77 / 120
第6章
77.女神見習い、解呪ポーションを知る
しおりを挟むまた1人街の家に住人が増えたことを報告し、ユリスさんの店舗や料理のことも伝えた。
若干、ブランに呆れられてしまったのも少し前の話で、その後リディ、ブランとユリスさんは無事に対面を済ませ、リディは時々料理を習うことにしたらしい。
ブランもユリスさんの料理を気に入り、リディに料理を教えることを認めた。ただし、危険なことはさせないと約束していた。
うん、その約束の時ユリスさんの腕に傷ができてたけど、スルーしたよ。だって何か言ったらあの傷、私の腕にもできちゃうもんっ。
ユリスさんも店舗を開店できるようになったらしく……あ、ちなみに私の名前で商業ギルドに店舗の届けを出したよ。これ出しておくとなにかと便利なんだって……一応店主は私になっているけど、ユリスさんが買い取る時にはそれも書き換えられるらしい。店舗の空いてるスペースにポーションとブランの羽をいくつか置かせてもらった。
ユリスさんは境遇もあり、生活に使うものから武器、それにアクセサリーまでひと通り作れるらしいので色々と頼みがいがありそうだ。ひとまず欲しいのは農作業に使えるものかなぁ……
美味しい料理が毎日食べられるとブランもご機嫌だ……いや、2日にいっぺんはお持ち帰りだったでしょーが……
◇ ◇ ◇
ここ数日で女神シリーズがレベル4になったことをきっかけにレベル上げに励んだ。
レベル4になると色々とできることが広がるようだ。
女神の聖域がレベル4でストレージの容量が100→150にアップしたり、心眼もレベルアップで今まで不明だったものも少しだけわかるようになった。
例えば……
〈????の像〉は相変わらず不明なままだったけど〈???石〉は空の魔石だと判明。魔石は魔核の上位互換のものと考えればいいみたい。魔核には属性がある……例えばコンロに使うのは火属性とか……魔石にはそれがなくどの属性も使えるらしい。へー。
空の魔石には魔力を込めることができるみたい……ただ、いっぱいにするには変容のネックレスの比じゃなく魔力が必要みたいだけど……コツコツ貯めておこう、何かに使えるかもしれないし。
他もレベル上げすべく頑張っているけど祝福は変わらずレベル3、浄化と調合はレベル2から3になっていた。これによって感謝ポイントのボーナスポイントがかなり貰えたのでまたなにかと交換したいと思う。
午前中に採取した薬草でポーションを作っていると……
------
【交信】
《大地神 アルネルディ》から交信されています。
[はい(許可)] [いいえ(拒否)]
------
「あれ、アルさん……まだ、降臨の時期じゃないよね。もう少し先だったと思うけど……」
とにかく無視はできないので、一旦ポーション作りの手を止め[はい]を選択する。
『エナちゃん、元気かの?』
「アルさん……はい、元気ですけど……今日はどうして?」
『なに、その後リディちゃんはどうしてるかと思っての……それにアレは試してみたかの?』
「アレってなんのことでしょうか?」
『ほれ、わしが帰るときにいろいろ実験してみるとよいって渡した素材のことじゃ!』
あー、そんな物もありましたね……ストレージに放り込んだまま放置してました。
『うむ。その様子ではやはり試していないんじゃな? アレらを上手く組み合わせると解呪ポーションができるんじゃ。リディちゃんに効くかどうかはわからぬが……』
「えっ、そうなんですかっ」
