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36 材料を手に入れよう その1
しおりを挟む「はぁ、はぁっ……」
「リリー、ダイジョウブ?」
「うん……な、なんとかっ」
「む。仕方ないな!少し休憩しようではないか!」
「そうじゃな」
「ええ、それがよさそうね」
「なんかすいません……」
意気揚々と出発したもののみんなのペースが速くてついていくのがやっとだった。うん、案山子さんも結構素早かったよ。ぴょんぴょんしてても早いのは流石だよねー……
それにしても案山子さんのおかげでモンスターに出くわさないって素晴らしい。だって、死に戻らなくてすむんだから!ま、グランツさんたちがいればそうそう死に戻ることはなさそうだけどさー。
「案山子さんのおかげでモンスターも出てこないから随分楽ですよね」
「娘にはそうだろうな!でも、これじゃあモンスターから1号の材料が取れないじゃないか!」
え、案山子さんに必要な材料ってモンスターのドロップ品なんだ……
「そういえば案山子さんに必要な材料ってなんなんですか?」
「む?そうだったな。それはエルダートレントの木材だ!」
「ほう……エルダートレントか」
「あら。でもトレントはたくさんいるけどエルダートレントは珍しいんじゃなかったかしら?」
エルダートレントはトレントのなかでも長い年月が経ったものが進化した状態で普通より強く、太く大きいのが特徴らしい。魔法を使ってくるので少しやっかいなんだとか……
「そうなのだ!それなのに私の作った1号が優秀すぎて魔物が全く見つからないのだ!」
森の奥へ進むにつれてモンスターが強くなっているらしいけど、今のところ案山子さんの魔物避けが効果あるみたい。わたしとしてはありがたいけど、ルミエルさんからしたら目的を達成できないかもしれないから一大事なんだって……ただ、想像以上に案山子さんが優秀で嬉しいのか顔がニヤついちゃってるけどね。
「そうか……案山子にはどこかで待っててもらうしかないかの?」
「そうよね……」
「む……それでは1号の戦闘能力が計測できないではないか!」
ルミエルさん、案山子さんは戦いたくないかもしれま……あ、やる気満々みたいですねー。
「ダイジョウブ!アンシンシテ。ボクオンオフデキルカラ」
「「「「ん?」」」」
オンオフって何が?
「1号っ!それはまさか魔物避けの事を言っているのか!?」
「ウン、ソウダヨ」
「そ、そこんところ詳しく教えてくれっ!」
「ワカッター」
あらら……ルミエルさんまた変なスイッチ入っちゃったよ。それにしても案山子さんの意思によって魔物避けの効果をオンオフ切り替えできるとかすごいよね……
「案山子よ。今はオンじゃな?魔物は来ないな?」
「ウン、ダイジョウブ!」
「じゃあ、休憩がてら軽食はどうかしら?リリーちゃん、朝ごはんも食べてないからお腹空いたんじゃない?」
はっ!そういえばルミエルさんの騒ぎのせいで朝食べ忘れてたなー。あ、帰ったら畑の世話もしなくちゃだし販売所もチェックしないと……
「そう言われるとお腹が空いてきた気がしますね」
意識した途端お腹が鳴りだしたよ。きゅうりとミニトマトはあったけどバーバラさんの手作りは格別ですからね!もぐもぐ……うまー
「ごちそうさまでした!」
「こちらもいいぞ!大体把握できたぞ!」
「ふむ。では、そろそろいくかの……案山子よ、ここからはオフで頼むぞ」
「ウン、ワカッタヨ」
「グランツ、バーバラ!時々、案山子に攻撃させてくれ!データを取るからな!」
「うむ」
「わかったわ」
「ボク、ガンバル」
「では、出発だ!」
グランツさんを先頭に森を進むとだんだんと日の光が遮られ薄暗くなっていく……うん、霧とかも出てきたし地図スキルがあっても迷子になりそうだよ。
そして、オフにした途端めっちゃモンスターに出くわすんですけどっ。案山子さんの魔物避けどんだけ優秀だったのさっ……
トレントはいるけどなかなかエルダートレントがいない。トレントは枝を振り回したり葉っぱを飛ばしてくるんだけど、グランツさんたちは慣れた手つきで倒していく……うん、わたしだったらすでに何度も死に戻ってるわー。もちろん無理のない程度で倒して(グランツさんたちに加え案山子さんも強かった……)ルミエルさんはドロップ品をしっかりゲットしている。うん、ついでに他の材料もできるだけ持ち帰る気らしいよ。わたしも多少は荷物持ちとしてお手伝い……た、多分役に立ってる……よ?
エルダートレントはバーバラさんの言っていた通り珍しいみたいだ。なかなか見つからない。
「この辺りにいてもいいはずじゃが……」
「ええ……でもハニービーの巣を見つけられたし私としては満足ですけどね」
そうなんだよね……バーバラさん、途中からハニービーの巣めっちゃ見つけてたんだよね……近々、囮の依頼がありそうな気がしてきたわー。
「む、この辺りにいないとなるとやっかいだな……おっ!あそこにいるぞっ!」
「うむ」
「私は援護するからグランツ、バーバラ頼むぞ!娘はそこらへんで待機だ!死ぬなよ!」
「はいっ!」
さっさと端に避けて待機しようと思ったら……ビュン!って音がしたと共に体に小さな衝撃を感じた。
「ばかっ!娘!ぼーっとしてないで避けるんだ!」
「え?」
どうやら魔法というのはこのことらしい。エルダートレントが空気の弾みたいなのを次々と飛ばしてくる……ってかさっきの1撃でHPが半分も減ったんですけどっ!あと1回当たったら死に戻っちゃうよ!どうしよう……
「リリー、ボクノウシロニイテ!」
「え……あっ!わかった!」
とりあえず、隠密しながら瞑想で回復。うん、案山子さんがぐるぐるパンチで守ってくれている。案山子さんまじイケメン。風圧すごいけど。あと顔の近くにぐるぐるパンチきてビビるけど、動いたら瞑想とけちゃうから我慢。
さぁ、反撃開始だぜっ(グランツさんたちが!わたしは何もできないけどね!)
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