17 / 120
第2章
17.女神見習い、新人冒険者になる(3)
しおりを挟む北門を出てしばらく歩き続けるーー
門のすぐ外には畑や牧場らしき建物がちらほら……西門とは全然雰囲気が違う。
万が一の時はここを捨てて門の中に逃げ込んむのかな。
それを横目にしばらく歩き続けると草原が見えてきた。
「さて、薬草採取開始だ!」
手当たり次第に依頼書の絵に似た草を丁寧にとっていく。
だけど、だんだんとこれで合っているのか不安になってきた……
「あっ、そうだすっかり忘れてた。スキル使えばいいんだっ『女神の心眼』」
-----
〈体力草〉
ポーションの材料になる草 体力回復の効果が期待できる
〈ただの草〉
家畜が好んで食べる
〈ただの草〉
家畜が好んで食べる
〈体力草〉
ポーションの材料になる草 体力回復の効果が期待できる
〈体力草〉
ポーションの材料になる草 体力回復の効果が期待できる
〈ただの草〉
家畜が好んで食べる
-----
「スキルってすごい……」
スキルを使ったとたんに簡単に仕分けできてしまった。しかし正解率が半分とは……
なんか必死に絵を覚えた苦労が意味のないものになってしまったような……
スキルの凄さを再確認したので、これからは採取する前に『女神の心眼』することにしよう。
後は気になったものを練習を兼ねて、どんどん『女神の心眼』で確かめる。
「他にもポーションに使えそうな薬草あるかな?」
-----
〈魔力草〉
ポーションの材料になる草 魔力回復効果が期待できる
〈ただの草〉
家畜が好んで食べる
〈ファルシュ草〉
ポーションの材料になる草 魔力全回復の効果が期待できる
〈ただの草〉
家畜が好んで食べる
〈魔力草〉
ポーションの材料になる草 魔力回復効果が期待できる
〈ただの草〉
家畜が好んで食べる
-----
「ただの草多いな……」
言い訳させてもらうと心眼でただの草としか出ないものでも何種類もあるんだ、これが……
ポーションの材料になる物だけ採取して、とりあえずストレージに入れておこうっと。
「いやー、時間が経過しないってつくづく便利だよね」
その後も依頼に必要なものを探しつつ、自分用に使えそうな薬草などをちまちま採取していたらあっという間に50本を超えていた。
今日はこのくらいにして早速ギルドで買い取ってもらおう。お腹もすいたし……さっきからグーグーお腹が鳴ってる。
どこかおいしいお店も聞いてみよう。もしくはギルドの食堂でもいいか。
「なんか採取よりもここまでの移動の方が時間かかってる気がする……」
風魔法とか鍛えたら早く移動できるのかな?
体力の無さには定評があるからね……こらっ、そこ!だから移動に時間がかかるとか言わないっ。
まぁ、事実だけどさ……
北門へ戻り、身分証を提示するとすんなりと入ることができた……まぁ、つい数時間前に出て行ったし木札のやりとりもしてるから覚えているとは思うけど、街に入る人のチェックは規則みたい。
街へ入るチェックがしっかりしてるから出る時は何も確認されない……だから、最初に降臨した街を出るとき何も言われなかったんだなと納得した。
ギルドへ戻り買い取り受付へーー
受付にいたのはさっきも担当してくれたカーラさんだった。なんか縁があるなぁ……
午後はこちらが混雑するので人員を増やすそうです。へー。
「買い取りお願いします」
「はい、ではギルドカードをお預かりしますね。素材などはこの上に置いてください。」
本当はストレージに入ってるけど背負い袋から出しているように見せたよ! 腕を突っ込んでゴソゴソ……取り出した薬草を指定された場所に置く。
体力草が50本あるから銅貨25枚になるはず。
確か一般的な家庭がひと月銀貨15枚から20枚で生活するって聞いたような……やばい、見習い卒業して稼がないと生活が……
「はい、常設依頼の体力草が50本ですね……状態もいいですし、銅貨35枚になります」
「えっ、依頼では銅貨25枚ですよね? そんなにもらっていいんですか?」