『いやー、わしもレシピ忘れてしもうてのぉ……歳かのぉ。とはいえ、地上には伝わっていないものもいくつかあるはずじゃから自分で頑張ってみておくれ。それじゃあまた、近々会いに行くでの』
「ありがとうございます」
------
【交信】
《大地神 アルネルディ》との交信を終了しました。
------
と言われてしまったので実験。
いや、だったら最初から教えて欲しかった。解呪ポーション。
うん、実はもらってすぐ心眼したんだけどほとんどが〈???〉だったんだよね。これ……レベルが4になってから初めてわかった情報だった……アルさんそれを見てたのかな。
「ただの石かと思えば結晶だったんだ……」
どうやら、アルさんにもらった石は魔結晶というもののようだ。
魔結晶は魔石よりも年数が経過していないもので、さらに数十年経つと魔石になると考えられているものみたい。
魔結晶の時点では属性が分かれていてそれが解呪に重要な役目を果たすらしい。ふんふん。
「なるほど……早速作ってみよう」
解呪ポーションの存在を知り、早速色々試す。
この実験でわかったことだがポーションを作るときに浄化と加護を授けた魔核を混ぜると効果があがるようだ。調合を使うと魔結晶と同じく粒子になり溶けた。
アルさんの置き土産をほとんど使い切りいろいろと組み合わせひとつだけ出来上がったポーション。ほかはただのまずい水になってしまった……リディに飲んでもらい、その度に心眼で確かめると効果があった。
「おおー、できた!しかもリディの数値が500も減った!」
「ん、すごい」
「あと2本くらいしか材料ないけど作っておこう」
それからわかったことは解呪ポーションは1日に何本飲んでも効果があるということだった。そして、レシピのないポーションは特殊ポーション扱いらしく、これも特許にできるらしい……へー。今度、登録しておこうかな。
「ん、全部飲んだ……」
「1日でなくなっちゃったけど、呪いが1500も減ったのはすごいよね。私の浄化の15日分だよ!」
「ん、でもエナの浄化もすごいよ?」
「リディ!なんていい子っ……でもこの魔結晶っていうのがネックだよね……しかも、黄色じゃないとダメみたいだし。それ以外はなんとなく集まりそうなんだけど……」
「ん」
出来上がった解呪ポーションの材料は……
-----
〈解呪ポーションの材料〉
・神の加護水
・魔結晶ひとかけら(黄色のみ)
・体力草(品質:良以上)
・魔力草(品質:良以上)
・ガノンの木の根 1本
-----
神の加護水は私の加護で大丈夫だったからいいとして、体力草と魔力草は品質:可ではダメだったから品質:良以上。これは畑で採取できる。
ガノンの木の根1本……これもなんとか手に入りそう。頑張って森の中を掘ればいい。
「うーん、魔結晶か……」
どこかに落ちてないかな……これ、また探しに行かないとなぁ。
アルさんもっとたくさん持ってないかなぁ……はぁ。
「あては全くないんだけどねー……ん?どうした、ブラン?」
ブランがやたら私の周りを飛んでいる……探し出せとでも言ってるのかな?
「ん……外に雪が降ってるって」
「え、ここって雪降るのっ?」
慌てて外に出るとあら、不思議……結界の外は雪が降っているのに、結界の中はいつもと変わらぬ気候だ。
「あれ、そういえば今まで雨とか降ったことあったっけ?」
「ん、今みたいに外だけ降ってたよ」
「へー、そうなんだ」
どうやら、結界内はある程度同じ環境が保たれていたみたい。今、初めて知ったけどね。
「あ、でも雪かきしなくていいのは便利だなぁ……」
0
お気に入りに追加
308
あなたにおすすめの小説

拝啓、愛しの侯爵様~行き遅れ令嬢ですが、運命の人は案外近くにいたようです~
藤原ライラ
ファンタジー
心を奪われた手紙の先には、運命の人が待っていた――
子爵令嬢のキャロラインは、両親を早くに亡くし、年の離れた弟の面倒を見ているうちにすっかり婚期を逃しつつあった。夜会でも誰からも相手にされない彼女は、新しい出会いを求めて文通を始めることに。届いた美しい字で洗練された内容の手紙に、相手はきっとうんと年上の素敵なおじ様のはずだとキャロラインは予想する。
彼とのやり取りにときめく毎日だがそれに難癖をつける者がいた。幼馴染で侯爵家の嫡男、クリストファーである。
「理想の相手なんかに巡り合えるわけないだろう。現実を見た方がいい」
四つ年下の彼はいつも辛辣で彼女には冷たい。
そんな時キャロラインは、夜会で想像した文通相手とそっくりな人物に出会ってしまう……。
文通相手の正体は一体誰なのか。そしてキャロラインの恋の行方は!?
じれじれ両片思いです。
※他サイトでも掲載しています。
イラスト:ひろ様(https://xfolio.jp/portfolio/hiro_foxtail)

いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

異世界召喚失敗から始まるぶらり旅〜自由気ままにしてたら大変なことになった〜
ei_sainome
ファンタジー
クラスメイト全員が異世界に召喚されてしまった!
謁見の間に通され、王様たちから我が国を救って欲しい云々言われるお約束が…始まらない。
教室内が光ったと思えば、気づけば地下に閉じ込められていて、そこには誰もいなかった。
勝手に召喚されたあげく、誰も事情を知らない。未知の世界で、自分たちの力だけでどうやって生きていけというのか。
元の世界に帰るための方法を探し求めて各地を放浪する旅に出るが、似たように見えて全く異なる生態や人の価値観と文化の差に苦悩する。
力を持っていても順応できるかは話が別だった。
クラスメイトたちにはそれぞれ抱える内面や事情もあり…新たな世界で心身共に表面化していく。
※ご注意※
初投稿、試作、マイペース進行となります。
作品名は今後改題する可能性があります。
世界観だけプロットがあり、話の方向性はその場で決まります。
旅に出るまで(序章)がすごく長いです。
他サイトでも同作を投稿しています。
更新頻度は1〜3日程度を目標にしています。
伯爵令嬢の秘密の知識
シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のルナリス伯爵家にミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

ボルカノダンジョンへようこそ!
ひらえす
ファンタジー
王都で冒険者をやっていたアレンダンは、諸々の事情でソロ冒険者として再出発する事にした。
ギルドから紹介されたのは、王都から遠く離れた田舎町、火山の町ボルカノ。3年前に発見されたボルカノダンジョンの先行調査およびその他の雑務etc…報酬が異様に高いことを怪しんだアレンダンだったが、一刻も早く王都を離れたかった彼はそれを承諾。
南の果ての火山の町、ボルカノでの生活が始まった……!
※小説家になろう様、アルファポリス様、カクヨム様でほぼ同時投稿しています。
※残酷描写は保険です。
※誤字脱字多いと思います。教えてくださると助かります。
※相変わらずのストックなしの不定期更新ですが、頑張りますのでよろしくお願いします。
私公爵令嬢としてこの世界を楽しみます!
神桜
ファンタジー
小学生の子を事故から救った華倉愛里。本当は死ぬ予定じゃなかった華倉愛里を神が転生させて、愛し子にし家族や精霊、神に愛されて楽しく過ごす話!
『私公爵令嬢としてこの世界を楽しみます!』の番外編を『私公爵令嬢としてこの世界を楽しみます!番外編』においています!良かったら見てください!
投稿は1日おきか、毎日更新です。不規則です!宜しくお願いします!

プラス的 異世界の過ごし方
seo
ファンタジー
日本で普通に働いていたわたしは、気がつくと異世界のもうすぐ5歳の幼女だった。田舎の山小屋みたいなところに引っ越してきた。そこがおさめる領地らしい。伯爵令嬢らしいのだが、わたしの多少の知識で知る貴族とはかなり違う。あれ、ひょっとして、うちって貧乏なの? まあ、家族が仲良しみたいだし、楽しければいっか。
呑気で細かいことは気にしない、めんどくさがりズボラ女子が、神様から授けられるギフト「+」に助けられながら、楽しんで生活していきます。
乙女ゲーの脇役家族ということには気づかずに……。
#不定期更新 #物語の進み具合のんびり
#カクヨムさんでも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる