異世界トリップしたら女神(見習い)でしたが一般人として自由に生きていこうと思います

瑞多美音

文字の大きさ
上 下
47 / 120
第4章

47.女神見習い、服を買う(1)

しおりを挟む


 ギルドへ行くと

 「あ、エナさん! お久しぶりです」
 「カーラさん、おはようございます……ポーションを」
 「はい! どうぞこちらへ」

 いつものように奥の部屋でポーションを売り、カーラさんにギルドへ来なかったことを心配されつつちょっと気になっていたことを聞く……

 「そういえば、街なかに魔物って入れないんですかね」

 いや……リディが街に入るってことはブランもいないとダメでしょ……そもそも街に入った瞬間にブランが攻撃されるとか悲劇にしかならない……ブランが攻撃される→リディから瘴気が発生→街の半数が体調を崩す……みたいな。

 「いえ、一概にそうとは言えません。この街にはいませんが……王都には馬よりも早く強い魔物が馬車を引くこともありますから」
 「へぇ……」
 「でもどうやって見分けるんですか? 野生かどうか」
 「あー、それはですね……主従関係にある場合はギルドに従魔登録していただければギルドカードに表示されるので問題ないです……ですが魔物を制御出来ないのにギルドへ連れてきて、そこで魔物が暴れたりすると冒険者に倒されますので……」

 あー、後味の悪いことになりそうだね。んー……ブランはリディのためなら暴れないはず……多分。

 「そうですか、わかりました……そのうち連れてきますね」
 「……えっ?」
 「あ、わたしが従えてる魔物じゃないんですけど……その場合って本人の冒険者登録必要ですか?」
 「……あの、エナさんのお知り合いに魔物を従えている方がいて……その方をそのうち連れてくるということですか?」
 「そうです! あ、まだ12歳なんで後見人は私がします」

 あれ、なんかカーラさんパニック? 頭抱えちゃったけど……確か13歳までは後見人が必要だったよね?

 「わ、わかりました……それはやはり主従関係にあるご本人の登録が必要です。できれば連れてくる日付を教えてもらえるとありがたいです……この街では従魔はそこそこ話題になりますから」

 あー、リディ目立つの嫌がるだろうな……

 「んー……まだ決まってないので、決まったらまたお知らせしますね……あと、出来るだけその子を刺激しないでほしいんです……目立たないほうが嬉しいですね」
 「……では、ポーションの買取という口実で奥の部屋を使いましょう……魔物は部屋に入るサイズですか?」
 「あ、平気です。鳥なんで……あと多分、今までよりギルドにくる頻度が開くと思います」
 「そうですか……エナさんのポーション人気ですぐに無くなるんですけどねぇ」

 2、3日に1度が5日に1度になったってそんなに困らないと思う……その分、量も持ち込むし……なんかマルガスさんとカーラさんは多少マジックバッグから多めに出しても大丈夫そうなんだよね……

 「エナだからな……」「エナさんですから……」とは言われそうだけど。



 「そうだ……ちなみにこの街って髪の毛とか瞳の色とかで差別されたりします? 他の土地ではあるって聞いたんですけど……」
 「あぁ、その土地って帝国ですよね?」

 リディって帝国から来たんだ……あんまり思い出したくないみたいだから聞いてなかったわ……

 「んー……ですかねー?」
 「……帝国では黒い髪に赤い瞳は不吉で近寄ると呪われるとまで言ってるらしいです……逆に銀髪に紫の瞳は崇拝されるとか……まぁ、帝国では今でも呪いが身近にあるそうなので信じられてるんでしょうね」
 「へー……そうなんだ」
 「リタール王国では特に外見で差別をするようなことはありませんね……ただ珍しい色だと注目はされますけど……例えば黒髪は少なくてもいますし藍色やダークブラウンは結構いるのでそんなに注目はされません。ですが赤い瞳は滅多にいないので……」
 「注目されるんですね」
 「ええ」
 
 そっか……ブランは外套の中で大人しくしてもらえば目立ずに済んでいいけど……リディの瞳の色か……

 

◇ ◇ ◇


 「こんにちはー」
 「おや、エナちゃん久しぶり……食事かい?」
 「あ、それもあるんですけど……お持ち帰りのお願いとサイズの豊富な服屋さんを教えてほしくて」
 「あっ!エナお姉ちゃん! 今日もお泊まりなの?」

