異世界トリップしたら女神(見習い)でしたが一般人として自由に生きていこうと思います

瑞多美音

文字の大きさ
上 下
13 / 120
第1章

13.女神見習い、初めての買い物(4)

しおりを挟む
 

 雑貨店で残りの必需品がすべて揃ったのでのんびり教会に向かいつつ、人気のない路地で荷物を素早くストレージにしまう。

 「ふぅ……仕分けは後でゆっくりやろうかな」

 ついでに道端にあった拳ほどの石を拾い、先ほどとは別の革袋に入れて腰からぶら下げる。
 万が一の時に振り回すだけで武器になるだろうし、ないよりはマシだと思う。
 ほら……一応外套のフードで顔を隠すけど、美少女だし(ナルシストとかじゃなく女神仕様だからね?)
 

 「あれだけたくさんあった荷物が全部入って重さも関係ないんだから、ストレージってつくづく便利だよなぁ。お金も意外と余ったし、失くさないように色んなところに仕舞っておこう……」

 こちらの世界に来てから初めての買い物を終え、女神だとバレずにやり遂げた満足感に浸っていると……ふいに隣に誰かの気配を感じた。

 「……アルさん」

 教会ではさり気なくほかの街の様子を聞いたつもりだったんだけど……アルさんにはバレバレだったのかぁ。

 「わしのせいかのぉ……エナちゃんはランヴィを目指すのであろう?」

 様子がおかしいことに気づいてわざわざ会いに来てくれたのかな……なんかアルさんが責任感じてるみたいだけど、それは違う。

 「違いますっ、アルさんのせいなんかじゃありません。ただ、私には荷が重かった。それだけのことです……それに、アルさんがいてくれたから私が突然いなくなっても教会へ来る皆さんが困るような事態にならなくてよかった。とむしろ感謝しているくらいですよっ」
 「そうは言うけどのぉ……そうじゃ! エナちゃんにはあれをやろう。きっと、いつか役に立つはずじゃ。あとで確認してみるとよいぞ」
 「……わかりました」
 「ふむ、ランヴィの街のあ奴は確か……3月後あたりに降臨するはずじゃ……気のいいやつだから安心せい。降臨したときにでも会いに行けば問題なかろう……ついでに天界に帰ったら話を通しておいてやろう。とにかく困ったらいつでも連絡してくるんじゃぞ? まあ、困らんでもこまめに連絡してくれると嬉しいのぉ。連絡がなかったら心配で会いに行ってしまうかもの……」

 ふぉっふぉっふぉっ……と冗談なんだか本気なんだかわからない言葉とともにいつの間にかアルさんは消えていた。

 「そっか。これから目指す街にも神様は降臨するんだ……」

 どんな神様なんだろう。気のいい神様ってことはやっぱりアルさんみたいな感じなのかな? まぁ、問題がないならいいか……そうそう会うことはないだろうから。

 さっきのアルさんがくれたというものが気になったのでを調べてみた。

-----

ー履歴ー

 【精霊魔法】が使用可能になりました。
 【大地神アルネルディの加護】が授けられました。

-----

 精霊魔法がスキルに加わっていましたが使いこなせるか不明です。
 どうやら、精霊と契約したり力を貸してもらえるみたい。ま、おいおいゆっくり使ってみようかな? 

 さらには知らないうちに服や持ち物にまで加護を授けてくれるなんて……アルさん、至れり尽くせりで優しすぎます。
 人の連絡を無視するどこかの駄女神と大違いなんですが……

 「旅の道中もどうせ歩くだけで暇だし、魔法の練習も続けてみようかな……」

 街を移ってからはどうしようか……
 回復魔法の使い手は少ないようなのでそれを使えば職に困ることはなさそうだけど……そこから万が一でも身元がばれるという危険を冒したくはないし、しばらくは直接的に人の生死を自分で背負いたくない。
 だから仕事にはできない……いや、したくない。

 一般人としてのんびり生きていくためには何が最適かな……うーん。

 「やっぱりポーションだよね…… ポーションを作ったことはないけど、教会でもポーション職人がいるって聞いたことあるから、案外仕事にできるかもしれないし」

 そうだっ、女神の知識とスキルをフル活用しつつ、ポーション作って地道に生活基盤を整えよう。かわいいエプロンもあるし。
 それで、のんびり自由に暮らしてみようかな。

 「女神見習いならポーションも作れる……はず? 『女神の調合』ってスキルがあるくらいだから平気だよ、きっと……多分」



◆ ◆ ◆ 

【ステータス】 
 種族:女神(見習い)/人族
 氏名:エナ・ハヅキ
 状態:通常
 体力:250/250
 魔力:55000/55000
 運:77 (+2)

 スキル 
 ・火属性魔法レベル2
 ・水属性魔法レベル2
 ・風属性魔法レベル2
 ・地属性魔法レベル2
 ・光属性魔法レベル2
 ・回復魔法レベル3
 ・状態異常無効レベル1
 ・接触防衛レベル1 
 ・火属性耐性レベル1 
 ・水属性耐性レベル1
 ・風属性耐性レベル1
 ・地属性耐性レベル1
 ・光属性耐性レベル2
 ・闇属性耐性レベル2
 ・体力自動回復(中)
 ・魔力自動回復(大)
 ・成長経験値上昇(大)
 ・精霊魔法 レベル1

