禍《わざわい》の魔女とよばれた公爵令嬢〜王子様から婚約を破棄されました。ほんとは聖女のわたくしなのによろしいのでしょうか?

友坂 悠

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円環の昇華。

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 禍の魔女カペラの心から魔が溢れ。
 暴風を撒き散らす。

 クロス軍の歩兵は皆防御魔法陣でその身を固めていたけれど此の嵐の中では絶えられるのもいくばくか。

 魔女と相対する聖女に至っても、その身体はすでに魔に蝕まれ。
 もう後どれくらいの時間その命を保っていられるのか、わからず。


「ごめんなさい。わたくしはこの命に変えて貴女をお救いいたします」

 それが合図だった。

 彼女のその魂《レイス》から大量のマナが溢れ。
 それは禍の魔女の全てを包み込む。

円環の昇華サブリメイション・オブ・サークル!!」

 その声が聞こえたのが、最後だったという。

 彼女のその声とともに、魔の暴風が止み、人々は生きながらえた。


 魔の荒野はそれからしばらくの間は魔に汚染されたままではあったけれど、それ以上の侵食は止まり。

 安堵した人々は。

 彼らを救った大聖女アマリリスを神の次席とし崇めるとともに、その後の人々の心の模範とすることを誓った。

 いわく、貴族たるもの人々を導く規範となれ。
 そして。人々に危機が訪れた時にはその身をかけ守ること。

 ノブレス・オブリージュ。

 高貴な身分にはそれに応じた責任がある。
 それが守れる自覚のあるものだけが貴族を名乗ることができる。

 そうした思想のもとに世界に新しい時代が訪れたのだった。
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