異世界トリップしたら女神(見習い)でしたが一般人として自由に生きていこうと思います

瑞多美音

文字の大きさ
上 下
99 / 120
第7章

99.女神見習い、少女と冒険者ギルドへ(1)

しおりを挟む

 ユリスさんお手製の美味しいご飯も食べたし、ゆっくりしたおかげで魔力もだいぶ回復したし……そろそろギルドへ行かなきゃ。

 「リディ、行こっか」 
 「ん」
 「「いってらっしゃい」」
 「「いってきます」」

 空の荷車をゴロゴロと引き冒険者ギルドの裏口へ……

 トントンーー

 「はーい!あ、エナ……いらっしゃい」
 「カーラ。買い取りにいるなんて珍しいね?」
 「うん、マルガスさんが用事でいないからこっちのサポートをしてるの。さ、どうぞ?」

 さっそくソファに座り……

 「そっか……今日はポーションの納品とダンジョンの素材の買い取りとリディの見習い登録解除かな?」
 「ん、ブランの羽も……」

 あ、そうだったね。

 「はい、かしこまりました。ということはリディさん、お誕生日きたんですね?おめでとうございます」
 「ん、ありがと」
 「えっと、ポーション並べるの時間かかるんで、先にリディの見習い解除お願いします」
 「はい。ではおふたりのギルドカードをお預かりしますね」

 リディと私のギルドカードを渡し、ポーションを種類ごとに木箱に並べていく……
 
 「はい、これでリディさんの冒険者見習いは終了です。今後は他の冒険者と同様討伐依頼も受けられますし、ランク昇格も可能です。多分、何回かキラーバードの羽を納品してくれるとサブマスがどんどんランクを上げてくれるはずです」
 「なんでですか?」
 「あー……従魔がいることと、ブラッドベアを倒したことがあるので……」

 あれ?なんでカーラが知ってるんだろ?それはサブマスとマルガスさんしか知らないはず……お肉も分けてあげたんだから。

 「エナ、なんか不思議そうにしてるけど、ブラッドベアのお肉を料理したの私の父親だよ?残った分は私が美味しくいただきました。それで、マルガスさんにまたエナなんですか?ってカマかけたら……リディさんだってわかっちゃったの。最初は信じられなかったけど、従魔もいるし……」
 「ん、ブランと頑張った」
 「そうだねー……ミーナちゃんたちに多めにおすそ分けしたんだもん。そりゃ、カーラにも伝わるか」

 そっかぁ。それでリディもサブマスに目つけられちゃったのか……ある程度まではすぐにランクが上がっていくんだろうなぁ。

 「それでリディさんの納品を先に済ませますか?」
 「ん、お願いします……あと、リディでいい」
 「えっ、私もエナみたいに呼んでいいの?」

 うわー……カーラの満面の笑み、久々発動した……リディもカーラに慣れてきたってことだね。

 「ん」
 「嬉しいですっ!じゃあ、リディ?キラーバードの羽の納品でよろしいですか?」
 「ん、お願いします」
 「あれ?……そういえばキラーバードの羽の納品ってGランク依頼だよね?リディが昇格した場合はどうなるの?」

 さすがにGランクの依頼をずっと受け続けることはできないだろうし……

 「あー、確かにそうなんだけど……ここまで白くて綺麗な羽は滅多にないからGランク依頼とは全く別物として扱われて、サブマス権限の指名依頼扱いになると思います」
 「ん、よかった」

 リディが丁寧にバッグから羽を取り出すのを横目にいつも通りお茶を入れる。うん、美味しい。もちろんカーラとリディ、ブランの分も忘れずに入れたよ……ブランの分はスルーしようとしたらすごい目で訴えられたから。べ、別にブランが怖いわけじゃないんだからねっ……

 「はい、キラーバードの羽の納品で銀貨6枚と小銀貨2枚ですねー」

 うん、相変わらずすごい額だね……下手したら中堅冒険者より稼いでるね。

 「ん、銀貨5枚は口座に」
 「はい、今回の依頼でリディはEランクに昇格です。おめでとうございます」
 「え?」
 「……ん?」
 「あー、ちょうど今回の依頼で昇格のタイミングだったんです」
 「なるほど……リディおめでとう」
 「ん、ありがと?」
 「ギルドカードと残りのお金です」
 「ん」
 
 さて、次は私の番かな?