 特殊スキル
 ・女神の祝福レベル3
 ・女神の浄化レベル2
 ・女神の調合レベル1
 ・女神の心眼レベル2 
 ・女神の聖域レベル2
 ・言語翻訳
 ・感謝ポイント〈1986ポイント〉累計〈4341ポイント〉

 ー称号ー
 巻き込まれし者・当選者・女神見習い

 ー加護ー
 慈悲の女神フィラの加護・慈悲の女神の部下コルドの憐憫・大地神アルネルディの加護


 その他機能【交信】【履歴】

◆ ◆ ◆

【ストレージ】〔16/100〕

 一覧
 〈水 99リットル〉
 〈じゃがいも 50個〉
 〈玉ねぎ 50個〉
 〈パン 25個〉
 〈りんご 10個〉
 〈塩 5キロ〉
 〈油 2リットル〉
 〈仕分け用袋(大):干し肉 9袋〉
 〈仕分け用袋(大):ナッツ 9袋〉
 〈仕分け用袋(中):ランプ、携行食2日分〉
 〈野営セット: テント、毛布、水袋、火打石、ロープ、ハイポーション初級1本、マナポーション初級1本、簡易コンロ、鍋、食器〉
 〈仕分け用袋(巾着):シュービッツ、スポンジ〉
 〈仕分け用袋(大):寝間着 上下、エプロン、市民の服一式、下着セット×2〉
 〈生地 5メートル〉
 〈仕分け用袋(巾着):銀貨3枚、金貨1枚〉
 〈仕分け用袋(大):大11、中8、巾着3、革袋3〉


◆ ◆ ◆














しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜

AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。 そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。 さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。 しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。 それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。 だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。 そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。 ※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。

契約結婚のはずが、気づけば王族すら跪いていました

言諮 アイ
ファンタジー
――名ばかりの妻のはずだった。 貧乏貴族の娘であるリリアは、家の借金を返すため、冷酷と名高い辺境伯アレクシスと契約結婚を結ぶことに。 「ただの形式だけの結婚だ。お互い干渉せず、適当にやってくれ」 それが彼の第一声だった。愛の欠片もない契約。そう、リリアはただの「飾り」のはずだった。 だが、彼女には誰もが知らぬ “ある力” があった。 それは、神代より伝わる失われた魔法【王威の審判】。 それは“本来、王にのみ宿る力”であり、王族すら彼女の前に跪く絶対的な力――。 気づけばリリアは貴族社会を塗り替え、辺境伯すら翻弄し、王すら頭を垂れる存在へ。 「これは……一体どういうことだ?」 「さあ? ただの契約結婚のはずでしたけど?」 いつしか契約は意味を失い、冷酷な辺境伯は彼女を「真の妻」として求め始める。 ――これは、一人の少女が世界を変え、気づけばすべてを手に入れていた物語。

久しぶりに会った婚約者は「明日、婚約破棄するから」と私に言った

五珠 izumi
恋愛
「明日、婚約破棄するから」 8年もの婚約者、マリス王子にそう言われた私は泣き出しそうになるのを堪えてその場を後にした。

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

強制力がなくなった世界に残されたものは

りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った 令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達 世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか その世界を狂わせたものは

異世界召喚失敗から始まるぶらり旅〜自由気ままにしてたら大変なことになった〜

ei_sainome
ファンタジー
クラスメイト全員が異世界に召喚されてしまった! 謁見の間に通され、王様たちから我が国を救って欲しい云々言われるお約束が…始まらない。 教室内が光ったと思えば、気づけば地下に閉じ込められていて、そこには誰もいなかった。 勝手に召喚されたあげく、誰も事情を知らない。未知の世界で、自分たちの力だけでどうやって生きていけというのか。 元の世界に帰るための方法を探し求めて各地を放浪する旅に出るが、似たように見えて全く異なる生態や人の価値観と文化の差に苦悩する。 力を持っていても順応できるかは話が別だった。 クラスメイトたちにはそれぞれ抱える内面や事情もあり…新たな世界で心身共に表面化していく。 ※ご注意※ 初投稿、試作、マイペース進行となります。 作品名は今後改題する可能性があります。 世界観だけプロットがあり、話の方向性はその場で決まります。 旅に出るまで(序章)がすごく長いです。 他サイトでも同作を投稿しています。 更新頻度は1〜3日程度を目標にしています。

またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。

朝山みどり
ファンタジー
ミシガン伯爵家のリリーは、いつも後回しにされていた。転んで怪我をしても、熱を出しても誰もなにもしてくれない。わたしは家族じゃないんだとリリーは思っていた。 婚約者こそいるけど、相手も自分と同じ境遇の侯爵家の二男。だから、リリーは彼と家族を作りたいと願っていた。 だけど、彼は妹のアナベルとの結婚を望み、婚約は解消された。 リリーは失望に負けずに自身の才能を武器に道を切り開いて行った。 「なろう」「カクヨム」に投稿しています。

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~

大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」  唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。  そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。 「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」 「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」  一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。  これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。 ※小説家になろう様でも連載しております。 2021/02/12日、完結しました。

処理中です...