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婚約。
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「やあクラウディア」
あたしの両隣にはお父様、お母様。
その前座るのはこのたび聖王に即位したばかりのレクサス・アウレリアヌス・フーデンブルク王。
隣にはメアリ王妃とそしてジークフリート王太子殿下。
学園の入学式を明日に控えたこのタイミングであたしは王宮に呼ばれていた。
っていうか、なんとジーク殿下のたっての希望であたしは彼、王太子殿下の婚約者になるのだと。そんな話を聞かされてもう真っ赤になって何も答えることができなくなったクラウディアが気絶するように奥に引っ込んじゃったものだから、今日この場に座っているのはあたし、カペラだ。
「では本日は仮婚約として次の週末に大々的に婚約式の運びといたしましょう」
王の側近中の側近であるマクロン大臣がそう言い放つ。
ああ。
これはもう逃れられない系?
うちは一応公爵家。
お父様はレクサス王とは従兄弟に当たる由緒ある家系だ。
って、え?
ということはあたしにもそんな王家の血が流れているってこと?
王家の血、かぁ。
あの聖女さまも王女さまだったよなぁ確か。
そんなことをふっと思い出すあたし。
まさかこうして自分がそんな立場になるとは思ってもいなかったけど。
まあ正確にはちょっと違うんだけど。
公爵令嬢なのはあくまでクラウディアであってあたしじゃない。
王子の婚約者だってあたしじゃなくてクラウディアだ。
あたしはたまたまクラウディアの身体の中にいるに過ぎないし。
そんなふうに卑下して考える。
まあね。
あたしってなんなんだろう。
こんなふうに前世のことも覚えててまるで幽霊のようにクラウディアに取り憑いているって感じ?
ちょっと悲しいけれどそう考えるのが妥当。
こうして身体を動かせるけれど。
クラウディアが見たもの聞いたもの食べたもの味わったもの感動したこと痛い事悲しいこと全てあたしも共有してはいるけど。
でも。
やっぱりさ。
多分、違うんだろう。そう思っちゃうんだ。
「君と婚約できて嬉しいよ」
そんなキザなセリフを宣う彼。
そしてそれをまんざらでもなく感じているこの心。
これはクラウディアのもの?
この感情は。
誰の?
「わたくしも大変嬉しく存じます」
あたしは一応身についたお嬢様言葉でそう答え、彼に向かってにこりと微笑んだ。
うん。
いいや。
この感情が誰のものでも構わない。
きっとクラウディアだってそう思っているに違いないのだもの。
今までの心の動き。
恥ずかしく思うその感情そのものがきっと。
あたしはそう自分を納得させ、一緒に散歩をしようという彼の手を取った。
あたしの両隣にはお父様、お母様。
その前座るのはこのたび聖王に即位したばかりのレクサス・アウレリアヌス・フーデンブルク王。
隣にはメアリ王妃とそしてジークフリート王太子殿下。
学園の入学式を明日に控えたこのタイミングであたしは王宮に呼ばれていた。
っていうか、なんとジーク殿下のたっての希望であたしは彼、王太子殿下の婚約者になるのだと。そんな話を聞かされてもう真っ赤になって何も答えることができなくなったクラウディアが気絶するように奥に引っ込んじゃったものだから、今日この場に座っているのはあたし、カペラだ。
「では本日は仮婚約として次の週末に大々的に婚約式の運びといたしましょう」
王の側近中の側近であるマクロン大臣がそう言い放つ。
ああ。
これはもう逃れられない系?
うちは一応公爵家。
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って、え?
ということはあたしにもそんな王家の血が流れているってこと?
王家の血、かぁ。
あの聖女さまも王女さまだったよなぁ確か。
そんなことをふっと思い出すあたし。
まさかこうして自分がそんな立場になるとは思ってもいなかったけど。
まあ正確にはちょっと違うんだけど。
公爵令嬢なのはあくまでクラウディアであってあたしじゃない。
王子の婚約者だってあたしじゃなくてクラウディアだ。
あたしはたまたまクラウディアの身体の中にいるに過ぎないし。
そんなふうに卑下して考える。
まあね。
あたしってなんなんだろう。
こんなふうに前世のことも覚えててまるで幽霊のようにクラウディアに取り憑いているって感じ?
ちょっと悲しいけれどそう考えるのが妥当。
こうして身体を動かせるけれど。
クラウディアが見たもの聞いたもの食べたもの味わったもの感動したこと痛い事悲しいこと全てあたしも共有してはいるけど。
でも。
やっぱりさ。
多分、違うんだろう。そう思っちゃうんだ。
「君と婚約できて嬉しいよ」
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これはクラウディアのもの?
この感情は。
誰の?
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あたしは一応身についたお嬢様言葉でそう答え、彼に向かってにこりと微笑んだ。
うん。
いいや。
この感情が誰のものでも構わない。
きっとクラウディアだってそう思っているに違いないのだもの。
今までの心の動き。
恥ずかしく思うその感情そのものがきっと。
あたしはそう自分を納得させ、一緒に散歩をしようという彼の手を取った。
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