異世界トリップしたら女神(見習い)でしたが一般人として自由に生きていこうと思います

瑞多美音

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第9章

115.女神見習い、ドワーフの頼みを聞く(2)

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 薄暗く入り組んだ坑道は人がすれ違えるくらいの広さしかなく、ところどころが部屋のようになっている。多分、採掘した跡かなぁ……

 時々、どこからかカサカサと音はするけど攻撃してくるわけではないので放置。一応ブランが注意して見ててくれるらしいので安心だ。

 「入り口のあたりは取りつくされていると思いますのでもう少し進みましょう」
 『わたしはお婿さん探してくるです!また後で合流するです!』
 「わかった、ライム気をつけてね」
 『はいです!』

 ライムはぴょんぴょんと去って行った。多分、お婿さんは見つからないと思うけどライムが楽しそうなので問題ない。

 「ということで、ライムは自由行動になったけど……みんな間違えて攻撃しないように」
 「ん、わかった」
 「はい」
 「わかったよー……気をつける、多分」

 うん、キュリエルはなるべく近くにいてもらおう。ライムのために……

 ユリスさんに従いつつ、進む……

 「この辺りはまだ採掘されていないみたいです。とりあえずやってみます」
 「はーい」

 灯を設置し、ユリスさんに預かったつるはしのほとんどを渡した。残りを私とリディで使う。試しにその辺を掘ってみることにしたんだ……ふっふっふっ!採掘スキルレベルアップのチャンスだぜっ。

 「ん、出た」
 「え?あっ!本当だ」

 リディ早っ!私、まだつるはし振ってもいないのに……

 「出たやつはリディの好きにしていいから……もし、荷物になるようなら預かるからねー」
 「ん、わかった」

 ま、リディもアルさんが手を入れたバッグあるし大丈夫だと思うけどね……

 ポロッと出てくる鉱石を心眼で確認しつつストレージへ……

 「んっ!エナ、これ魔結晶っぽい!」
 「えっ?ちょっと見せて」

 心眼で確認するとたしかに魔結晶だ……でも水色なのでリディのポーションには使えないなぁ。

 「リディ!これの黄色であのポーションが作れるから頑張って採掘してみようね!」
 「ん、頑張る!」

 ユリスさんは黙々と作業を進めているみたい……さすがドワーフ。いつのまにか鉱石の山ができてる。うん、あれ私が持ち帰るんだね……キュリエルは早々に飽きて昼寝してますねー。

 しばらく採掘を続けるとユリスさんの言っていたミスリルや黄色の魔結晶も少しだけど手に入れることができた。帰ったらポーション作らなくちゃ。

 「お腹空いたなー」
 「ん」
 「休憩してお昼食べますか」
 「はい!」
 
 朝、ユリスさんから預かったお弁当を取り出す……こんな時だけ素早く動くキュリエル。うん、お腹空いてるんだね。
 おおー、サンドイッチですね!フルーツもついてるし飲み物まであるとはっ!

 「美味しそう……じゅるり」
 「ん」
 「「「「いただきます」」」」

 もぐもぐ……うまー

 「ライムの分は残した方がいいのかな?」
 「……どうでしょう」

 一応残しておこう……ほら、お礼にスライムゼリーくれるかもしれないし。
 
 「あの、この後もう少し採掘したいんですが……なかなか来れる場所じゃないので」
 「わかりました。そうだ、あの山はとりあえず私が預かっていいんでしょうか」
 「はい、お願いします」
 「ん、わたしも魔結晶探す」
 「じゃあ、少し移動しましょう。この辺りはだいたい採掘してしまったので」
 「はい」
 「ん」
 
 お昼を食べ、いくつか増えていた鉱石の山をストレージへ入れていく。私の分と混ざらないように木箱に入れてからにしたよ。木箱はポーション納品用だけど、問題ないはず……多分。

 「お待たせしました」
 「いえ、じゃあ行きましょう」
 「はい」
 「ん」

 なるべく魔物と出くわさないように避けつつ奥へ進み採掘を続けた。幸いにも魔物が近寄ってくることはなかった。こちらが攻撃しなければ問題ないタイプの魔物だったのかな?美味しい魔物だったら倒すという選択肢もあったけど姿すら見えないからなぁ……

 「おっ、ここ結構魔結晶あるかも」
 「ん、頑張る」

 リディの頑張りとブランの応援により結構な数の魔結晶が手に入った。うん、最初からこっち来てればよかったかも……時々、魔石もあったけど私とリディ的には魔結晶の方が嬉しい。普通は魔石の方が喜ばれるらしいけどね……

 「ユリスさんどうですかー」
 「はいっ!望んだ以上に手に入りました!他の鉱石もたくさん手に入ったのでしばらくは工房にこもりたいですね!」
 「ん、よかった……ミスリルと魔結晶交換して」
 「えっ、いいんですか?」
 「ん」
 「あ、わたしもお願いします」
 「はい、喜んでっ」

 交換は帰ってからゆっくりすることにしてそろそろ引き上げることに……

 「あっ、ライムちょうどよかった。そろそろ帰ろうと思ってたんだー」
 『そうですか!でも、一緒に来て欲しいです!』

 あ、もしかしてお婿さん見つけたのかな?それで紹介したいとか?

 「ん?なんかライムが一緒に来て欲しいらしいんだけど……ちょっと行ってくるね」
 「ん、わかった。もう少し採掘してる」
 「わかりました。くれぐれも気をつけて」
 「はーい……ブラン、キュリエルお願いね」
 「しょーがないなー」
 
 ブランも任せろとばかりに胸を張ったので大丈夫だろう。

 ライムに導びかれ入り組んだ道を進む……これ戻れる気がしないんだけど、ライムさん帰りも頼んだよ。

 『この先です!エナならなんとかできるはずです!』

 ライムが示す脇道に入ると……

 「わっ、なにこれ……ん?糸かな」
 
 なんでこんなところに糸が……

 『エナ、奥です!早く助けてです!』
 「ライム、助けてってどういう?あれって……」

 そこには虚ろな目をした女性の上半身に蜘蛛の下半身をした魔物?がいた……

 「えっと……見間違いかな?」

 あ、さっきの糸は蜘蛛の糸だったのかー……現実逃避してみた。ちらっ……うん、やっぱりいるな。そういえばこの脇道蜘蛛の巣だらけじゃんっ。なんで今まで気づかなかったんだろ……はぁ。

 「こんにちわー」

 まずは挨拶してみる。うわー、目が合っちゃったよ……ライム、助けてってどうすればいいの?
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