40 / 120
第3章
40.女神見習い、畑を作る
しおりを挟むアルさんのおかげで快適な空間になり、今までよりポーション作りの効率も上がった。あ、瓶は少なくなったので感謝ポイントで交換したよ。
アルさんは日中は教会へ行っていて、こっちにいないのでいつもより家で過ごす時間が増えた……主にお風呂の時間となっている……久しぶりの湯船……さいっこう!
でも、家にいる時間が増えた分……ポーションとかあんまり売りに行けてないしミーナちゃんにも会えてない……
結界は自分以外通り抜け不可から害意の無いものの通り抜け可に変更した……というかアルさんが通れなくなるかと思って気を利かせてそうしたら……神様には関係なかった……そりゃそうか。そういえば最初からすんなり結界内に入ってたわ……
結果としては……自分以外通り抜け不可から害意の無いものに通り抜け可に変更したことで同じ大きさの結界でも微妙に消費魔力が減ってラッキー……まぁ、毎日張り直すことに変わりはないんだけど。
結界の効果が切れそうになったらすぐ内側に展開させて隙ができないよう注意すれば問題ない。
さて、アルさんが天界へ帰ったことにより、今まで目を逸らしてきた外をどうにかしようと思い……重い腰をあげた。
といっても、アルさんが滞在中からちょこちょこ頑張ってはいたんだよ?……アルさんは私の奮闘をのんびり眺めて応援とちょっとしたアドバイスをくれた……例えば
「あーためだ……やっぱ畑にしたい部分までは囲えないか……」
なんとか結界の範囲を広げられないかと試行錯誤していると
「のう、エナちゃんよ……結界は別にドーム型にしなくてもいいんじゃぞ」
なんですって……そうか、完全に盲点だった。
アルさんのアドバイスを元に四角くなるようなイメージで結果を展開する……と、家の裏側はギリギリ家を囲うくらい、表に家と同じくらいの広さがある長方形の結界が出来上がった。
これで、魔物の襲来や動物に畑が荒らされることに怯えず畑が作れる。わーい。
◇ ◇ ◇
とりあえず今まで株ごと採取しておいた薬草たちを植えたい……
「……まずは畑を作るとこからだよね」
農業セットの作業着に着替え、髪をまとめて準備万端。
現在、家の周辺は魔法の練習がてら切り開いた土地が広がっている。何度も地道に浄化をしているので多分大丈夫だと思う。
若干やりすぎた気がないでもないけど……ちなみに切り倒した木材は一角にまとめて置いてある。もちろん瞬間移動で運びましたとも……1本運ぶのがやっとだったけど。
そのおかげでちょっとした塀ができた……でも囲ってないから意味ない。
ギルドに持ち込もうにも木を加工できないので、マジックバッグの口よりも大きくて入らないから……ストレージ持ちってバレることを考えると決断できないな。
切り株は頑張って地魔法やスコップで掘り返し、これも瞬間移動で運んだ……
ほぼ魔法で頑張ったよ。だって、剣とか斧とか持ってないし……
家から見て左手に薬草畑、右手に普通の畑を作ることにした。水やりは魔法で賄う予定。魔法の練習にもなるからね。
まずは薬草畑から……はじめなのであまり大きくはしないつもり。後々広げることも視野に入れつつ作業。
2メートル四方の土が柔らかくなるようなイメージで地魔法を使う。イメージ次第でかなり自由に使えるとはいえ、結構魔力を消費した。そのおかげで土が柔らかくふわふわになった。
「おおー、すごい」
クワで畝を作り、株ごと採取しておいた体力草、魔力草など薬草を種類ごとに植える。
ファルシュ草のみ新たに区画を用意した……繁殖力が弱いらしいから一緒に植えて枯れたらショックだもんね……買取価格高いし。
栽培スキルのおかげか手際がいいような気がする。
反対側の畑も同じように作り、ランダムの種と苗も植えておく。
あ、ちなみに街で普通に野菜の種や苗も売ってたからナス、きゅうり、トマトをいくつか買って植えた。
「毎日の日課に水やりも入れないと……」
ランダムの種や苗は何が育つか楽しみ……美味しいものならいいな……
「あ、でも食用じゃない可能性もあるのか……」
◇ ◇ ◇
ランダムの種は通常より早く育つことがわかった。だってまだ昨日植えたばかりなのに苗の方にはすでに小さな実ができて……種の方は芽吹いていた。
「すごい……」
あと数日で収穫できるかもしれない……実ができるなら食用も期待できるかも……
それと並行して地図も埋めていくーー
湖の奥の方を探索するとそこにはオレンジやレモンの群生する場所を発見した!天然ものっぽいな……心眼でもオレンジだったので、オレンジをひとつもぎ取って《水》でさっと洗ってから食べてみる……
「美味しい……」
レモンも同じように食べてみると、レモンは流石にそのまま食べたら酸っぱいけど、レモンウォーターとかにしたらサッパリして良さそうなので、それぞれ果実をたくさん持ち帰ることにした。節約にもなるし……もちろん地点登録することも忘れない。
オレンジやレモンは確か種から育てられたはずだし……挑戦してみようかな?
そのままさらに地図を埋めていると……
「ん? ここも集落だったのかな?」
ほとんど建物の跡形もないけど一応見回っていく……
「あっ、これって……オリーブ?」
オリーブもどきの木を発見した。
へぇ、この世界にもオリーブあるんだ……あれ? もしかして前に食料店で買った油ってオリーブオイルだったり?
女神の心眼でオリーブだと出たので……成功するかわからないけど挿し木とかオリーブオイル作りとかやってみようかな。
確か、オリーブをよく洗ってから袋に入れてひたすら揉み続けて……水分オイル分が分離したら絞るんだっけ?
汁をそのまま置いておくとオイル部分と果汁部分に分離して……上の部分がオイルになるんだったような……
でも今は材料もないし、大変そうならギルドに持ち込んでみるのもアリかな……今のところストレージに入れておけば問題ないし。
挿し木用に大きめで元気の良さそうな枝を選んで持ち帰り、壊れて穴の空いたバケツにふかふかの土を入れて、枝が2、3センチ顔を出す程度に枝を埋め込みたっぷり水やりをする。
後は日当たりが良く、風通しの良い場所に置いておく……
ある程度大きくなったら地面に植え替えるらしい……いやー、女神の知識でこんなことまで分かるなんて、すごいね。
「ふっふっふっ……これが成功すれば一気に畑らしくなるね……時間はかなりかかるけど……」
これで地図も家の周囲5キロくらいかな?は埋まった。いやー、色々と発見もあったし……また、時間のあるときに地図埋めがてら散策しよーっと。
0
お気に入りに追加
308
あなたにおすすめの小説