 「じゃあ、次はエナだね。ポーションの納品からでよろしいですか?」
 「はい」
 「チェックするのでしばらくお待ちください」
 「はーい」
 
 カーラがポーションを数えている間にダンジョンの素材を邪魔にならないよう床に種類別に並べていく……結構あったな……これでも鉱石とか魔結晶分は減ってるのに。

 「はい、お待たせしました。ポーションは全部で金貨1枚と銀貨9枚ですね」
 「はい、確かに……そうだ、ついでにポーションの瓶買って帰りたいんだけど……200本くらい?」

 今回の納品、いつもよりポーションの量が少し多かったから瓶がなくなってきたんだよね……今日はお風呂(ヒノキ)とかトイレ(洋式、手洗い場付き)とか冷凍機能付き冷蔵庫にポイントもたくさん使ったし、たまには買ってみようかなって思ったんだけど……

 「えーっと、ちょっと待っててくださいね?数があるか聞いてきます」
 「あ、もし数が足りなくてもその分だけでも買うので……」
 「わかりました」

 ゆっくりお茶を飲んでて思い出したけど、そろそろ商業ギルドも行かないとなぁ……お茶が少なくなってたんだよね。でもなぁ、リディはあそこは嫌かもなぁ。私も最初は絡まれたし……1度、家に帰ってから出直すか……

 「リディ、退屈してない?大丈夫?」
 「ん、平気」
 「そっか……よかった」
 「はぁっ、はぁっ……お待たせしました。200本ありました」

 カーラが荷車でゴロゴロと運んできてくれたみたい。

 「えっと、いくら払えばいいのかな?」
 「エナはまとめて買った上にギルド公認なので安くなり、本来は瓶1本銅貨1枚のところが1本小銅貨7枚になります。それが200本なので……銀貨1枚と小銀貨4枚ですね」
 「はい、これで……」

 公認ってこんなところで役に立つんだね。説明された気はするけど、すっかり忘れてた。あ、この瓶ドネルマークだ。瓶はストレージにどんどんと放り込んでおく……うん、割れないし重くないし完璧だね。
 カーラの冷めた目は気にしてはいけない。きっと自分が苦労して持ってきたのに……とか思ってる……いや、実際つぶやいてるけどキニシナイヨ。
 ……瓶もたくさん買ったから意外と高くなったけど、これで頑張って拾った誰かがお腹を満たせるのならこれからも時々瓶を購入することにしよう。

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

異世界にアバターで転移?させられましたが私は異世界を満喫します

そう
ファンタジー
ナノハは気がつくとファーナシスタというゲームのアバターで森の中にいた。 そこからナノハの自由気ままな冒険が始まる。

拝啓、愛しの侯爵様~行き遅れ令嬢ですが、運命の人は案外近くにいたようです~

藤原ライラ
ファンタジー
心を奪われた手紙の先には、運命の人が待っていた――  子爵令嬢のキャロラインは、両親を早くに亡くし、年の離れた弟の面倒を見ているうちにすっかり婚期を逃しつつあった。夜会でも誰からも相手にされない彼女は、新しい出会いを求めて文通を始めることに。届いた美しい字で洗練された内容の手紙に、相手はきっとうんと年上の素敵なおじ様のはずだとキャロラインは予想する。  彼とのやり取りにときめく毎日だがそれに難癖をつける者がいた。幼馴染で侯爵家の嫡男、クリストファーである。 「理想の相手なんかに巡り合えるわけないだろう。現実を見た方がいい」  四つ年下の彼はいつも辛辣で彼女には冷たい。  そんな時キャロラインは、夜会で想像した文通相手とそっくりな人物に出会ってしまう……。  文通相手の正体は一体誰なのか。そしてキャロラインの恋の行方は!? じれじれ両片思いです。 ※他サイトでも掲載しています。 イラスト:ひろ様(https://xfolio.jp/portfolio/hiro_foxtail)

私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜

AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。 そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。 さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。 しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。 それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。 だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。 そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。 ※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

公国の後継者として有望視されていたが無能者と烙印を押され、追放されたが、とんでもない隠れスキルで成り上がっていく。公国に戻る?いやだね!