 あー……恐れていたこの時がやってきてしまった。

 「ごめんね。今日は泊まりじゃないんだ……」
 「ふーん、そっか。じゃあまたねー」

 意外とあっさりしてらっしゃる……それはそれで少しさみしい。うっ、ダメージが……

 「で、ですね……お持ち帰りの量を前の倍くらいは欲しくて……あ、できれば野菜とかお肉とかバランスがいいと嬉しいです。もちろんお代は払いますので」
 
 親父さんに向けて言うとコクリと頷き親指を立てた……なんかブラッドベアのお肉の件以来ほんの少し打ち解けた気がする、うん。

 「料理は大丈夫みたいだね……で、そのサイズが豊富っていうのは大きい方に? 小さい方に?」
 「あー……ミーナちゃんよりふた回りくらい大きめで」
 「そうかい……市場の近くの洋服店か、ちょっと値段が高くてもいいなら商業ギルドのそばにある店もおすすめだよ。こっちは少し前にオープンして色々幅広く扱ってるから……」

 あれかな以前開店すると行っていた商人さんの店舗のことかな。

 「ありがとうございます! お昼食べたら早速行ってみますね」
 「持ち帰りは買い物の帰りにでも寄ってくれると出来てると思うから」
 「わかりました。そうします」


 早速、市場のお店へ行ってみる……

 「いらっしゃい」

 やっぱりここも古着がメインかな……ライトブルーのワンピースと寝巻き、生成りの上着とこげ茶の7分丈のパンツ、リディのブーツを購入。もちろん足のサイズは測ってきたよ……ブランが。リディ遠慮してなかなか教えてくれないんだもの。
 こっそり教えてもらうの大変だった……意思疎通の面で。最終的にブランがちょっとプリプリしてたよね。
 

 フードのついた外套がサイズのちょうどいいものがなかったので……フードなしのは結構あったんだけど、フードは必須だから。
 商人さんの店舗へ向かうことに……ちょっと高級すぎたらどうしようってドキドキ……

 「いらっしゃいませ」
 「こんにちはー」
 「あら、あなた……」
 「お久しぶりです。あの時はどうも」
 「来てくれたのね? 嬉しいわ」

 やはり上品な人だなぁ……あ、奥から旦那さんも出てきた。

 「お、来てくれたのか……好きに見てってくれ」
 「はい」

 こちらは新品らしく……サイズが合えばお買い得って感じみたい……多分オーダーメードで作られたんだけどお金が支払われなかったとか気に入らないからキャンセルとかそうものだと思う。
 価格もそこまで高くない。よかった……ありがとうキャンセルした人!
 リディサイズの黄色のワンピース、下着や靴下、フードのついた外套を選び購入する。

 「あら、お嬢さんには小さいわよ?」
 「ええ……一緒に暮らしてる子のものです」
 「そうなの……じゃあこれはサービスね」

 飾りのついた髪を結ぶ紐を2本付けてくれた。

 「ふふ、お揃いっていいわよね……」
 「ありがとうございます」
 「また、来てちょうだいな」
 「はい!」

 いやー、いい買い物できたな。
 リディが着たらコンテスト優勝間違いなしだね(何の?)……いや、ライバルはミーナちゃんかな(だから何の?)
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

拝啓、愛しの侯爵様~行き遅れ令嬢ですが、運命の人は案外近くにいたようです~

藤原ライラ
ファンタジー
心を奪われた手紙の先には、運命の人が待っていた――  子爵令嬢のキャロラインは、両親を早くに亡くし、年の離れた弟の面倒を見ているうちにすっかり婚期を逃しつつあった。夜会でも誰からも相手にされない彼女は、新しい出会いを求めて文通を始めることに。届いた美しい字で洗練された内容の手紙に、相手はきっとうんと年上の素敵なおじ様のはずだとキャロラインは予想する。  彼とのやり取りにときめく毎日だがそれに難癖をつける者がいた。幼馴染で侯爵家の嫡男、クリストファーである。 「理想の相手なんかに巡り合えるわけないだろう。現実を見た方がいい」  四つ年下の彼はいつも辛辣で彼女には冷たい。  そんな時キャロラインは、夜会で想像した文通相手とそっくりな人物に出会ってしまう……。  文通相手の正体は一体誰なのか。そしてキャロラインの恋の行方は!? じれじれ両片思いです。 ※他サイトでも掲載しています。 イラスト:ひろ様