拝啓、愛しの侯爵様~行き遅れ令嬢ですが、運命の人は案外近くにいたようです~
藤原ライラ
ファンタジー
心を奪われた手紙の先には、運命の人が待っていた――
子爵令嬢のキャロラインは、両親を早くに亡くし、年の離れた弟の面倒を見ているうちにすっかり婚期を逃しつつあった。夜会でも誰からも相手にされない彼女は、新しい出会いを求めて文通を始めることに。届いた美しい字で洗練された内容の手紙に、相手はきっとうんと年上の素敵なおじ様のはずだとキャロラインは予想する。
彼とのやり取りにときめく毎日だがそれに難癖をつける者がいた。幼馴染で侯爵家の嫡男、クリストファーである。
「理想の相手なんかに巡り合えるわけないだろう。現実を見た方がいい」
四つ年下の彼はいつも辛辣で彼女には冷たい。
そんな時キャロラインは、夜会で想像した文通相手とそっくりな人物に出会ってしまう……。
文通相手の正体は一体誰なのか。そしてキャロラインの恋の行方は!?
じれじれ両片思いです。
※他サイトでも掲載しています。
イラスト:ひろ様(https://xfolio.jp/portfolio/hiro_foxtail)

いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

異世界召喚失敗から始まるぶらり旅〜自由気ままにしてたら大変なことになった〜
ei_sainome
ファンタジー
クラスメイト全員が異世界に召喚されてしまった!
謁見の間に通され、王様たちから我が国を救って欲しい云々言われるお約束が…始まらない。
教室内が光ったと思えば、気づけば地下に閉じ込められていて、そこには誰もいなかった。
勝手に召喚されたあげく、誰も事情を知らない。未知の世界で、自分たちの力だけでどうやって生きていけというのか。
元の世界に帰るための方法を探し求めて各地を放浪する旅に出るが、似たように見えて全く異なる生態や人の価値観と文化の差に苦悩する。
力を持っていても順応できるかは話が別だった。
クラスメイトたちにはそれぞれ抱える内面や事情もあり…新たな世界で心身共に表面化していく。
※ご注意※
初投稿、試作、マイペース進行となります。
作品名は今後改題する可能性があります。
世界観だけプロットがあり、話の方向性はその場で決まります。
旅に出るまで(序章)がすごく長いです。
他サイトでも同作を投稿しています。
更新頻度は1〜3日程度を目標にしています。
伯爵令嬢の秘密の知識
シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のルナリス伯爵家にミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

ボルカノダンジョンへようこそ!
ひらえす
ファンタジー
王都で冒険者をやっていたアレンダンは、諸々の事情でソロ冒険者として再出発する事にした。
ギルドから紹介されたのは、王都から遠く離れた田舎町、火山の町ボルカノ。3年前に発見されたボルカノダンジョンの先行調査およびその他の雑務etc…報酬が異様に高いことを怪しんだアレンダンだったが、一刻も早く王都を離れたかった彼はそれを承諾。
南の果ての火山の町、ボルカノでの生活が始まった……!
※小説家になろう様、アルファポリス様、カクヨム様でほぼ同時投稿しています。
※残酷描写は保険です。
※誤字脱字多いと思います。教えてくださると助かります。
※相変わらずのストックなしの不定期更新ですが、頑張りますのでよろしくお願いします。
私公爵令嬢としてこの世界を楽しみます!
神桜
ファンタジー
小学生の子を事故から救った華倉愛里。本当は死ぬ予定じゃなかった華倉愛里を神が転生させて、愛し子にし家族や精霊、神に愛されて楽しく過ごす話!
『私公爵令嬢としてこの世界を楽しみます!』の番外編を『私公爵令嬢としてこの世界を楽しみます!番外編』においています!良かったら見てください!
投稿は1日おきか、毎日更新です。不規則です!宜しくお願いします!

プラス的 異世界の過ごし方
seo
ファンタジー
日本で普通に働いていたわたしは、気がつくと異世界のもうすぐ5歳の幼女だった。田舎の山小屋みたいなところに引っ越してきた。そこがおさめる領地らしい。伯爵令嬢らしいのだが、わたしの多少の知識で知る貴族とはかなり違う。あれ、ひょっとして、うちって貧乏なの? まあ、家族が仲良しみたいだし、楽しければいっか。
呑気で細かいことは気にしない、めんどくさがりズボラ女子が、神様から授けられるギフト「+」に助けられながら、楽しんで生活していきます。
乙女ゲーの脇役家族ということには気づかずに……。
#不定期更新 #物語の進み具合のんびり
#カクヨムさんでも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる