのか知らないし。
この広い宮殿の中で行った事がある場所なんかしれてる。
どう、する?
上に逃げるのは、ダメ。
知らないもの。どこのお部屋が入っても大丈夫なのか、そんなことすらわからない。
なら。
下に逃げよう。
食堂と、大浴場、と。
その近くからなら中庭に出られるかもしれない。
足は裸足。着ているものは薄い夜着だけ。
でも。
幸い今は凍えるような時期じゃない。
お外も、うん、雨が降っている感じじゃ無い。
だったら!
階段を走り降り食堂に向かう廊下の途中に外に出られる扉があった。
カツンカツンと背後で追ってくる足音が聞こえているけどちょうどまだ死角のはず。
鍵がかかってたらアウトだけど!
扉はキイっと開いた。そのまま滑るように外に出てすっと扉を閉めたわたくし。
中庭を夜の闇に紛れるように進み、垣根の隙間に身体を隠して。
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