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エメラルドな彼女。
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その令嬢はエメラルドの髪に雪の結晶がキラキラとふりかかった状態で。
急激に吹雪だしたその雪から逃れこの小屋に避難してきたのだろう、かなり凍えている様子に見えた。
僕がかけた「誰?」という声に少しびっくりする様子を見せた後、弱々しい声で「すみません。少しここで休ませてもらえませんか?」と喋るとそのままふわっとしゃがみ込んでしまった。
「大丈夫?」
駆け寄って抱き止め、とにかく部屋の中央暖炉のそばのソファーまで連れて行き座らせる。
ここに来るまでかなり気を張っていたのか、部屋に入った途端にぐったりとしてしまった彼女。
その制服から三回生だとはわかるけれど今はまだ講義中のはず。どうしてこんなところに?
そんな疑問が頭をよぎった。
予報ではこの雪は午後から今夜一晩は続くという話、校舎に隣接された学生寮であれば暖房も行き届いているしこんな天気は苦にもならないだろうけれど、だめだ。
ここから校舎まではもう明日の朝になるまでは動かない方が良さげではあるけれど。
しかしな。
そういうわけにもいかないか。
ぐったりした彼女はそのエメラルドの髪がぐっしょりと濡れ、このままでは風邪をひいてしまいそうだ。
そうでなくともか弱い見た目の彼女、もうすでに少し熱っぽい。
僕は小屋中のタオルを集め、彼女の髪を拭った。
制服もしっとりと濡れていたけれど幸に水を弾く素材だったからか中までは染み込んでなさそうだ。
こんな場所で気を失った婦女子の服を脱がすわけにもいかないし、どうしようかと逡巡する。
「ジーク、様……」
虚な瞳を少し見開いたかと思ったら、そう吐息を漏らす彼女に。
僕は少し、その相手、ジークに、嫉妬した。
こんなところに一人で来るなんて。
通常ではあり得ない。
ではなぜ?
まあそれは考えても詮ないこと。
今はこの子を無事に寮まで届けなくては。
そう思った僕は、校舎に繋がる送話機の受話器を持った。
⭐︎⭐︎⭐︎
「殿下、お一人でこんなところに来るなんて」
「悪い、アルベルト。だがそのおかげで彼女を救うことができたのだ」
「まあそれは。しかしもう二度とごめんですからね」
「ああ、わかったよ。じゃぁ」
「はいはい。まずはこの令嬢を無事校舎までお届けしましょう。その後でもう一回参りますからね」
「うん。頼むよ。この吹雪の中歩くのはごめんだからね」
「では、転移します。おとなしく待っていてくださいね」
「ああ、もうどこにもいかないさ」
ハッシュバルトは目の前でぐったりした令嬢を抱き上げ空間転移の魔術を使用するアルベルトを見送りながら、ため息を一つついた。
「せっかくの自由な時間を過ごせそうだったのだがな。まあ仕方ないか。それよりも……」
先ほどまで目の前にいたエメラルドの令嬢の寝顔が頭の中に残っている。
次にこの国に来れるのは2年後、か。その時にはどんなふうに成長しているだろうか。
そんな彼女の将来の姿を思い浮かべながら。
急激に吹雪だしたその雪から逃れこの小屋に避難してきたのだろう、かなり凍えている様子に見えた。
僕がかけた「誰?」という声に少しびっくりする様子を見せた後、弱々しい声で「すみません。少しここで休ませてもらえませんか?」と喋るとそのままふわっとしゃがみ込んでしまった。
「大丈夫?」
駆け寄って抱き止め、とにかく部屋の中央暖炉のそばのソファーまで連れて行き座らせる。
ここに来るまでかなり気を張っていたのか、部屋に入った途端にぐったりとしてしまった彼女。
その制服から三回生だとはわかるけれど今はまだ講義中のはず。どうしてこんなところに?
そんな疑問が頭をよぎった。
予報ではこの雪は午後から今夜一晩は続くという話、校舎に隣接された学生寮であれば暖房も行き届いているしこんな天気は苦にもならないだろうけれど、だめだ。
ここから校舎まではもう明日の朝になるまでは動かない方が良さげではあるけれど。
しかしな。
そういうわけにもいかないか。
ぐったりした彼女はそのエメラルドの髪がぐっしょりと濡れ、このままでは風邪をひいてしまいそうだ。
そうでなくともか弱い見た目の彼女、もうすでに少し熱っぽい。
僕は小屋中のタオルを集め、彼女の髪を拭った。
制服もしっとりと濡れていたけれど幸に水を弾く素材だったからか中までは染み込んでなさそうだ。
こんな場所で気を失った婦女子の服を脱がすわけにもいかないし、どうしようかと逡巡する。
「ジーク、様……」
虚な瞳を少し見開いたかと思ったら、そう吐息を漏らす彼女に。
僕は少し、その相手、ジークに、嫉妬した。
こんなところに一人で来るなんて。
通常ではあり得ない。
ではなぜ?
まあそれは考えても詮ないこと。
今はこの子を無事に寮まで届けなくては。
そう思った僕は、校舎に繋がる送話機の受話器を持った。
⭐︎⭐︎⭐︎
「殿下、お一人でこんなところに来るなんて」
「悪い、アルベルト。だがそのおかげで彼女を救うことができたのだ」
「まあそれは。しかしもう二度とごめんですからね」
「ああ、わかったよ。じゃぁ」
「はいはい。まずはこの令嬢を無事校舎までお届けしましょう。その後でもう一回参りますからね」
「うん。頼むよ。この吹雪の中歩くのはごめんだからね」
「では、転移します。おとなしく待っていてくださいね」
「ああ、もうどこにもいかないさ」
ハッシュバルトは目の前でぐったりした令嬢を抱き上げ空間転移の魔術を使用するアルベルトを見送りながら、ため息を一つついた。
「せっかくの自由な時間を過ごせそうだったのだがな。まあ仕方ないか。それよりも……」
先ほどまで目の前にいたエメラルドの令嬢の寝顔が頭の中に残っている。
次にこの国に来れるのは2年後、か。その時にはどんなふうに成長しているだろうか。
そんな彼女の将来の姿を思い浮かべながら。
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