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反対。
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「アリスティア・メルクマール嬢、ご入場!」
ホールの大きな扉がギイっと開く。
そんなタイミングで中から大きな声でわたくしの名が呼ばれた。
ざわっとした声があたりに広がる。
ゆっくりと歩くわたくしを見る多くの瞳。興味本意に眺めるもの、きつく睨みつけるもの、穏やかに見つめるもの。
そこに悪意があるかどうかまではわからないけれど、必ずしも歓迎されているわけではない様子は見てとれた。
上座の玉座にどっしりと腰掛けるレオンハルト・バッケンバウアー陛下。
わたくしのエスコートが、ミーアからジークに変わる。そのまま陛下のお隣の小さなお席に案内されたわたくし。レオンハルト様の視線に促されるまま、そこに腰掛ける。
「本日は陛下の婚約者となられたアリスティア様を皆様にお披露目させていただく会となります。挙式は一週間後。その折の披露宴では諸外国からの来訪もあるでしょう。本日はそれに先立ち、我が国の重鎮の方々にお集まりいただいた次第」
わたくしの斜め前に立つジークバルト。
遠くまで通る響きのある声でそう会の趣旨を話し、ホールに集まった多くの方達に視線を送る。
わたくしもジークの顔の動きに合わせるように、こちらを見つめる多くの顔を眺めて。
今日集まっている方たちはこの国の貴族なのだろう。
そういった爵位をもし持っていないとしても、重要な役職に就いた方達なのだろうというのはジークの言葉で想像できる。
お顔も、人型のお顔の方だけじゃなく、獣人としてのお顔そのままの方もいる。
狼のお顔、うさぎのお顔、獅子のお顔、牛のようなお顔。
人型のお顔だとしても、ヤギのような角、猫のような耳、背中に翼のある人もいる。
男性も、女性も、ほんとたくさんの人がそこに集まっていた。
この人たちが全員、わたくしを見ている……。
怖い、そう少しだけ、恐怖を感じ。
「震えているね。アリス。大丈夫だ、何があろうと君は私が守る」
隣に座ったわたくしの手にそっとご自分の手を重ね。小声でそうおっしゃった陛下。
そのお声が本当に優しくて。胸が苦しくなる。
「皆、今日はよく集まってくれた。私はここにいるアリスティアを后に迎え、共に歩むことを誓った。アリスティアのことは私だと思い支えて欲しい。よろしく頼む」
え!!
后??
わたくしはしがない人類域の出身で、獣族ですらない存在で。
生贄、人身御供として捧げられただけのそんな存在で。
披露宴と聞いてもきっと側室の一人くらいに迎えられるだけなのだろうって、そう思っていた。
まさか、后、だなんて。
そんなの……。
「恐れながら陛下、人族などを后の座につけるなど、前例がありません。陛下の后とはこの帝国の皇后となるお方。お血筋的にもそれに相応しい方からお選びくださいますよう」
大勢の中から一歩前に出てそうおっしゃるヤギの角のおじいさま。
白いお髭が胸までのび、その角は長く生きてきたことを主張するように立派にうねっている。
「そうですわ! 陛下。なぜ人類域などから娶られるのですか! 百歩譲って多くのハレムの一人としてならわからなくもありません。しかし、陛下はまだ伴侶をお選びになってさえいらっしゃらなかったではありませんか! それなのになぜ!」
ヤギの御大に続き、爬虫類のような目をしたご婦人がそう進み出て陛下に迫る。
こちらをギロリとにらむその目がとてもきつくて。
ホールの大きな扉がギイっと開く。
そんなタイミングで中から大きな声でわたくしの名が呼ばれた。
ざわっとした声があたりに広がる。
ゆっくりと歩くわたくしを見る多くの瞳。興味本意に眺めるもの、きつく睨みつけるもの、穏やかに見つめるもの。
そこに悪意があるかどうかまではわからないけれど、必ずしも歓迎されているわけではない様子は見てとれた。
上座の玉座にどっしりと腰掛けるレオンハルト・バッケンバウアー陛下。
わたくしのエスコートが、ミーアからジークに変わる。そのまま陛下のお隣の小さなお席に案内されたわたくし。レオンハルト様の視線に促されるまま、そこに腰掛ける。
「本日は陛下の婚約者となられたアリスティア様を皆様にお披露目させていただく会となります。挙式は一週間後。その折の披露宴では諸外国からの来訪もあるでしょう。本日はそれに先立ち、我が国の重鎮の方々にお集まりいただいた次第」
わたくしの斜め前に立つジークバルト。
遠くまで通る響きのある声でそう会の趣旨を話し、ホールに集まった多くの方達に視線を送る。
わたくしもジークの顔の動きに合わせるように、こちらを見つめる多くの顔を眺めて。
今日集まっている方たちはこの国の貴族なのだろう。
そういった爵位をもし持っていないとしても、重要な役職に就いた方達なのだろうというのはジークの言葉で想像できる。
お顔も、人型のお顔の方だけじゃなく、獣人としてのお顔そのままの方もいる。
狼のお顔、うさぎのお顔、獅子のお顔、牛のようなお顔。
人型のお顔だとしても、ヤギのような角、猫のような耳、背中に翼のある人もいる。
男性も、女性も、ほんとたくさんの人がそこに集まっていた。
この人たちが全員、わたくしを見ている……。
怖い、そう少しだけ、恐怖を感じ。
「震えているね。アリス。大丈夫だ、何があろうと君は私が守る」
隣に座ったわたくしの手にそっとご自分の手を重ね。小声でそうおっしゃった陛下。
そのお声が本当に優しくて。胸が苦しくなる。
「皆、今日はよく集まってくれた。私はここにいるアリスティアを后に迎え、共に歩むことを誓った。アリスティアのことは私だと思い支えて欲しい。よろしく頼む」
え!!
后??
わたくしはしがない人類域の出身で、獣族ですらない存在で。
生贄、人身御供として捧げられただけのそんな存在で。
披露宴と聞いてもきっと側室の一人くらいに迎えられるだけなのだろうって、そう思っていた。
まさか、后、だなんて。
そんなの……。
「恐れながら陛下、人族などを后の座につけるなど、前例がありません。陛下の后とはこの帝国の皇后となるお方。お血筋的にもそれに相応しい方からお選びくださいますよう」
大勢の中から一歩前に出てそうおっしゃるヤギの角のおじいさま。
白いお髭が胸までのび、その角は長く生きてきたことを主張するように立派にうねっている。
「そうですわ! 陛下。なぜ人類域などから娶られるのですか! 百歩譲って多くのハレムの一人としてならわからなくもありません。しかし、陛下はまだ伴侶をお選びになってさえいらっしゃらなかったではありませんか! それなのになぜ!」
ヤギの御大に続き、爬虫類のような目をしたご婦人がそう進み出て陛下に迫る。
こちらをギロリとにらむその目がとてもきつくて。
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