異世界トリップしたら女神(見習い)でしたが一般人として自由に生きていこうと思います

瑞多美音

文字の大きさ
上 下
46 / 120
第4章

46.女神見習い、料理に挑戦する

しおりを挟む
 
 リディとブランと暮らしはじめて数日……

 毎朝、『女神の浄化』をリディにかけることが日課に加わった。
 今では畑の水やりだけでなくポーションの瓶詰めを手伝ってもらってる……というのも何も言わないとずっと畑につきっきりで世話をしてるんだよ……まだまだ暑いのに熱中症になったら危ない。
 だからもう少しリディの用事を増やしてみようかと……ポーションの瓶詰めならそばで様子もわかるし。
 今のところ瘴気が出ることもほとんどなくて少し安心……まぁそんなしょっちゅう出てたら数値が増えちゃうから困るんだけどさ。
 
 リディと少しずつ距離が縮まっていると……思いたいけど……まだまだ、気を使われているのか、警戒してるのか……何をするにもこちらを伺って恐る恐るって感じ。


◇ ◇ ◇


 さて、今日は今まで避けてきた料理に挑戦したいと思います! 
 なぜかって……同じ味に飽きてきたからです。
 いつも食べているのは……味の薄いor濃いスープ、果物をカットしたもの、買ってきた肉を焼いたもの(時々生焼けor丸焦げ)と生野菜と買ってきたパン。これに時々黄金の羊亭のお持ち帰りや屋台のスープや串焼き。
 ああ、アルさんのお持ち帰りが懐かしい……どこのお店か知らないけどすっごい美味しい料理だった。

 料理に挑戦するのはリディに栄養たくさんのご飯を食べてほしいのと、少しはいいところを見せたいという意味合いもあります。
 まず、簡単にできるという野菜炒めに挑戦しようと思います。
 街で買った野菜や畑で採れた野菜を1口サイズに切り、炒めるだけです……おかしいな……
 野菜を切るときに指を切りそうになる以外はなんの問題も起こらなかったはずなのに……

 「……なんで消し炭ができるわけ?」

 いやいや、まさかね?……たまたまだよね? 知らないうちに、火加減とか間違えちゃったんだよ、うん。

 次は気分を変えて、いつも作っているスープにアレンジを加えてみようと思います。スープだけは安定して作れるようになったし最近は味の濃いものより薄いものを作る確率が上がってきた。薄いのは後から足せるから私の中では成功なんだよ。
 今回は味の薄いものを使用したいと思います。
 少し味を変えたいので森でとれたキノコや木の実をぶち込みグツグツと煮ていきましょう……あれっ、おかしいな……

 「な、なんで心眼で毒判定がでるのかな……」

 ブランからすごく鋭い視線を感じる……なんかこんなもんリディに食わせる気なのか的な……

 その後も煮込み料理に挑戦すると焦げつき、きのこを炒めれば麻痺判定になり……美味しくて凝った料理は……到底無理だった。ほらそこ! 全然凝ってないとか言わないで……ぐすん。

 その代わり茹でるとか、油で揚げるとかは実践できた!
 じゃがいもを茹でて塩かけて食べたり……うん、ほんとは蒸したかったけどやり方わかんないし、レンジもないから茹でた。レンチンしたら簡単で美味しいのに……
 じゃがいものチップスもおいしかった……半分くらい丸焦げになったけど。薄くスライスしようとして指を切りかけたけど。途中でこれフライドポテト作れるって気づいたよね……薄く切る必要がないしお腹に溜まるかから最初からこれにすればよかったよ。
 チップスやフライドポテトは油が跳ねて火傷しそうになったけど、途中で女神の聖域を使うことを思いついて事なきを得た。
 うん、じゃがいもしか使ってないよね……

 なんか、料理に挑戦するたびに食材がもったいないことになってるな……もう少し考えないと。
 そして、リディにいいところなど見せられなかった……ぐすん。
 リディいわく、ブランはそんなものリディに食わせるのかって終始ブツブツ言ってたみたい……やっぱあの視線はそうだったのね。その割にはブランが上手くできたチップス、いちばん食べてたけど。え、毒がないか確かめた? はいはい。

 私に作れるのはいつものスープと焼いた肉とじゃがいも料理だけのようです。え? いい加減懲りろって?……はい、すいませんでした。

 「ごめん、リディ……ご飯はやっぱり期待しないで」
 「ん、大丈夫……今までに比べたら美味しい」

 それはそれで問題があるな……んー、栄養かぁ……

 「……あれ、ポーション飲んでもらえばよかったんじゃ」

 こうしてあっけなく解決策が見つかり……挫折。料理の道はあきらめた。
 その後しばらく落ち込んだのはいうまでもない……はぁ。


 「これからはポーションを食事のときに飲んでね?」
 「……でも……」
 「大丈夫! ギルドにも売ってるやつだから……ほら、見てブランも大賛成って言ってるでしょ?」