秋田ノ介
ファンタジー
 主人公のロスティは公国家の次男として生まれ、品行方正、学問や剣術が優秀で、非の打ち所がなく、後継者となることを有望視されていた。  『スキル無し』……それによりロスティは無能者としての烙印を押され、後継者どころか公国から追放されることとなった。ロスティはなんとかなけなしの金でスキルを買うのだが、ゴミスキルと呼ばれるものだった。何の役にも立たないスキルだったが、ロスティのとんでもない隠れスキルでゴミスキルが成長し、レアスキル級に大化けしてしまう。  ロスティは次々とスキルを替えては成長させ、より凄いスキルを手にしていき、徐々に成り上がっていく。一方、ロスティを追放した公国は衰退を始めた。成り上がったロスティを呼び戻そうとするが……絶対にお断りだ!!!! 小説家になろうにも掲載しています。  

異世界召喚失敗から始まるぶらり旅〜自由気ままにしてたら大変なことになった〜

ei_sainome
ファンタジー
クラスメイト全員が異世界に召喚されてしまった! 謁見の間に通され、王様たちから我が国を救って欲しい云々言われるお約束が…始まらない。 教室内が光ったと思えば、気づけば地下に閉じ込められていて、そこには誰もいなかった。 勝手に召喚されたあげく、誰も事情を知らない。未知の世界で、自分たちの力だけでどうやって生きていけというのか。 元の世界に帰るための方法を探し求めて各地を放浪する旅に出るが、似たように見えて全く異なる生態や人の価値観と文化の差に苦悩する。 力を持っていても順応できるかは話が別だった。 クラスメイトたちにはそれぞれ抱える内面や事情もあり…新たな世界で心身共に表面化していく。 ※ご注意※ 初投稿、試作、マイペース進行となります。 作品名は今後改題する可能性があります。 世界観だけプロットがあり、話の方向性はその場で決まります。 旅に出るまで(序章)がすごく長いです。 他サイトでも同作を投稿しています。 更新頻度は1〜3日程度を目標にしています。

ボルカノダンジョンへようこそ!

ひらえす
ファンタジー
 王都で冒険者をやっていたアレンダンは、諸々の事情でソロ冒険者として再出発する事にした。  ギルドから紹介されたのは、王都から遠く離れた田舎町、火山の町ボルカノ。3年前に発見されたボルカノダンジョンの先行調査およびその他の雑務etc…報酬が異様に高いことを怪しんだアレンダンだったが、一刻も早く王都を離れたかった彼はそれを承諾。 南の果ての火山の町、ボルカノでの生活が始まった……! ※小説家になろう様、アルファポリス様、カクヨム様でほぼ同時投稿しています。 ※残酷描写は保険です。 ※誤字脱字多いと思います。教えてくださると助かります。 ※相変わらずのストックなしの不定期更新ですが、頑張りますのでよろしくお願いします。

公爵令嬢のRe.START

鮨海
ファンタジー
絶大な権力を持ち社交界を牛耳ってきたアドネス公爵家。その一人娘であるフェリシア公爵令嬢は第二王子であるライオルと婚約を結んでいたが、あるとき異世界からの聖女の登場により、フェリシアの生活は一変してしまう。 自分より聖女を優先する家族に婚約者、フェリシアは聖女に嫉妬し傷つきながらも懸命にどうにかこの状況を打破しようとするが、あるとき王子の婚約破棄を聞き、フェリシアは公爵家を出ることを決意した。 捕まってしまわないようにするため、途中王城の宝物庫に入ったフェリシアは運命を変える出会いをする。 契約を交わしたフェリシアによる第二の人生が幕を開ける。 ※ファンタジーがメインの作品です

処理中です...