異世界トリップしたら女神(見習い)でしたが一般人として自由に生きていこうと思います

瑞多美音

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第3章

40.女神見習い、畑を作る

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 アルさんのおかげで快適な空間になり、今までよりポーション作りの効率も上がった。あ、瓶は少なくなったので感謝ポイントで交換したよ。
 アルさんは日中は教会へ行っていて、こっちにいないのでいつもより家で過ごす時間が増えた……主にお風呂の時間となっている……久しぶりの湯船……さいっこう!
 
 でも、家にいる時間が増えた分……ポーションとかあんまり売りに行けてないしミーナちゃんにも会えてない……



 結界は自分以外通り抜け不可から害意の無いものの通り抜け可に変更した……というかアルさんが通れなくなるかと思って気を利かせてそうしたら……神様には関係なかった……そりゃそうか。そういえば最初からすんなり結界内に入ってたわ……
 結果としては……自分以外通り抜け不可から害意の無いものに通り抜け可に変更したことで同じ大きさの結界でも微妙に消費魔力が減ってラッキー……まぁ、毎日張り直すことに変わりはないんだけど。
 結界の効果が切れそうになったらすぐ内側に展開させて隙ができないよう注意すれば問題ない。



 さて、アルさんが天界へ帰ったことにより、今まで目を逸らしてきた外をどうにかしようと思い……重い腰をあげた。

 といっても、アルさんが滞在中からちょこちょこ頑張ってはいたんだよ?……アルさんは私の奮闘をのんびり眺めて応援とちょっとしたアドバイスをくれた……例えば

 「あーためだ……やっぱ畑にしたい部分までは囲えないか……」

 なんとか結界の範囲を広げられないかと試行錯誤していると

 「のう、エナちゃんよ……結界は別にドーム型にしなくてもいいんじゃぞ」

 なんですって……そうか、完全に盲点だった。
 アルさんのアドバイスを元に四角くなるようなイメージで結果を展開する……と、家の裏側はギリギリ家を囲うくらい、表に家と同じくらいの広さがある長方形の結界が出来上がった。
 これで、魔物の襲来や動物に畑が荒らされることに怯えず畑が作れる。わーい。



◇ ◇ ◇


 
 とりあえず今まで株ごと採取しておいた薬草たちを植えたい……

 「……まずは畑を作るとこからだよね」

 農業セットの作業着に着替え、髪をまとめて準備万端。

 現在、家の周辺は魔法の練習がてら切り開いた土地が広がっている。何度も地道に浄化をしているので多分大丈夫だと思う。
 若干やりすぎた気がないでもないけど……ちなみに切り倒した木材は一角にまとめて置いてある。もちろん瞬間移動で運びましたとも……1本運ぶのがやっとだったけど。
 そのおかげでちょっとした塀ができた……でも囲ってないから意味ない。
 ギルドに持ち込もうにも木を加工できないので、マジックバッグの口よりも大きくて入らないから……ストレージ持ちってバレることを考えると決断できないな。
 切り株は頑張って地魔法やスコップで掘り返し、これも瞬間移動で運んだ……
 ほぼ魔法で頑張ったよ。だって、剣とか斧とか持ってないし……

 家から見て左手に薬草畑、右手に普通の畑を作ることにした。水やりは魔法で賄う予定。魔法の練習にもなるからね。

 まずは薬草畑から……はじめなのであまり大きくはしないつもり。後々広げることも視野に入れつつ作業。
 2メートル四方の土が柔らかくなるようなイメージで地魔法を使う。イメージ次第でかなり自由に使えるとはいえ、結構魔力を消費した。そのおかげで土が柔らかくふわふわになった。

 「おおー、すごい」

 クワで畝を作り、株ごと採取しておいた体力草、魔力草など薬草を種類ごとに植える。

 ファルシュ草のみ新たに区画を用意した……繁殖力が弱いらしいから一緒に植えて枯れたらショックだもんね……買取価格高いし。
 栽培スキルのおかげか手際がいいような気がする。

 反対側の畑も同じように作り、ランダムの種と苗も植えておく。
 あ、ちなみに街で普通に野菜の種や苗も売ってたからナス、きゅうり、トマトをいくつか買って植えた。

 「毎日の日課に水やりも入れないと……」

 ランダムの種や苗は何が育つか楽しみ……美味しいものならいいな……

 「あ、でも食用じゃない可能性もあるのか……」



◇ ◇ ◇



 ランダムの種は通常より早く育つことがわかった。だってまだ昨日植えたばかりなのに苗の方にはすでに小さな実ができて……種の方は芽吹いていた。

 「すごい……」

 あと数日で収穫できるかもしれない……実ができるなら食用も期待できるかも……


 それと並行して地図も埋めていくーー

 湖の奥の方を探索するとそこにはオレンジやレモンの群生する場所を発見した!天然ものっぽいな……心眼でもオレンジだったので、オレンジをひとつもぎ取って《ウォーター》でさっと洗ってから食べてみる……

 「美味しい……」

 レモンも同じように食べてみると、レモンは流石にそのまま食べたら酸っぱいけど、レモンウォーターとかにしたらサッパリして良さそうなので、それぞれ果実をたくさん持ち帰ることにした。節約にもなるし……もちろん地点登録することも忘れない。

 オレンジやレモンは確か種から育てられたはずだし……挑戦してみようかな?


 そのままさらに地図を埋めていると……

 「ん? ここも集落だったのかな?」

 ほとんど建物の跡形もないけど一応見回っていく……

 「あっ、これって……オリーブ?」

 オリーブもどきの木を発見した。
 へぇ、この世界にもオリーブあるんだ……あれ? もしかして前に食料店で買った油ってオリーブオイルだったり?

 女神の心眼でオリーブだと出たので……成功するかわからないけど挿し木とかオリーブオイル作りとかやってみようかな。

 確か、オリーブをよく洗ってから袋に入れてひたすら揉み続けて……水分オイル分が分離したら絞るんだっけ?
 汁をそのまま置いておくとオイル部分と果汁部分に分離して……上の部分がオイルになるんだったような……

 でも今は材料もないし、大変そうならギルドに持ち込んでみるのもアリかな……今のところストレージに入れておけば問題ないし。

 挿し木用に大きめで元気の良さそうな枝を選んで持ち帰り、壊れて穴の空いたバケツにふかふかの土を入れて、枝が2、3センチ顔を出す程度に枝を埋め込みたっぷり水やりをする。
 後は日当たりが良く、風通しの良い場所に置いておく……
 ある程度大きくなったら地面に植え替えるらしい……いやー、女神の知識でこんなことまで分かるなんて、すごいね。


 「ふっふっふっ……これが成功すれば一気に畑らしくなるね……時間はかなりかかるけど……」

 
 これで地図も家の周囲5キロくらいかな?は埋まった。いやー、色々と発見もあったし……また、時間のあるときに地図埋めがてら散策しよーっと。




 





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