Select Life Online~最後にゲームをはじめた出遅れ組

瑞多美音

文字の大きさ
上 下
51 / 85

51 イベント その4

しおりを挟む
 そんなことしてたらいつのまにかあたりが薄明るくなってきた。

 「おおー、朝日!火はもう消していいかなー」

 水魔法で《ウォーター》を出し、火を消していく……

 「うわっ、水蒸気やばー」

 よし、ちゃんと消えてるね。

 「……ん?なんか音がしたような?」

 まさか、またプレイヤー?ま、あんな人たちはそうそう出でこないと思うけどさー
 音のした方の茂みから飛び出してきたのは……

 「あ!あれって……スライム?」

 結構なスピードでこちらに向かってきたのでナイフを投げてみた。

 えいっ!

 「あー、避けられちゃったかー」 

 しかも勢いそのままに体当たりされてまたHPが減った……せっかくちょっと回復したのに。しかもなんか飛ばしてきたし!避けたら後ろでジュウッて音がしたんですけどっ……

 「やばい。これは距離を取らないと!ってあれ?スライムどこいった?」

 ま、まさか相手にもされず見逃されたとか?……がーん。

 とりあえずさっきのナイフを回収し、今度出会ったときのためにエルダートレントの棍棒の先にナイフをくくりつけ長さを出してみた。
 投擲ナイフはまだあるし、これでスライムにも勝てるはず!

 しばらく歩き回ると……スライム発見!さっきのやつかはわからないけど近づいて棍棒を振り回す。

 「はぁっ、はぁっ……」

 全っ然当たらないんですけどー……なんか遊ばれてる気がしてきた。

 「もうっ……えい!やぁ!とおー!……よし!あれ?」

 やっと当たったと思ってもスライムは平気そうだし……なんで?
 うーん、どうやらかすっただけじゃダメっぽい。うっすら見える核?を破壊しないと倒せないのかなー。

 「はぁ、もう1回!」

 諦めずに振り回していると……

 「あ!当たった!」

 なんとか核を壊すとスライムは光の粒子となって消えた。

 「やったー!初めてモンスター倒せたっ」

 スライムが消えた場所には何も残らなかった。

 「あれ?ドロップ品はなし?」

 グランツさん達が倒した時はその場に残ってたのに……んー、あっ!

 そういえばわたしたちはアイテムボックスがいっぱいじゃない限り、アイテムボックスに収納されるんじゃなかったけ?

 「おー、入ってる!」

 アイテムボックスに入っていたのはスライムゼリー……クリスタルはなかった。残念。

ピコン!
 〈スキル:槍術が取得可能になりました〉

 「さっきのって槍術になるんだー……ただ振り回してただけなんだけど」

 しかし、取得にはスキルポイントが……足りないよねー

 その後もウロウロしているとスライムと出くわしたので攻撃……ふぅ、なんとか勝つことができた!そしてクリスタルも!

 「よーし、スライムかかってこいやー!」

 結果、どこからかやってきた大量のスライムに体当たりされた上に酸液で攻撃されて死に戻りましたよねー。これきっとR指定のおかげでグロくないけど、そうじゃない設定のひととかやばそうだね……

 「はぁー、調子に乗りすぎたー」

ピコン!
 〈種族がレベルアップしました。ステータスポイント5ポイント獲得しました〉

ピコン!
 〈スキル:毒耐性がレベルアップしました。レベル5到達ボーナスとしてスキルポイント5ポイント獲得しました〉


 「ふむふむ。酸液は毒耐性なんだ。新たな発見ですねー」

 スタート地点に戻ってきたはいいけど、これからどうしよっかなー?

 「あれ、そういえばこの街ってセーフティエリアなのかな?モンスター見ないけど」

 しばらく街の中の建物をしらみつぶしに探してみるけど、あまり収穫はない。
 クリスタルが数個とコアが2つだけ……でもでも!ランプゲットしちゃったんですよねー!しかも2つ!……今は使えないけど。
 鑑定したら魔石を交換しないと使えないらしいので宝の持ち腐れってやつですよー。もちろん持ち帰るけどねー……
 あとはなんか隠し扉?の奥の部屋にあった読めない本が数冊とよくわからないバック(鑑定したけどレベル不足だったのね)、投擲できそうなナイフが数本、あとコップとかお皿とかの食器セット。


ピコン!

 「ん?」

 なんだろー……あ、ベルから連絡きたのか!

 『やっほー!リリー、どんな感じ?楽しんでる?』
 「うん、なんとかやってるよー!あ、でもさっきプレイヤーに絡まれちゃったん……」
 『えっ、まじ?すぐ行く!』
 「あ、もう運営さんが対応してくれたから平気だよ?」
 『でも、不安だしそっち行くね』
 「うん。ありがとー」

 ベルったら優しいんだからー


 『目印とかある?』
 「うーん。死に戻っちゃったから、スタート地点のあたりにいるんだけど……」
 『スタート地点てどこだったの?わたしは森の中スタートだったんだけど……』

 へぇー、プレイヤー全員が街の中スタートってわけじゃないんだ……ほんとにランダムに転移されちゃうのかー。他のメンバーはそれぞれ合流したりソロで楽しんだりしてるらしい……


 「うーんと街の広場?みたいなところかな?」
 『そっかー。アリッサたちも街の塔?あたりのスタートだったんだって……わたしもアリッサたちと合流しても良かったけど、どうせなら散らばってクリスタル集めたほうがいいかと思ってモンスター倒しまくってたんだよねー。で、ふとリリーはど困ってないか気になって連絡してみたってわけ』
 「そっかー……うーん?わたしのスタート地点からは塔?は見えないなー」
 『どうも街は1つしかないみたいなんだよね……かなりでかいけど。きっと塔の反対側かなー?ほかに目印になりそうなのはない?』

 目印ねぇ……あ!

 「森の端に大きな木はあるけど……目印にできるかなぁ?」

 そうです。わたしがお世話になった木です。

 『あ、それ知ってるかも?クランメンバーから聞いたわー……全然モンスターいないからすぐ移動したって。まぁ、いてもスライムくらいで全然クリスタル落とさないから不人気らしいよ』
 「ほー」
 
 あのひとたち以外にプレイヤーに会わないと思ったらそういうことだったのかー


 『えっと……街中は合流が難しそうだからその木で待ち合わせでもいい?ちょっと時間かかるかも。迷子にならずに行ける?』
 「うん、大丈夫だよー。その木の根元に穴があるからそこにいるねー」
 『りょーかい』


 さて、スライムにリベンジしながら、戻るぞー!

 「そうだ、合流したら心配してきてくれる優しいベルにバーバラさんのお手製クッキーを分けてあげよう」


 道中、地図のおかげで迷わず進みプレイヤーに会うこともなかった。
 あとはスライムと数体出くわしてそのうちの半分くらい倒すことができた(あとは見逃されたり、HPがやばくなったので走って逃げた)……ベルの言う通りクリスタルは1つだけだったけど。あ、もちろん、道中の木はすべて揺らしたり、地面に埋まってないかもチェックしたよ!

 「無事とうちゃーく!さて、ベルが来るまでサンドイッチ食べて待ってよーっと」


現在の収穫……
 【至誠のクリスタル】×13
 【叡智のクリスタル】×10
 【生命のコア】×7
 【読めない本】×5
 【花瓶】×1
 【綺麗な石】×2
 【木の枝】×11
 【くるみ】×42
 【スライムゼリー】×5
 【魔石式ランプ】×2
 【よくわからないバック】×1
 【ナイフ】×3
 【食器セット】×1

しおりを挟む
感想 106

あなたにおすすめの小説

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

神速の冒険者〜ステータス素早さ全振りで無双する〜

FREE
ファンタジー
Glavo kaj Magio 通称、【GKM】 これは日本が初めて開発したフルダイブ型のVRMMORPGだ。 世界最大規模の世界、正確な動作、どれを取ってもトップレベルのゲームである。 その中でも圧倒的人気な理由がステータスを自分で決めれるところだ。 この物語の主人公[速水 光]は陸上部のエースだったが車との交通事故により引退を余儀なくされる。 その時このゲームと出会い、ステータスがモノを言うこの世界で【素早さ】に全てのポイントを使うことを決心する…

絶世のディプロマット

一陣茜
SF
惑星連合平和維持局調停課に所属するスペース・ディプロマット(宇宙外交官)レイ・アウダークス。彼女の業務は、惑星同士の衝突を防ぐべく、双方の間に介入し、円満に和解させる。 レイの初仕事は、軍事アンドロイド産業の発展を望む惑星ストリゴイと、墓石が土地を圧迫し、財政難に陥っている惑星レムレスの星間戦争を未然に防ぐーーという任務。 レイは自身の護衛官に任じた凄腕の青年剣士、円城九太郎とともに惑星間の調停に赴く。 ※本作はフィクションであり、実際の人物、団体、事件、地名などとは一切関係ありません。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

New Life

basi
SF
なろうに掲載したものをカクヨム・アルファポにて掲載しています。改稿バージョンです。  待ちに待ったVRMMO《new life》  自分の行動でステータスの変化するアビリティシステム。追求されるリアリティ。そんなゲームの中の『新しい人生』に惹かれていくユルと仲間たち。  ゲームを進め、ある条件を満たしたために行われたアップデート。しかし、それは一部の人々にゲームを終わらせ、新たな人生を歩ませた。  第二部? むしろ本編? 始まりそうです。  主人公は美少女風美青年?

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

VRゲームでも身体は動かしたくない。

姫野 佑
SF
多種多様な武器やスキル、様々な【称号】が存在するが職業という概念が存在しない<Imperial Of Egg>。 古き良きPCゲームとして稼働していた<Imperial Of Egg>もいよいよ完全没入型VRMMO化されることになった。 身体をなるべく動かしたくないと考えている岡田智恵理は<Imperial Of Egg>がVRゲームになるという発表を聞いて気落ちしていた。 しかしゲーム内の親友との会話で落ち着きを取り戻し、<Imperial Of Egg>にログインする。 当作品は小説家になろう様で連載しております。 章が完結次第、一日一話投稿致します。

運極さんが通る

スウ
ファンタジー
『VRMMO』の技術が詰まったゲームの1次作、『Potential of the story』が発売されて約1年と2ヶ月がたった。 そして、今日、新作『Live Online』が発売された。 主人公は『Live Online』の世界で掲示板を騒がせながら、運に極振りをして、仲間と共に未知なる領域を探索していく。……そして彼女は後に、「災運」と呼ばれる。

処理中です...