 言葉のわからない私から見ても、腹を壊しそうな料理よりポーションを飲めって言ってそうな感じ……

 「……ん、わかった」

 ほんとはギルドに持ち込むのを躊躇していた(マルガスさんが呆れそうで)品質:優だけど……品質が良い分には問題ないよね?
 食事毎にお茶がわりに飲んでもらうと数日でリディがいくらか健康的な顔色になり、ふっくらしてきた気がする……ポーションすげー。

 「あ、そうだ。明日、街にポーション売りに行ったり、リディの服を買ってこようと思ってるから……ブランとお留守番よろしくね?」

 ちょっと間が空いたからカーラさん心配してそうだし……いい加減リディの服を買ってこないと動きにくそうだし……靴も破れたの履き続けてるし……

 「……ん、何日行くの?」
 「え、夕方には帰ってくるよ?」
 「……?だって街まで遠い……」

 あー、そっか……瞬間移動のこと言ってないからそうなるかぁ……どうしようかな。瞬間移動を教えるべきか近道があると嘘をつくか……

 「……ん、いいよ。今は教えてくれなくて」 
 「じゃあ、今度教えるね?」

 もう少しでレベル上がりそうだからそうしたら実践してみせよう。その頃までにもう少し仲良くなっておきたいな……いつか、リディの笑顔が見れるといいな……

 「……ん、わかった」
 


 翌日……
 くれぐれも危ないことをしないように、畑の世話をやり過ぎずブランが止めたら部屋に戻ることなど言い含める。

 「……ん、平気」
 「なるべく早く帰るからリディ、ブラン留守番よろしくね」
 

 結界をもう1度チェックしてからリディとブランに手を振り出かける。お、リディ振り返してくれた!
 家から少し離れたところまで歩いて移動しそこから瞬間移動した。

 「まあ、ブランがリディを見ててくれると思うから心配は無さそう……」

 黄金の羊亭でお持ち帰りをお願いしたら、オススメの服屋さんを聞かなきゃいけないんだけど……

 「問題はどうやってミーナちゃんの今日は泊まるの? の誘惑をかわすかだよね……」

 
 

 
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜

AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。 そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。 さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。 しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。 それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。 だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。 そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。 ※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。

神に異世界へ転生させられたので……自由に生きていく

霜月 祈叶 (霜月藍)
ファンタジー
小説漫画アニメではお馴染みの神の失敗で死んだ。 だから異世界で自由に生きていこうと決めた鈴村茉莉。 どう足掻いても異世界のせいかテンプレ発生。ゴブリン、オーク……盗賊。 でも目立ちたくない。目指せフリーダムライフ!

久しぶりに会った婚約者は「明日、婚約破棄するから」と私に言った

五珠 izumi
恋愛
「明日、婚約破棄するから」 8年もの婚約者、マリス王子にそう言われた私は泣き出しそうになるのを堪えてその場を後にした。

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

強制力がなくなった世界に残されたものは

りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った 令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達 世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか その世界を狂わせたものは

異世界召喚失敗から始まるぶらり旅〜自由気ままにしてたら大変なことになった〜

ei_sainome
ファンタジー
クラスメイト全員が異世界に召喚されてしまった! 謁見の間に通され、王様たちから我が国を救って欲しい云々言われるお約束が…始まらない。 教室内が光ったと思えば、気づけば地下に閉じ込められていて、そこには誰もいなかった。 勝手に召喚されたあげく、誰も事情を知らない。未知の世界で、自分たちの力だけでどうやって生きていけというのか。 元の世界に帰るための方法を探し求めて各地を放浪する旅に出るが、似たように見えて全く異なる生態や人の価値観と文化の差に苦悩する。 力を持っていても順応できるかは話が別だった。 クラスメイトたちにはそれぞれ抱える内面や事情もあり…新たな世界で心身共に表面化していく。 ※ご注意※ 初投稿、試作、マイペース進行となります。 作品名は今後改題する可能性があります。 世界観だけプロットがあり、話の方向性はその場で決まります。 旅に出るまで(序章)がすごく長いです。 他サイトでも同作を投稿しています。 更新頻度は1〜3日程度を目標にしています。

またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。

朝山みどり
ファンタジー
ミシガン伯爵家のリリーは、いつも後回しにされていた。転んで怪我をしても、熱を出しても誰もなにもしてくれない。わたしは家族じゃないんだとリリーは思っていた。 婚約者こそいるけど、相手も自分と同じ境遇の侯爵家の二男。だから、リリーは彼と家族を作りたいと願っていた。 だけど、彼は妹のアナベルとの結婚を望み、婚約は解消された。 リリーは失望に負けずに自身の才能を武器に道を切り開いて行った。 「なろう」「カクヨム」に投稿しています。

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~

大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」  唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。  そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。 「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」 「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」  一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。  これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。 ※小説家になろう様でも連載しております。 2021/02/12日、完結しました。

処理中です...