96 / 120
第7章
96.女神見習い、街の家をアップグレードする(1)
しおりを挟む数日前、メルさんは後ろ髪を引かれながらも天界へ帰っていった。
「次はもっと長くいられるように頑張るからー」
と言っていたけど、どういう意味だろう?ま、いっか。
リディもメルさんが帰ってからは少し寂しそうで、時々庭にある木像の前に佇んでいる。うん、木像そっくりだもんね……その姿を見たらメルさんすぐにでも戻ってきそうだよ……まぁ、その分アルさんがリディを独り占めしてるんだけどね……いや、ブランも一緒だから違うか?
畑にまいた土もいい感じなので、残りの区画にも土をまいておく……意外と重労働。
それでもまだまだストレージに土が残っているので、キュリエルにも分けてあげよう。街の家の花壇とか世話してるのキュリエルだもんね。
「リディ、ちょっとキュリエルたちのところ行くけどどうする?」
「ん、わたしも行く」
「あ、そうだ。ついでにポーションの納品と素材の買取も行こうかな?」
「ん……羽があるからわたしも」
「リディも行くなら、見習いのことも聞いてみよっか?」
「ん」
出かける準備を済ませ……テーブルに神の宿屋を訪ねてきた神様宛に夕方までには戻ることと1階は埋まっているので2階の好きな部屋にどうぞという旨のメモを残しておく。……というのもメルさんが自分が泊まった部屋に他の神を泊めないでお願いされたので。うん、作ったのメルさんだから仕方ないね。1階はあとは倉庫になりそうな狭い部屋しかないから必然的に2階なんだよ……これでもし突然神様が来たとしても大丈夫だ。
「おっ、リディ。アルさんにもらったローブ似合ってるよ」
うん、可愛い……さすがアルさんわかってるね!
「ん、ありがと」
「じゃ、行こっか」
「ん」
早速、街の家へ瞬間移動……
「ふぅ……キュリエルー?」
「あれー、今日はどうしたの?」
「うん、用があって……あのさ、まずは土あげるね」
「つち?」
キュリエルは不思議そうに首を傾げた……あざとい。
「うん、ダンジョンでゲットしたやつなんだけど……畑で使ったら結構良かったから庭の花壇にどうかなーって」
「へー、ありがとー」
さっそく、庭に移動し土を出していく……
「ん、ユリスさんは?」
「んー、また工房にこもってるかな?」
「ん、わかった」
そういえば、まだ素材あったなぁ……これが終わったらいるか聞いてみよう。
「おー、これ結構いいかもね?」
「でしょー?……それでさぁ、キュリエルにちょっと相談があるんだけど……」
どきどき……
「なに?まさかこの土は賄賂なわけ?」
「そ、そんなことないけど……」
「はぁ……で、相談ていうのはなんなの?」
「うん……あのさ、この家のお風呂とかトイレとか新しくしてもいいかな?」
キュリエルがこの家を大事にしてるのわかってるから言いづらいけど、毎回簡易トイレを出すのも……ね?
やっぱ、だめかなー?
「うーん……わかった。相談してくれたから許してあげる」
「えっ、いいの?本当に?」
ダメ元だったのに、こっちがびっくりだよ。
「うん、いいよ。でも、これからもこの家に何かするときはちゃんと言ってよ?」
「ありがとう。わかった!ちゃんと相談するね?ちなみにさ、お風呂が天然石とヒノキで選べるけどどうする?」
「んー、ヒノキかな?僕一応、風の精霊だからさー……」
「へー、そうなんだ……わかった。ヒノキにしよう。冷凍機能付き冷蔵庫とかもあるけどいるかな?……これは台所に置くだけだから家に傷はつかないよ」
「ねぇ、エナ……冷凍機能付き冷蔵庫って何?」
あー、そうか……んー……
「なんて言えばいいかな……えーっと冷蔵庫っていうのは食べ物の鮮度を落とさずに保存しておける……みたいなかんじ?あ、もちろん長期間はダメなんだけど」
「ふーん……冷凍は凍らせるってこと?」
「そうそう……凍らせて保存できる箱と低温保存の箱が合体してるって感じかなぁ?」
うん、多分そんな感じだろう……実物は見てないからわからないけども。
「へー……台所はユリスに任せてるから、ユリスがいるって言ったら好きにしていいよー」
「わかった」
「ていうかさ……エナ。突っ立ってないで土まくの手伝ってよ」
「あ、ごめんごめん」
花壇にせっせっと土をまいたら……ていっても花壇、結構あるから時間かかったんだけどね。ユリスさんの工房へ……
「こんにちはー……あれ?リディ、ブラン。工房にいたんだね?」
「ん、ちょっと用事」
「そっか」
へー、リディもユリスさん相手なら普通に話せるようになったんだ。よかったよかった。
「ユリスー……なんかエナがこの家の設備を整えたいんだってー」
「え、そうなんですか?」
「あー、といってもトイレとかお風呂だけすけどね」
「へぇ……」
「ん、お風呂……さいこう」
「でさー……なんか冷凍機能付き冷蔵庫とかいうのいるかって聞かれたけど、どーする?」
ユリスさんはいまいちピンと来ていないようなので、先ほどと同じようにユリスさんに冷凍機能付き冷蔵庫の説明をすると
「すごいですねっ……ですが、それってかなり貴重なものなんでは?」
「さぁ?ユリスさんが気になるなら、美味しい料理を作ってくれるお礼と考えてください」
「そうですか……私としてはぜひお願いしたいです」
よし、そうと決まればポイント交換……する前に
「そうだ。この前渡した素材と似たような素材、たくさん残ってますけどいります?」
「いいんですか?……ですがもらいっぱなしは……」
「どうせ私は使わないので気にしなくても大丈夫ですよ?」
「では、ありがたく……エナさんが必要なものがあればなんでも言ってくださいね?最優先で作りますから!」
「ありがとうございます。また、思いついたらお願いしますね」
「はい!」
ストレージの素材の内、ユリスさんが使えそうなものは全て渡しておいた。どうせ、わたしは使わないし問題ない。
あとの素材はギルドで売り払ってしまおう。
うんうん、これでだいぶストレージの整理ができた。
さて、家のアップグレードのためにポイントを交換しようか。感謝ポイントかもーん!
0
お気に入りに追加
308
あなたにおすすめの小説

[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。
拝啓、愛しの侯爵様~行き遅れ令嬢ですが、運命の人は案外近くにいたようです~
藤原ライラ
ファンタジー
心を奪われた手紙の先には、運命の人が待っていた――
子爵令嬢のキャロラインは、両親を早くに亡くし、年の離れた弟の面倒を見ているうちにすっかり婚期を逃しつつあった。夜会でも誰からも相手にされない彼女は、新しい出会いを求めて文通を始めることに。届いた美しい字で洗練された内容の手紙に、相手はきっとうんと年上の素敵なおじ様のはずだとキャロラインは予想する。
彼とのやり取りにときめく毎日だがそれに難癖をつける者がいた。幼馴染で侯爵家の嫡男、クリストファーである。
「理想の相手なんかに巡り合えるわけないだろう。現実を見た方がいい」
四つ年下の彼はいつも辛辣で彼女には冷たい。
そんな時キャロラインは、夜会で想像した文通相手とそっくりな人物に出会ってしまう……。
文通相手の正体は一体誰なのか。そしてキャロラインの恋の行方は!?
じれじれ両片思いです。
※他サイトでも掲載しています。
イラスト:ひろ様(https://xfolio.jp/portfolio/hiro_foxtail)

いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜
早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。
食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した!
しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……?
「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」
そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。
無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

生活魔法は万能です
浜柔
ファンタジー
生活魔法は万能だ。何でもできる。だけど何にもできない。
それは何も特別なものではないから。人が歩いたり走ったりしても誰も不思議に思わないだろう。そんな魔法。
――そしてそんな魔法が人より少し上手く使えるだけのぼくは今日、旅に出る。

異世界召喚失敗から始まるぶらり旅〜自由気ままにしてたら大変なことになった〜
ei_sainome
ファンタジー
クラスメイト全員が異世界に召喚されてしまった!
謁見の間に通され、王様たちから我が国を救って欲しい云々言われるお約束が…始まらない。
教室内が光ったと思えば、気づけば地下に閉じ込められていて、そこには誰もいなかった。
勝手に召喚されたあげく、誰も事情を知らない。未知の世界で、自分たちの力だけでどうやって生きていけというのか。
元の世界に帰るための方法を探し求めて各地を放浪する旅に出るが、似たように見えて全く異なる生態や人の価値観と文化の差に苦悩する。
力を持っていても順応できるかは話が別だった。
クラスメイトたちにはそれぞれ抱える内面や事情もあり…新たな世界で心身共に表面化していく。
※ご注意※
初投稿、試作、マイペース進行となります。
作品名は今後改題する可能性があります。
世界観だけプロットがあり、話の方向性はその場で決まります。
旅に出るまで(序章)がすごく長いです。
他サイトでも同作を投稿しています。
更新頻度は1〜3日程度を目標にしています。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる