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怪しすぎました。

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「止まりなさい。ここから先は許可されたものしか通すことはできません」

「あの、わたくし、大聖女様とお約束があって……」

「見たところ魔道士見習いのようですが、本日はそのような予定は伺っておりません。どうぞお帰りください」

 魔道士の塔の入り口で門番に呼び止められたあたし。ああん。扉はすぐそこなのに。

 がたいの良いその門番さん、ギロリとこっちを睨む。口調は丁寧だけど態度はものすごく横柄。あうう、どうしよう。

 だいたい前お母様と来た時はスルーパスだったよねここ。

 そっか。

 あたしの格好がみすぼらしいから。

「あの……、わたくし、マリアンヌ・ヴァリエラントと申します。本日の面会、予定ありませんか?」

「ううむ。よりにもよってヴァリエラント公爵家令嬢の名を騙るとは、ちょっとこちらに来なさい」

 あう、完全に疑われてる。その巨体から腕が伸び、あたしの腕を掴んで捻じ上げる。

 痛い!

「待ちなさい!」

 背後から男性の声。

 門番さん、ビクッとして手を緩めてくれたので、その隙に手を引っ込めた。

「か弱い女性に乱暴とは見過ごせませんね。それに」

 声をかけてくれた男性、あたしの顔を覗き込んで。

「聴こえて居ましたが、この方はヴァリエラント公爵令嬢、マリアンヌ様に間違いありませんよ?」

 え? この人あたし知ってる人?

「大事になって職を失いたく無かったら、ここを素直に通してくれるとありがたいのですがね」

 と、その男性。

 パリッとした白銀の騎士服。肩に金色の房のついた肩章。飾緒も豪華、かな。かなり階級の高い騎士様のような気がする。

「ああ、ケイン・フェリス白騎士団長閣下。申し訳ありません。どうぞお通りください」

「まあいいでしょう。ただ、一言彼女にお詫びがあっても良いのでは?」

「ははっ。申し訳ありませんでしたマリアンヌ様!」



「いきますよマリアンヌ様。このような所で騒ぎになると貴女もお困りになるでしょう?」

 フェリス騎士団長はそのあまいマスクであたしの顔を見ると、小声でそう促した。

「はい。ありがとうございますフェリス様」

 あたしもとりあえずそうお礼を言ってそそくさとフェリス様の後をついて門を潜る。

「そもそもこの門には魔力紋ゲートが付いているのだから、そうそう不審者は通れないんですけどね」

 そうぼそっと呟くフェリス様。

 あたしが隣でふっとその彼の顔を見上げると、

「貴女も貴女ですよ? いくらなんでもその格好は怪しすぎます。不審な女性が王宮を歩いている、と、ちょっとした騒ぎになって居たんですからね?」

 あうあう。さすがに、やりすぎ?

 ごめんなさい。
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