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

久しぶりに会った婚約者は「明日、婚約破棄するから」と私に言った

五珠 izumi
恋愛
「明日、婚約破棄するから」 8年もの婚約者、マリス王子にそう言われた私は泣き出しそうになるのを堪えてその場を後にした。

今、私は幸せなの。ほっといて

青葉めいこ
ファンタジー
王族特有の色彩を持たない無能な王子をサポートするために婚約した公爵令嬢の私。初対面から王子に悪態を吐かれていたので、いつか必ず婚約を破談にすると決意していた。 卒業式のパーティーで、ある告白(告発?)をし、望み通り婚約は破談となり修道女になった。 そんな私の元に、元婚約者やら弟やらが訪ねてくる。 「今、私は幸せなの。ほっといて」 小説家になろうにも投稿しています。

異世界召喚失敗から始まるぶらり旅〜自由気ままにしてたら大変なことになった〜

ei_sainome
ファンタジー
クラスメイト全員が異世界に召喚されてしまった! 謁見の間に通され、王様たちから我が国を救って欲しい云々言われるお約束が…始まらない。 教室内が光ったと思えば、気づけば地下に閉じ込められていて、そこには誰もいなかった。 勝手に召喚されたあげく、誰も事情を知らない。未知の世界で、自分たちの力だけでどうやって生きていけというのか。 元の世界に帰るための方法を探し求めて各地を放浪する旅に出るが、似たように見えて全く異なる生態や人の価値観と文化の差に苦悩する。 力を持っていても順応できるかは話が別だった。 クラスメイトたちにはそれぞれ抱える内面や事情もあり…新たな世界で心身共に表面化していく。 ※ご注意※ 初投稿、試作、マイペース進行となります。 作品名は今後改題する可能性があります。 世界観だけプロットがあり、話の方向性はその場で決まります。 旅に出るまで(序章)がすごく長いです。 他サイトでも同作を投稿しています。 更新頻度は1〜3日程度を目標にしています。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

転生悪役令嬢に仕立て上げられた幸運の女神様は家門から勘当されたので、自由に生きるため、もう、ほっといてください。今更戻ってこいは遅いです

青の雀
ファンタジー
公爵令嬢ステファニー・エストロゲンは、学園の卒業パーティで第2王子のマリオットから突然、婚約破棄を告げられる それも事実ではない男爵令嬢のリリアーヌ嬢を苛めたという冤罪を掛けられ、問答無用でマリオットから殴り飛ばされ意識を失ってしまう そのショックで、ステファニーは前世社畜OL だった記憶を思い出し、日本料理を提供するファミリーレストランを開業することを思いつく 公爵令嬢として、持ち出せる宝石をなぜか物心ついたときには、すでに貯めていて、それを原資として開業するつもりでいる この国では婚約破棄された令嬢は、キズモノとして扱われることから、なんとか自立しようと修道院回避のために幼いときから貯金していたみたいだった 足取り重く公爵邸に帰ったステファニーに待ち構えていたのが、父からの勘当宣告で…… エストロゲン家では、昔から異能をもって生まれてくるということを当然としている家柄で、異能を持たないステファニーは、前から肩身の狭い思いをしていた 修道院へ行くか、勘当を甘んじて受け入れるか、二者択一を迫られたステファニーは翌早朝にこっそり、家を出た ステファニー自身は忘れているが、実は女神の化身で何代前の過去に人間との恋でいさかいがあり、無念が残っていたので、神界に帰らず、人間界の中で転生を繰り返すうちに、自分自身が女神であるということを忘れている エストロゲン家の人々は、ステファニーの恩恵を受け異能を覚醒したということを知らない ステファニーを追い出したことにより、次々に異能が消えていく…… 4/20ようやく誤字チェックが完了しました もしまだ、何かお気づきの点がありましたら、ご報告お待ち申し上げておりますm(_)m いったん終了します 思いがけずに長くなってしまいましたので、各単元ごとはショートショートなのですが(笑) 平民女性に転生して、下剋上をするという話も面白いかなぁと 気が向いたら書きますね

私は女神じゃありません!!〜この世界の美的感覚はおかしい〜

朝比奈
恋愛
年齢=彼氏いない歴な平凡かつ地味顔な私はある日突然美的感覚がおかしい異世界にトリップしてしまったようでして・・・。 (この世界で私はめっちゃ美人ってどゆこと??) これは主人公が美的感覚が違う世界で醜い男(私にとってイケメン)に恋に落ちる物語。 所々、意味が違うのに使っちゃってる言葉とかあれば教えて下さると幸いです。 暇つぶしにでも呼んでくれると嬉しいです。 ※休載中 (4月5日前後から投稿再開予定です)

処理中です...