「とても丁寧な採取で状態も良いので……皆さんこんなにはきれいに持ってきてくださらないんですよ。それにこれなら材料として使用するだけでなく……隣の売店で商品として並べられるレベルですので」
飲食スペースとカウンターの間には割と大きな売店がある。雑貨店ぽいと思ってたけどそれよりも、もっと冒険者向けみたい。
そこにはポーションや各種薬草、初心者用の防具、武器、日持ちする食糧、酒などが所狭しと置いてあり買い物をしている冒険者もかなりいて混雑している。
街で買うより少し割高に設定されているみたいで、街のお店に恨まれないようにしてるのかな。
冒険者のなかでも急いで揃えたい時などは割高でもこちらを利用して、ゆっくりでよければ街のお店を回り掘り出し物を見つけるのが定番みたい。
中堅以降の冒険者などは武器はあまり置いていないので。職人地区でいいものを買うらしいが、この売店では初心者用の新品から中級者になったものが売った過去の武器や防具(中古)などが置いてあるようだ。
置ききれない物は倉庫から持ってきて見せてくれるらしい。同じく大量買い取りの場合も奥の倉庫に案内されるみたい。
閑話休題。
「そうなんですか、ありがとうございます」
なんかよくわからないけど、丁寧さが認められたってことでいいのかな?
「いえ、こちらの依頼は基本的に常時依頼が出ていますのでどんどん達成してくださいね」
「あ、そうだ。ここでの買い取りってどんなものまで買い取ってくれるんでしょうか」
「基本的には薬草全般、ポーション、魔物の素材、魔核など気になるものがあれば受付に持ち込んでみてください。中には買い取り不可の場合もありますが……」
「じゃあ、この植物はどうですか?」
先ほど採取した魔力全回復の効果が期待できるというファルシュ草を1つとランヴィまでの道中に目についたパーシュの花を出してみた。もちろんこれも背負い袋から出しているように見せた。
パーシュの花はあまり量がなかったので20本程度だが。
「はい、失礼します……ってこれファルシュ草にパーシュの花じゃないですか!?」
えっ、なんかまずいの?
そのパーシュの花は道中で見つけたから、こっちになくて珍しいのかもしれないけど、その草は同じような場所で見つけたんだけど……
カーラさんはハッした後、声を潜めて
「申し訳ありません。こ、これどこで採取したんですかっ?」
「花はここまでの旅の途中で見つけて取っておいたものですけど、草はさっきの依頼と一緒に採取しましたよ」
「この草はファル草という似た草が繁殖力が高いうえこのファルシュ草は繁殖力も弱く超級ポーションに使われるとても貴重なものんですよ! 詳しい採取場所を教えてもらえませんかっ? もちろん報酬はお支払いします」
へぇそうなんだ。報酬がもらえるほど貴重なんだ? 採取に夢中になってたから草原から若干それた場所にいたような気はするけど……
「すいません。場所はよく覚えてないんです……買い取ってくれるんですよね?」
場所がわからないのは本当だけど、今度見つけたら覚えておこう。
カーラさんは少し残念そうだったけど……
「はい、もちろん買い取りさせていただきます! パーシュの花が20本で小銀貨3枚、ファルシュ草が1つで銀貨1枚でいかかでしょうか」
ちなみにパーシュの花はもう少し新鮮だと買い取りが小銀貨5枚になるらしい。うっかりしてストレージに入れたの途中からだもんね。
ていうかファルシュ草1つで銀貨1枚ってすごいな……ポーションの材料になるみたいだからあとふたつは大事にとっておこう。
パーシュの花はファルシュ草ほど貴重じゃないみたいだけど……あまり量を出して目をつけられても困るしこれでやめておこう。
枯れないように常にストレージに入れることを習慣にしないと。
「じゃあそれでお願いします」
「はい、ありがとうございます。ぜひ、ファルシュ草見つけたら買い取りに持ってきてくださいね。出来れば場所もお願いします」
全部合わせて銀貨1枚、小銀貨6枚、銅貨5枚とギルドカードを受け取った。
0
お気に入りに追加
308
あなたにおすすめの小説

拝啓、愛しの侯爵様~行き遅れ令嬢ですが、運命の人は案外近くにいたようです~
藤原ライラ
ファンタジー
心を奪われた手紙の先には、運命の人が待っていた――
子爵令嬢のキャロラインは、両親を早くに亡くし、年の離れた弟の面倒を見ているうちにすっかり婚期を逃しつつあった。夜会でも誰からも相手にされない彼女は、新しい出会いを求めて文通を始めることに。届いた美しい字で洗練された内容の手紙に、相手はきっとうんと年上の素敵なおじ様のはずだとキャロラインは予想する。
彼とのやり取りにときめく毎日だがそれに難癖をつける者がいた。幼馴染で侯爵家の嫡男、クリストファーである。
「理想の相手なんかに巡り合えるわけないだろう。現実を見た方がいい」
四つ年下の彼はいつも辛辣で彼女には冷たい。
そんな時キャロラインは、夜会で想像した文通相手とそっくりな人物に出会ってしまう……。
文通相手の正体は一体誰なのか。そしてキャロラインの恋の行方は!?
じれじれ両片思いです。
※他サイトでも掲載しています。
イラスト:ひろ様(https://xfolio.jp/portfolio/hiro_foxtail)

いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

異世界召喚失敗から始まるぶらり旅〜自由気ままにしてたら大変なことになった〜
ei_sainome
ファンタジー
クラスメイト全員が異世界に召喚されてしまった!
謁見の間に通され、王様たちから我が国を救って欲しい云々言われるお約束が…始まらない。
教室内が光ったと思えば、気づけば地下に閉じ込められていて、そこには誰もいなかった。
勝手に召喚されたあげく、誰も事情を知らない。未知の世界で、自分たちの力だけでどうやって生きていけというのか。
元の世界に帰るための方法を探し求めて各地を放浪する旅に出るが、似たように見えて全く異なる生態や人の価値観と文化の差に苦悩する。
力を持っていても順応できるかは話が別だった。
クラスメイトたちにはそれぞれ抱える内面や事情もあり…新たな世界で心身共に表面化していく。
※ご注意※
初投稿、試作、マイペース進行となります。
作品名は今後改題する可能性があります。
世界観だけプロットがあり、話の方向性はその場で決まります。
旅に出るまで(序章)がすごく長いです。
他サイトでも同作を投稿しています。
更新頻度は1〜3日程度を目標にしています。
伯爵令嬢の秘密の知識
シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のルナリス伯爵家にミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

ボルカノダンジョンへようこそ!
ひらえす
ファンタジー
王都で冒険者をやっていたアレンダンは、諸々の事情でソロ冒険者として再出発する事にした。
ギルドから紹介されたのは、王都から遠く離れた田舎町、火山の町ボルカノ。3年前に発見されたボルカノダンジョンの先行調査およびその他の雑務etc…報酬が異様に高いことを怪しんだアレンダンだったが、一刻も早く王都を離れたかった彼はそれを承諾。
南の果ての火山の町、ボルカノでの生活が始まった……!
※小説家になろう様、アルファポリス様、カクヨム様でほぼ同時投稿しています。
※残酷描写は保険です。
※誤字脱字多いと思います。教えてくださると助かります。
※相変わらずのストックなしの不定期更新ですが、頑張りますのでよろしくお願いします。
私公爵令嬢としてこの世界を楽しみます!
神桜
ファンタジー
小学生の子を事故から救った華倉愛里。本当は死ぬ予定じゃなかった華倉愛里を神が転生させて、愛し子にし家族や精霊、神に愛されて楽しく過ごす話!
『私公爵令嬢としてこの世界を楽しみます!』の番外編を『私公爵令嬢としてこの世界を楽しみます!番外編』においています!良かったら見てください!
投稿は1日おきか、毎日更新です。不規則です!宜しくお願いします!

プラス的 異世界の過ごし方
seo
ファンタジー
日本で普通に働いていたわたしは、気がつくと異世界のもうすぐ5歳の幼女だった。田舎の山小屋みたいなところに引っ越してきた。そこがおさめる領地らしい。伯爵令嬢らしいのだが、わたしの多少の知識で知る貴族とはかなり違う。あれ、ひょっとして、うちって貧乏なの? まあ、家族が仲良しみたいだし、楽しければいっか。
呑気で細かいことは気にしない、めんどくさがりズボラ女子が、神様から授けられるギフト「+」に助けられながら、楽しんで生活していきます。
乙女ゲーの脇役家族ということには気づかずに……。
#不定期更新 #物語の進み具合のんびり
#カクヨムさんでも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる