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第4章
46.女神見習い、料理に挑戦する
しおりを挟むリディとブランと暮らしはじめて数日……
毎朝、『女神の浄化』をリディにかけることが日課に加わった。
今では畑の水やりだけでなくポーションの瓶詰めを手伝ってもらってる……というのも何も言わないとずっと畑につきっきりで世話をしてるんだよ……まだまだ暑いのに熱中症になったら危ない。
だからもう少しリディの用事を増やしてみようかと……ポーションの瓶詰めならそばで様子もわかるし。
今のところ瘴気が出ることもほとんどなくて少し安心……まぁそんなしょっちゅう出てたら数値が増えちゃうから困るんだけどさ。
リディと少しずつ距離が縮まっていると……思いたいけど……まだまだ、気を使われているのか、警戒してるのか……何をするにもこちらを伺って恐る恐るって感じ。
◇ ◇ ◇
さて、今日は今まで避けてきた料理に挑戦したいと思います!
なぜかって……同じ味に飽きてきたからです。
いつも食べているのは……味の薄いor濃いスープ、果物をカットしたもの、買ってきた肉を焼いたもの(時々生焼けor丸焦げ)と生野菜と買ってきたパン。これに時々黄金の羊亭のお持ち帰りや屋台のスープや串焼き。
ああ、アルさんのお持ち帰りが懐かしい……どこのお店か知らないけどすっごい美味しい料理だった。
料理に挑戦するのはリディに栄養たくさんのご飯を食べてほしいのと、少しはいいところを見せたいという意味合いもあります。
まず、簡単にできるという野菜炒めに挑戦しようと思います。
街で買った野菜や畑で採れた野菜を1口サイズに切り、炒めるだけです……おかしいな……
野菜を切るときに指を切りそうになる以外はなんの問題も起こらなかったはずなのに……
「……なんで消し炭ができるわけ?」
いやいや、まさかね?……たまたまだよね? 知らないうちに、火加減とか間違えちゃったんだよ、うん。
次は気分を変えて、いつも作っているスープにアレンジを加えてみようと思います。スープだけは安定して作れるようになったし最近は味の濃いものより薄いものを作る確率が上がってきた。薄いのは後から足せるから私の中では成功なんだよ。
今回は味の薄いものを使用したいと思います。
少し味を変えたいので森でとれたキノコや木の実をぶち込みグツグツと煮ていきましょう……あれっ、おかしいな……
「な、なんで心眼で毒判定がでるのかな……」
ブランからすごく鋭い視線を感じる……なんかこんなもんリディに食わせる気なのか的な……
その後も煮込み料理に挑戦すると焦げつき、きのこを炒めれば麻痺判定になり……美味しくて凝った料理は……到底無理だった。ほらそこ! 全然凝ってないとか言わないで……ぐすん。
その代わり茹でるとか、油で揚げるとかは実践できた!
じゃがいもを茹でて塩かけて食べたり……うん、ほんとは蒸したかったけどやり方わかんないし、レンジもないから茹でた。レンチンしたら簡単で美味しいのに……
じゃがいものチップスもおいしかった……半分くらい丸焦げになったけど。薄くスライスしようとして指を切りかけたけど。途中でこれフライドポテト作れるって気づいたよね……薄く切る必要がないしお腹に溜まるかから最初からこれにすればよかったよ。
チップスやフライドポテトは油が跳ねて火傷しそうになったけど、途中で女神の聖域を使うことを思いついて事なきを得た。
うん、じゃがいもしか使ってないよね……
なんか、料理に挑戦するたびに食材がもったいないことになってるな……もう少し考えないと。
そして、リディにいいところなど見せられなかった……ぐすん。
リディいわく、ブランはそんなものリディに食わせるのかって終始ブツブツ言ってたみたい……やっぱあの視線はそうだったのね。その割にはブランが上手くできたチップス、いちばん食べてたけど。え、毒がないか確かめた? はいはい。
私に作れるのはいつものスープと焼いた肉とじゃがいも料理だけのようです。え? いい加減懲りろって?……はい、すいませんでした。
「ごめん、リディ……ご飯はやっぱり期待しないで」
「ん、大丈夫……今までに比べたら美味しい」
それはそれで問題があるな……んー、栄養かぁ……
「……あれ、ポーション飲んでもらえばよかったんじゃ」
こうしてあっけなく解決策が見つかり……挫折。料理の道はあきらめた。
その後しばらく落ち込んだのはいうまでもない……はぁ。
「これからはポーションを食事のときに飲んでね?」
「……でも……」
「大丈夫! ギルドにも売ってるやつだから……ほら、見てブランも大賛成って言ってるでしょ?」
言葉のわからない私から見ても、腹を壊しそうな料理よりポーションを飲めって言ってそうな感じ……
「……ん、わかった」
ほんとはギルドに持ち込むのを躊躇していた(マルガスさんが呆れそうで)品質:優だけど……品質が良い分には問題ないよね?
食事毎にお茶がわりに飲んでもらうと数日でリディがいくらか健康的な顔色になり、ふっくらしてきた気がする……ポーションすげー。
「あ、そうだ。明日、街にポーション売りに行ったり、リディの服を買ってこようと思ってるから……ブランとお留守番よろしくね?」
ちょっと間が空いたからカーラさん心配してそうだし……いい加減リディの服を買ってこないと動きにくそうだし……靴も破れたの履き続けてるし……
「……ん、何日行くの?」
「え、夕方には帰ってくるよ?」
「……?だって街まで遠い……」
あー、そっか……瞬間移動のこと言ってないからそうなるかぁ……どうしようかな。瞬間移動を教えるべきか近道があると嘘をつくか……
「……ん、いいよ。今は教えてくれなくて」
「じゃあ、今度教えるね?」
もう少しでレベル上がりそうだからそうしたら実践してみせよう。その頃までにもう少し仲良くなっておきたいな……いつか、リディの笑顔が見れるといいな……
「……ん、わかった」
翌日……
くれぐれも危ないことをしないように、畑の世話をやり過ぎずブランが止めたら部屋に戻ることなど言い含める。
「……ん、平気」
「なるべく早く帰るからリディ、ブラン留守番よろしくね」
結界をもう1度チェックしてからリディとブランに手を振り出かける。お、リディ振り返してくれた!
家から少し離れたところまで歩いて移動しそこから瞬間移動した。
「まあ、ブランがリディを見ててくれると思うから心配は無さそう……」
黄金の羊亭でお持ち帰りをお願いしたら、オススメの服屋さんを聞かなきゃいけないんだけど……
「問題はどうやってミーナちゃんの今日は泊まるの? の誘惑をかわすかだよね……」
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